東急建設(株) 紙おむつ培養土 効果実証 青葉台東急スクエア屋上
東急建設(株)(渋谷区)は、使用済紙おむつと昆虫を活用したオーガニック培養土生産の事業化に取り組んでいる。このほど、青葉台東急スクエア((株)東急モールズデベロップメント)屋上で実施している植物育成実験において、良好な結果を測定したと発表した。
同事業案は、使用済紙おむつを水溶化処理することで、焼却処理に比べて環境負荷を軽減。その過程で発生する汚泥をイエバエに分解させ、生成された有機肥料を原料に、オーガニック培養土や緑化基盤材の元肥を生産するもの。昆虫を活用した有機廃棄物処理技術を有する(株)ムスカ(中央区)と使用済紙おむつのリサイクル処理技術を有するトータルケア・システム(株)(福岡市)と共同で、2026年度までの事業化を目指している。
廃棄物で緑化
環境省によると、国内では高齢化の進行に伴い、大人用紙おむつの消費量が年々増加している。30年度には、子ども用と大人用を合わせた使用済紙おむつ排出量が、一般廃棄物処理量の約7・0%を占める約260万トンに達するとされている。現在、廃棄する紙おむつの多くは焼却処理されており、パルプ等の素材のリサイクル促進が課題となっている。
同事業案は「廃棄物で緑化」をコンセプトとし、社会課題である使用済紙おむつの回収・リサイクルに貢献。生成したオーガニック培養土を活用し、国内外の荒廃地・砂漠の緑化を最終的なゴールとしている。
青葉台で実証実験
植物育成実験は24年5月から行われている。配合比率ごとに、紙おむつから生成した肥料を配合した19種類の実験用培養土を入れたプランターに緑化植物「クラピア」を植栽。植被率を指標に育成状況を定期測定し、2回越夏させる。この度、1回目の越夏が終わり、複数の配合比率で既存培養土と同等の植被率が認められた。
また、有機肥料の生成には通常6カ月程度の発酵期間が必要だが、イエバエを活用することで生成期間を約7日間まで大幅に短縮。発酵時に発生するメタンガスの削減効果も確認されている。
実証実験の結果を活かし、建築物の屋上緑化や河川・鉄道法面緑化への応用を視野に入れ、検討を進める方針の同社。事業リーダーの柳原好孝さんは「より一層効率的な生産方法や品質・コスト追及、供給体制の確立等に努める」としている。