県高校総体 空手道 個人形で羽田野礼凱、近藤寧音が頂点に 【大分県】
県高校総体
5月31日 杵築市文化体育館
空手道個人形
男子 1位・羽田野礼凱(大分南)、2位・土師健聖(杵築)、3位・田村蒼士(大分南)、樋口零斗(東九州龍谷)
女子 1位・近藤寧音(高田)、2位・佐藤姫優(大分南))、3位・松野彩吹(東九州龍谷)、平野蘭季来(同)
県高校総体の空手道・個人形で男子は大分南の羽田野礼凱(らいか・3年)、女子は高田の近藤寧音(ねね・3年)が頂点に立った。いずれも決勝では7人の審判全員が旗を上げる完勝。演武そのものの完成度はもちろん、精神的な成長を印象づける大会となった。
女子の近藤は4月の県選手権に続くタイトル獲得で、勢いそのままに頂点へと登り詰めた。これまでの課題だった「本番で力を出し切れない」という壁を、前回の優勝で乗り越えた。151cmと小柄ながら、スピードとキレで勝負するスタイルが冴え、決勝では得意の「雲手(ウンスー)」で力強さを見せた。演武後にはコートを降りながら満面の笑みを見せ、「高校最後の大会なので力を出し切ろうと思った。昇り調子でここまで来た。100点満点」と語った。全国高校総体では「入賞」を目標に掲げ、堂々と前を向く。
スピードとキレのある演武で優勝した近藤寧音
一方、男子の羽田野の演武には圧倒的な「支配力」があった。赤帯を巻いて先攻。拳を突き出すたびに、会場の空気がピンと張り詰めていく。無駄のない動きと切れのある突き、そして崩れぬ軸。場内に息を呑むような静寂が広がり、演武が終わるとため息がもれる。それほどまでに完璧だった。
4月には中国で開催された東アジア選手権のジュニア部門(16〜17歳)に出場し、初の国際舞台でいきなり優勝。高嶋勉監督は「世界の舞台を経験したことで平常心で競技ができるようになった」と目を細める。羽田野の強みは、力強さに加えて動きの「バランス」があること。足運びが安定しており、突きや蹴りの際にも身体がブレない。技術の高さが随所に光る。
ただ、今大会直前には体調不良が影を落とした。1週間前から高熱に苦しみ、満足な練習ができぬまま本番を迎えた。それでも「優勝しか考えていなかった」と言い切る姿に、王者としての強さがにじむ。練習ではふらつく場面もあったが、本番はこれ以上ない演武だった。羽田野は「精神面が成長できた」と振り返った。
昨年の全国総体ではベスト8に終わった。その悔しさを胸に、今年は“東アジア王者”として堂々と頂点を狙う。「苦手な形があるので、そこを完璧に仕上げたい」と次のステージに目を向けた。
圧巻の演武を見せた羽田野礼凱
(柚野真也)