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高血圧「放置」を防げ ノバルティス×日本交通、健康行動を後押しする予防医療の最前線

月刊総務オンライン

高血圧「放置」を防げ ノバルティス×日本交通、健康行動を後押しする予防医療の最前線

日本交通(東京都千代田区)は5月16日、ノバルティスファーマ(東京都港区)との高血圧対策の結果、健康診断の結果に基づく二次健診の対象者や、乗務停止に至った乗務員の数が減少したと発表した。

健康診断で、高血圧は自覚症状が乏しいまま重大な疾患を引き起こす「サイレントキラー」として知られる。とくに不規則な生活を送りがちな職種においては、早期発見と継続的な対応が不可欠だ。ノバルティスファーマと日本交通は、乗務員の健康管理を強化し、安全運行につなげるための取り組みを進めている。

セミナーで本人や家族の理解促進、血圧測定で予防を習慣化 二次健診・乗務停止者が大幅減

タクシー乗務員は不規則な食生活や勤務形態により、血圧のコントロールが難しいとされている。高血圧は脳梗塞などの重大な疾患を引き起こし、運転業務に支障を及ぼすリスクもある。

このため、日本交通では全社的に、高血圧と診断された社員への二次健診受診の促進や、乗務前の血圧測定などの取り組みを進めてきた。さらに、2024年7月にはノバルティスファーマと高血圧対策に関して連携を開始し、これらの取り組みを一層強化している。

具体的な取り組みとして、2024年7月と12月に「タクシー乗務員向け 高血圧対策セミナー」を開催。セミナー参加の呼び掛けやオンライン視聴の環境を提供することで、乗務員や家族、労務管理担当社員の理解を促した。

取り組みの結果、年に2回の定期健康診断を受診したタクシー乗務員のうち、2022年は4%以上、2023年は2%以上いた二次健診対象者が、2024年秋の健康診断で1.7%に減少した。

また、二次健診対象となったタクシー乗務員のうち、2022年春の健康診断で100人いた血圧の治療を開始していない乗務員が、2024年秋の健康診断では48人まで減少した。

さらに同社では、乗務前に血圧を測定し、複数回基準値を超えた場合には乗務を停止し治療を勧めている。講習会前の2024年6月時点で乗務停止となった乗務員は42人だったが、2025年4月には10人まで減少した。

同社は、「乗務員が前向きに自らの健康に関心を持ち、健康増進に取り組んでいく環境を整えていくことで、安全・安心なサービスを追求していく」としている。

なお、5月17日は「世界高血圧デー」と定められており、国際的にも高血圧の予防と対策が呼びかけられている。企業としての取り組みは、こうした社会的課題への実践的な回答ともいえる。

健康診断で高血圧指摘も、4割は通院せず 民間調査

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるように、自覚症状の乏しさから放置されやすく、気付かぬうちに重大な疾患を引き起こす危険がある。

ノバルティスファーマ(東京都港区)によれば、高血圧の国内推定患者数は4300万人といわれており、そのうち3100万人は生活習慣の改善や治療開始もしくは強化が必要とされている。

キュア・アップ(東京都中央区)が5月14日に公表した「通院行動ならびに血圧測定」によると、健康診断で「血圧が高い」と指摘されても、4割以上がその後に通院していないことが明らかになった。

調査は健康診断で血圧が高いことを指摘された30歳代から70歳代の男女、1007人にインターネットを通じて実施した。

「健康診断で高血圧を指摘されたあとに通院したか」について「行っていない」(28.5%)と「一度病院に行き、通院していない」(12.9%)の合計が41.4%となり、約4割が通院していなかった。通院しなかった理由は、「自覚症状がないので、行く必要性を感じない」(31.0%)、「面倒だった」(27.5%)「忙しくて時間がない」(21.3%)」など、「通院行動」に対する心理的ハードルが上位を占めた。

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同社は「最も多かった『自覚症状がない』は、高血圧を今すぐ対応すべきこととして捉えていない意識が背景にある」と分析している。

日本交通の発表の詳細は、同社の公式プレスリリースで確認できる。

キュア・アップの発表の詳細は同社の公式プレスリリースで確認できる。

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