CiON[ライブレポート]悔しさも嬉しさも噛み締めて届けた圧巻のパフォーマンス「これが! CiONだーーーーー!」
CiONが、2月15日(土)にパシフィコ横浜国立大ホールでワンマンライブ<THIS IS CiON>を開催した。
グループ史上最大キャパシティとなった同公演では、生バンドを従えたメンバーが、圧倒的な表現力と情熱を込めたパフォーマンスを披露。楽曲ごとに異なる世界観を鮮やかに描き出し、観る者の心を揺さぶるステージを展開。これまでのキャリアを総括しながら、未来に向けた強い決意を感じさせ、会場を大熱狂の渦へと巻き込んだ。
本記事では、CiONの活動における大きなターニングポイントとなったパシフィコ横浜国立大ホール公演の模様をお届けする。
取材&文:赤木一之
撮影:ヨシモリユウナ、高田梓
影アナはピアノの杏実が担当。落ち着いた声で観客にキャッチフレーズの掛け声をお願いすると、会場に“あみまんじゅう〜!”が響き渡る。早速、癒される。
続けて、“昨年はいろいろなことがあり、たくさんのご心配とご迷惑をお掛けしてしまいました。本日、パシフィコ横浜を開催させていただけることになりました。本当に、本当に、ありがとうございました”と感謝の言葉。冒頭の“昨年はいろいろ”から、もう泣ける。
ちょっとしんみりしたのも束の間、“私たち今日もビジュいいので、瞬きする間も惜しんでください!”と宣言。すると、メンバーに“ステージに手袋忘れているよ!”と煽られ、杏実が1人でステージに登場。ピアノの前に座ると手袋をはめ、自慢の肩とそれに伴い背中も魅せる。すでに、ビジュがいい。“みんな! 今日は集まってくれて、ありがとまんじゅう!”と笑顔を見せ、ピンスポット。
しっとりとしたピアノの音色で会場を清めると、スウィングジャズのジャングルビートに乗せてショーの始まりを告げる。自然とクラップが起こり、身体も揺れる。ユーフォニアム&バストランペットの聖奈、サックスの佳子がソロで聴かせると、ボーカルの栞音と愛佳が現れる。5人が揃うと沸き起こる拍手。 “CiON、パシフィコ横浜ー! 始めるよー!”の合図で、大歓声とともに「Last Order」で開幕。
ノリに乗れるスピード感。間奏の軽やかなピアノ、柔らかなバストランペット、うねるようなサックスの音からの栞音の色気と深みのある歌声、愛佳の冷静なトーンから急激に突き抜けるロングトーンが痺れる。
艶やかさから、カラッと元気な楽曲「等身大ガール」へ。聖奈、佳子は楽器を演奏しながら、愛佳、栞音と華麗にステップ。ステージも横に広く使う。最年少18歳、はしゃぐ愛佳。4人は「鼓動PARADE」でも動き回り、観客と一緒にクラップ。レスも送っていく。
自己紹介では、佳子がキャッチフレーズの“かこぽんぴ”に掛けた、“おつぽんぴ”や“ありぽんぴ”を観客と一緒に叫んだ後、“まだ声がちっちゃい気がするので、私のお手本を見てください!”と、全力で小島よしおの“オッパッピー”をぶっこむ。戸惑う観客にもひるまず、“パシフィコですべっても、そんなの関係ねぇ!”でやり切る。あと、網タイツ越しの美脚も見せた。
佳子と杏実は高校の同級生でいつメン。杏実も負けじと、お立ち台の上でドーンと“ありがとまんじゅう〜!”をお見舞い。おまけに“大好き!”も放ち、ファンをメロメロにした。
続いては、サザンオールスターズ「エロティカ・セブン」のカバー。余裕のある歌声を聴かせる2人。《セブン》の吐息感のある歌い方も色っぽい。スクリーンに映し出された愛佳の横顔もグッと美人で大人っぽい。「Addiction」は、よりアダルトでクールでグルーヴィ。秘めた危うさや獣感、緊迫感がダンスや歌声、1つ一つの音に表現されている。終盤の栞音のアカペラ《Just hold me tight》の綺麗な高音ビブラートから、杏実が鍵盤で奏でる不穏な音。息を呑む観客。緊張感に包まれた後、爆発的に音と声が広がっていく展開はドラマティック。
熱狂的なパフォーマンスに大歓声と拍手が送られる。そして、栞音が“どうしてもここで歌いたい曲がある。もう8年、ずっと隣りで歌ってきました”と、名作「となりのトトロ」の替え歌で「となりの愛佳」を披露。聖奈、佳子は階段に、愛佳はピアノの側に座る。
相方への感謝の気持ちを綴ったカラオケ字幕に乗せて歌う栞音。すると、愛佳も立ち上がり、《となりの栞音》に言い換え、《あなたがいなかったら今のCiONはない 本当にありがとう》と歌い、リーダーを讃える。ネタ曲ではあるがちょっと感動。ちなみに、グループ名と栞音という名前が一緒なのは偶然だそう。
デュエットが終わり、聖奈の“ジャズセッションいってみよう!”のキラリとした声で、ジャズパートへ。
軽快でムーディな「月逢夜」、ユーフォニアムの重厚感のある音が映える「あなたのせい」と、夜の恋愛を描いた楽曲で沼らせると、曲の途中でスウィングジャズの定番曲「Sing Sing Sing」を挟む。ここで、バンドメンバーをソロ回しで紹介。全員、奏でる音も黒シャツ姿も渋くてカッコいい。
さらに、楽器隊メンバーも紹介。“栃木が生んだセクシーピアニスト”杏実、“(ヘアアレンジも得意なため)髪の毛までも操る最強演奏者”聖奈、“CiONのヘンテコ宇宙人、でも吹いている姿は本当にカッコよくて美しい”佳子。その通りな気がする。ソロでは、聖奈のユーフォニアムを抱き抱えながら操る姿は優しい雰囲気が出ていて印象的。だから包容力のある音が出せるのだなと。
一呼吸おいて「曖昧≠Libido」へ。心地よいメロディに聴き惚れる。スカッとするドラムソロからSMAP「SHAKE」のカバーが始まると跳ね回る愛佳。会場も明るくなり、観客も一緒に歌ったりクラップしたりと一体感も生まれる。佳子がお立ち台の上に立ち、アウトロをカッコよく決めると思いきや、音ネタやビートたけしのコマネチをくり出し、焦らす。CiONは歌声、演奏、ビジュ、スタイルも優れているけど、お笑いも足しておく。
なんだかんだ佳子がバシッと音をつないで「Now or Never」へ。ファンも“オイ!オイ!”と盛り上がる。ショルダーキーボードでステージの前に出てきた杏実はシンセをかき鳴らす。5人が並ぶとそれぞれが最強の武器を手にした戦士みたいで見ていてワクワクする。
髪をほどき、戦闘体制に入る愛佳。激しく熱いサウンド「MAHORAMA」「S;ckkkkk」「Noisy」を立て続けにドロップ。楽器隊の3人も観客を煽りながらブチ上げていく。荒ぶる野生的な愛佳、女豹な栞音、エネルギッシュで躍動的な聖奈、佳子。杏実は椅子から立ち上がって弾く姿が勇ましい。
フィニッシュになると、愛佳が“これが! CiONだーーーーー!”と、改めて強い存在感を示した。
最後の曲を前に栞音は、パシフィコ横浜の5,000人を埋められなかったことへの悔しさをにじませ“リベンジする”と力強く宣言。売れたい気持ちも吐露。ファンに対しては涙をこぼしながら感謝の気持ちを伝えた。“この景色が当たり前じゃないということを噛み締めながら、心を込めて届けたいと思います”と、「心の声」へ。
5人だけで奏でる音色。不安もあるけど前向きに。会場が穏やかさ、温かさ、希望に包まれる。
鳴り止まない拍手からのアンコール。突如、VTRが流れどよめく会場。昨年発売予定だった「しましょ」のリリースが決定。そして、再びavexからメジャーデビューすることが発表されるとファン歓喜。
「しましょ」のイントロで5人が再び登場。晴れやかな表情。歌詞の《夢を見ましょ》《冒険しましょ》が明るい未来へ向かわせてくれる。振り付けもキャッチーでキュート。アウトロでピアノの音が残るのも、弾く仕草も洒落ている。
観客の拍手と“おめでとう!”の声に迎えられ、栞音が改めてメジャーデビューを報告。“嬉しいね!”と喜びを噛み締める。愛佳は大粒の涙を流す。栞音は真剣に“2階席の関係者のみなさん、これから大きな力をCiONに貸してください!”と呼びかけながらも笑いを誘った。
ラストは、5人で客席へ飛び出し「サマラブイリュージョン」をパフォーマンス。メンバーも観客も一緒にクラップをしたりジャンプをしたりと大団円。笑顔でハッピーな空間が広がった。
ステージに戻ると、手を繋いで“以上、CiONでした! ありがとうございましたー!”で締め括った5人。涙あり笑いあり、熱気にあふれたライブ。この先、5,000人では収まり切らないほど多くの人がCiONの音楽を聴きに、パフォーマンスを観に来ることを信じている。
CiON<THIS IS CiON>
2025年2月15日(土)
パシフィコ横浜国立大ホール
01.Last Order
02.等身大ガール
03.鼓動PARADE
MC
04.エロティカ・セブン
05.Addiction
MC
06.月逢夜
07.あなたのせい
08.曖昧≠LiBido
MC
09.SHAKE
10.Now or Never
11.MAHORAMA
12.S;ckkkkk
13.Noisy
MC
14.心の声
〜アンコール〜
En01.しましょ
MC
En 02.サマラブイリュージョン