【取材レポート】新潟県上越ゆかりの写真家「濱谷浩展」始まる。あわせて講演会も 竜哲樹(にいがた経済新聞社顧問)
新潟県上越市ゆかりの写真家・濱谷浩の生誕110年を記念した「人間と風土をみつめて」と題する濱谷浩展
新潟県上越市ゆかりの写真家・濱谷浩の生誕110年を記念した「人間と風土をみつめて」と題する濱谷浩展が、3月22日から上越市の小林古径記念美術館で始まった。展示は6月22日まで。上越にゆかりの深い写真100点余りが展示されていた。
濱谷が使用したハンドカメラ、二眼レフカメラ、航空撮影用カメラ、報道用ヘルメット・腕章・記者証なども展示されている。初日の3月22日には講演会も開催され、濱谷浩とゆかりの2人が登場し、濱谷との思い出を語った。なお、濱谷浩はもともと報道系統の写真家であったが、撮影は日本国内のほか世界各地でも精力的に行い、日本人初のハッセルブラッド国際写真賞や日本芸術大賞などを受賞している。
濱谷は1939年(昭和14年)、24歳の時フリーカメラマンとして高田連隊スキー部隊の取材で初めて新潟県高田市(現上越市)を訪れ、豪雪の光景に衝撃を受け、その後桑取谷の小正月の民俗行事の記録写真などを10年以上にわたって撮り続けた。その間1944年には上越市に移り、ここを拠点に日本海側の雪国の暮らしや風土、人々の営みの記録に力を入れるとともに、その後は1960年代後半から世界の写真を撮り、約8年間で六大陸を踏破した。更に1970年代もたびたび海外の展覧会にも参加、世界各地で撮影旅行を旺盛に繰り広げ、氷河や山岳など世界の自然も撮影し続けた。
濱谷浩展初日3月22日の「濱谷浩・人と作品」をテーマにした講演会
濱谷浩展初日の3月22日、講演会「濱谷浩・人と作品」をテーマに、一部では海外の撮影に同行するなど親交の深く、現在作品管理も行っている多田亞生さんが講演し、二部では高田の文化人として父齋藤三郎さんと2代にわたり親しく交流した陶芸家、齋藤尚明さんが「濱谷浩の高田時代」について語った。
その中で多田さんは「航空写真を体当たりでエベレストやサハラ砂漠、コロンビア氷河などを撮り続け、世界で高い評価を得ていた」と語り、齋藤さんは「高田の文化人と言われる人達との交流を長く続け、私は幼かったが父の窯にも何度も訪れ陶芸にも親しんで貰った」などと紹介した。
なお、濱谷は写真家としての第一歩はこの上越市から踏み出したとも言われ、展示作品の中には特に上越市の桑取谷の小正月行事の写真10数点が雪国上越の暮らしとして記録されているほか、十日町や小千谷、出雲崎など雪国越後の作品とともに、青森や秋田、山形、富山、島根などの日本海側の写真も多数も含まれている。
さらに上越ゆかりの文化人である小林古径や小田嶽夫、棟方志功、堀口大學、坂口安吾の写真のほか、小杉放菴や上村松園、安部公房、佐藤春夫などの人物の肖像などの撮影作品も。
海外作品ではアメリカのテキサス州などのほか、アイルランドやアイスランド、カナダ、スイス、ネパール、グリーンランド、南極、ブラジルなど、とにかく日本国内から世界中で撮影した作品が盛りだくさん展示されている。
文・撮影 竜哲樹(にいがた経済新聞社顧問)
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