【今週の『忘却バッテリー』の話題は?】鼓動が揺らすこの大地とハイタッチ! 智将らしからぬ熱いプレーにチームも読者も大興奮!<176話>
マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」で連載中のみかわ絵子先生による大人気漫画『忘却バッテリー』。中学時代に“怪物バッテリー”として名を馳せた天才投手・清峰葉流火と捕手・要圭が、要が記憶喪失になったことをきっかけに野球部のない都立高校に入部し、かつて自分たちが挫折させた球児たちと再び野球に打ち込む日々を描いた高校野球漫画です。
ギャグ調に描かれる男子高校生たちの日常と野球に真剣に取り組むゆえにぶつかるシリアスな問題との絶妙なバランスが多くの読者の心を掴み、2024年4月にはアニメ第1期が放送され、第2期の制作も決定しています。また、主題歌となったMrs. GREEN APPLEの「ライラック」はその年のレコード大賞を受賞し、こちらも大きな話題となりました。
隔週木曜日はそんな『忘却バッテリー』の更新日! 6月12日には最新176話が公開されました。前話では氷河の2年生投手・巻田が活躍を見せ、氷河が追加点を上げ、小手指にとってはより苦しい状況に。追い込まれた小手指がどうするのか、注目が集まっています。
本稿ではSNSに寄せられた反響とともに、176話の内容の振り返りや考察をしていきたいと思います。
※本稿には、176話のネタバレが含まれますのでご注意ください。
智将がヘッドスライディング!? らしからぬプレーはチームも読者も熱くさせる!
今回多くの読者を沸かせたのは、智将・要圭のヘッドスライディングでした。冷静沈着な智将は、かつて「怪我のリスクがあるうえに、駆け抜けた方が速いデータもある」とヘッドスライディングを正論で否定。第99話では感情に支配されてやる愚かなプレーのような言い方さえしていました。
そんな智将がヘッドスライディングをしたのは、後輩投手・瀧のためです。コテンパンに打たれてしまった瀧は、口では平気だと言っているものの、実際はショックを受けていました。
その姿を見た要は、瀧をモノサシにして無意識のうちにもうひとつの人格に勝とうとしていたことを自覚します。清峰の魔球・スプリットを捕球できない代わりに瀧を完璧にリードしようとしていたのは他ならぬ自分のための行いだったのです。
自分のエゴで苦しい思いをさせてしまった瀧に申し訳なさを感じながらバッターボックスに立つ要は、今までにないほど強く塁に出たいと思い、その熱意がらしからぬヘッドスライディングに繋がりました。
智将らしくない熱いプレーにチームメイトたちは喜びと驚きの表情を浮かべていましたが、沸き立ったのは読者も同じ。「激アツだ」「それでいい!それでいいんだよ智将!」「智将が仲間のためにヘッスラする日が来るなんて……」「ライラックの歌詞きたーーー!鼓動が揺らすこの大地とハイタッチ!」「葉流火が嬉しそうにしてるのもいいな」とSNSには感動の声が多数寄せられています。
要は自分がヘッドスライディングをやったことに驚いている様子ですが、瀧をはじめチームメイトたちの喜ぶ姿を見て、「悪くねェ気分だ」と正論だけではない何かを感じている様子。小手指ビハインドの状況は変わっていないのに、無事出塁できただけでなく、暗かったチームの空気は要のプレーで明るくなっています。
私はこのヘッドスライディングが智将ともうひとつの人格(以下、圭ちゃん)が統合される兆しのように感じました。それは、ヘッドスライディングがリスクに見合っていないと頭で判断しているのが智将で、瀧のために塁に出たいという感情は圭ちゃんのものだと思うからです。
同じように「智将と恥将の同化始まってる?」「やっぱ要圭は一人の人間なんだな」「口調も少し恥将に似てきた気がする」と二つの人格がひとつになる兆候を感じている読者も少なくない様子。
このプレーをきっかけに、冷静沈着な智将の頭脳と人思いで優しく豊かな感情を持つ圭ちゃんの人柄を併せ持つ、新生・要圭が誕生することを期待しています。そして、新しい要圭こそが劣勢の小手指を救う鍵となるのではないでしょうか。
照れる智将が可愛い! 感動回だからこそ光るギャグ!
智将の大きな変化に胸が熱くなる本話ですが、感動だけで終わらないのが『忘却バッテリー』です。涙してしまうほどの感動回だからこそギャグが光っていました。
要の熱いプレーに感化された藤堂は、「おめェの“思い魂(おもいダマ)”しかと受け取ったぜ」と要にジェスチャーで伝えたところ、あまりのクサさに要は急に恥ずかしさが込みあげ赤面。
滅多に見せないオロオロした表情に「智将の照れ顔いただきました-!!」「はっっっっっずの顔可愛いw」「圭様が愛おしすぎる…」と読者も反応を見せています。恥ずかしがる智将の姿にも、圭ちゃんっぽさが出ていましたよね。
また、「藤堂クサイの似合いすぎてて困るw」「藤堂はどうかこのまま擦れることなくクサイままでいてほしい」「圭のヘッスラで感動して泣きそうになってたのに藤堂の思い魂で引っ込んだw」といろんな意味でいいキャラの藤堂にも多くの感想が寄せられています。
こっぱずかしいことを平気でやってのけた藤堂ですが、次のバッターに彼が控えていることは頼もしいことこの上ないですね。気持ちでプレーする藤堂が(勝手に)思い魂を受け取ったのですから、塁に出た要をきっとホームに還してくれるに違いありません! 小手指の挽回プレーに期待が高まります。