夢洲直通列車、新型観光列車、ビスタカー更新……近鉄の中期経営計画にファンの期待集まる
近鉄は26日、「近鉄グループ長期ビジョン2035」「近鉄グループ中期経営計画2028」を策定。沿線の価値深化・活性化や沿線外・グローバルでの事業拡張といった方針を打ち出しました。
中期経営計画に記載のある鉄道関係の取り組みとしては、大規模災害に対する対策や各種設備更新による省力化・省人化、DX・ITによる業務効率化などが挙げられています。
新型一般車両「8A系」は2025年度から2028年度にかけて150両ほど導入予定。このほかにも名阪間の特急増発や終電繰り下げ、大阪・関西万博へ向けた需要の取り込み準備なども掲げられます。
気になるのはコンセプトやテーマ性の高い列車の導入を検討しているという記述。すでに報じられている「夢洲直通列車」だけでなく、「新型観光列車」「ビスタカー更新」の文字が並びます。
夢洲と近鉄沿線を結ぶ直通列車は、2030年秋頃の開業が予定されている大阪IRを見据えたもの。近鉄・生駒駅を介した沿線への直通列車の開発・運行を検討中です。
前提として、夢洲に乗り入れるOsaka Metro 中央線と近鉄けいはんな線は相互直通運転を行っています。しかしながら近鉄けいはんな線と生駒駅で接続する近鉄奈良線では集電方式が異なるため、これを解決しない限り直通運転はできません。同社は2022年5月時点で直通列車に必要な集電装置の試作品を完成させており、技術的には実現可能性は高そうです。
【参考】「夢洲直通列車向けの集電装置」試作品が完成、各種試験へ 近鉄
https://tetsudo-ch.com/12434971.html
ビスタカーといえば、1978年に登場した近鉄特急のシンボル「2階建電車」ビスタカー3世こと「30000系」。改めてリニューアル工事を施す可能性もなくはありませんが、さすがに登場からそろそろ50年という車両を今後も継続使用するとは考えづらく、いよいよビスタカー4世を新造するのではないかと予想されます。新型観光列車に関しては完全に未知数です。
近鉄GHD総合政策部からは、これらビスタカーの更新や観光列車について「現時点で決まったことはありません」との回答があり、全容が明らかになるまでもうしばらく時間がかかることでしょう。
ここ数年の動きを見ると、近鉄は観光特急「青の交響曲」、特急「ひのとり」、観光特急「あをによし」、新型一般車両「8A系」……と、改造も含めて、名車を世に送り出してきました。そこにどんな車両が加わるのか、鉄道ファン目線でも注目が集まります。