デニム着物で町歩き ~ 倉敷着物小町でデニム着物をレンタルして倉敷美観地区をお散歩しました
デニム着物を知っていますか。
デニム生地を使用したいわゆる単衣(裏地のついていない着物)の木綿着物で、色・柄・加工・色落ち後の質感にこだわり、着物以外にもさまざまな和服に対応していて、家庭の洗濯機で洗える特徴を持っています。小物の組み合わせも自由にできるデニム着物は、若い人から年配のかたまで、着物を自由に楽しみたいかたに喜ばれているそうです。
全国初のデニム着物専門店として、国産ジーンズ発祥の地・岡山のデニムを使った「デニム着物」のレンタル・販売をおこなう「倉敷着物小町」のデニム着物を着て、倉敷美観地区を歩いてきました。
倉敷着物小町とは
倉敷着物小町は、倉敷美観地区内にあるデニム着物専門店です。
全国初のデニム着物専門店として、国産ジーンズ発祥の地・岡山のデニムを使った「デニム着物」のレンタル・販売をおこなう倉敷着物小町。
デニム着物だけでなく小紋やハレの日の着物も扱う倉敷着物小町のレンタルプランは、2024年9月現在、以下のとおりです。
・デニム着物レンタル
・小紋着物・浴衣レンタル
・フォーマル・ハレの日着物レンタル
デニム着物レンタルと小紋着物・浴衣レンタルはデイプラン(午前9時30分~午後5時)とナイトプラン(午後3時~翌日午後12時)があります。
レンタルでは、デイプランに限りレンタル料金+3300円(税込)で、カメラを持った倉敷着物小町スタッフによる40分の美観地区案内が付いたフォトプランも用意されています(2名以上の場合は、一人レンタル料金+2200円)。着付けた本人のスマホだけでなく、カメラで撮影した写真データ100枚以上がDVDデータで手渡されるので、思い出を残せそうですね。
倉敷着物小町では、レンタルだけでなくデニム着物の販売もしています。
倉敷着物小町のオリジナルのデニム着物ブランド「komachi」の着物は、“ジーンズの聖地”倉敷市児島・井原市のデニム生地メーカーで直接仕入れで選んだデニム生地を使用した、いわゆる単衣の木綿着物です。
実際に見て触れてみたいかたは、店舗で確認できるほか、購入前にはレンタルして倉敷美観地区を歩くことも可能です。
デニム着物レンタルを体験してきました
2023年12月に関東から倉敷へ移住してきた私は、関東に暮らしていた頃から茶道を習っているので自分で着物を着ます。倉敷に移住してきてからずっと、倉敷ならではのデニム着物を着てみたいと思っていたので、デニム着物レンタルを体験することにしました。
浴衣だけでなくヘアアクセサリーや小物も、自分好みにチョイス
当日、予約時間にお店へ行くと2階のお部屋に通されました。
部屋のなかにはデニム浴衣だけでなく小紋(全体に模様が入ったおしゃれ用の着物)の浴衣も並んでいます。
予約時に「デニム浴衣」と伝えていましたが、当日実際の浴衣を見て小紋に変更することも可能なのだとか。
私は、左右で柄が異なるデニム浴衣を選びました。
次に、ヘアセットです。
普段自分で着物や浴衣を着るときは自分でヘアセットをしますが、今回はせっかくの機会なので浴衣に合う髪型にセットしてもらいました。
どのようなスタイルにしたいかを相談できるだけでなく、ヘアアクセサリーも選べてついつい心が躍ります。
この日は暑かったのでアップに仕上げて、デニムのヘアクセサリーを付けてもらいました。
ヘアセットは別途1320円(税込)かかります。
ヘアアクセサリーは、一階の受付で購入も可能です。
帯や帯締めも、自分の好きなものを選べます。私は優柔不断なので悩んでしまうのですが、私が選んだ数種類をスタッフのかたが鏡の前で何度も合わせてくれて、ようやく決められました。日々さまざまなお客さんに接しているスタッフのかただからこそ、大胆な色の組み合わせもあって新鮮に感じます。
バッグや下駄も数種類のなかから選んで、いよいよ倉敷美観地区のお散歩スタートです。
歴史を感じる阿智神社と着物の相性は、抜群
まずは、体力のあるうちに阿智神社へと向かいます。
デニムというと通気性が良くなく、熱がこもってしまう印象を持っていました。しかし、倉敷着物小町のデニム浴衣は通気性が良く、通常の浴衣と同じような着心地です。
阿智神社の歴史的な建物やおみくじと、デニム浴衣の色合いが風景のようによくとけ込んでいたように感じます。
コールドドリンクとの相性も抜群な、デニム着物
この日は非常に暑かったので、何度か水分補給をしました。
まずは、倉敷美観地区にあるkoba coffeeへ。
店内一階に赤い壁があることで、デニム着物の藍色がよく映えます。注文したコーヒーフロートも相まってモダンな一枚が撮れました。
また、街歩きの途中では江戸中期の建物を利用した倉敷と岡山の地酒専門店「土手森」でラムネを購入。
こちらもラムネ瓶とデニム浴衣、倉敷美観地区の風景を一枚におさめると、大変レトロな印象になります。
倉敷美観地区は、デニム着物×江戸時代の町並みを歩ける貴重なスポット
私は海外旅行が好きで、現地に行くとよく現地の洋服や民族衣装に袖を通します。
そうすることで、現地のかたが親しみを持って話しかけてくれたり、私自身もその町の一員になれたような気持ちにさせてくれたりするからです。
倉敷美観地区を歩いていると、浴衣や着物を着た外国人観光客を多く見かけます。
倉敷着物小町のスタッフによると、倉敷美観地区を訪れる外国人観光客はリピート客も多く、そのようなかたが「前回は勇気が出なくて着られなかったけれど、やっぱり着物を着てみたい」と予約されることもあるのだとか。
小紋の浴衣や着物は他の町でも着られますが、倉敷市児島や井原市などの岡山県産のデニム着物を着て歴史的な街並みを歩けるスポットは貴重です。
もちろん、私たち日本人にとってもデニム着物を着て歴史的な町並みに想いを馳せられるスポットは、めったにありませんよね。
倉敷美観地区の町屋や、倉敷川沿いの柳、児島デニムをはじめとする倉敷の紡績業を支えた倉敷紡績所の建物を生かした宿泊施設倉敷アイビースクエアの前を歩いたら、あっという間に倉敷着物小町へ戻ってきてしまいました。
着物を返却し、着物から普段着へ着替えると冷たいお茶のサービス。着心地の良い着付けでしたが、腰ひものない普段着へ着替えて飲むお茶は体の芯をツーっと伝っていき、心地良いものでした。
着物で江戸時代の面影が残る倉敷美観地区を歩き、想いを馳せる
倉敷美観地区は、江戸時代の町並みがそのまま残されている伝統的建造物群保存地区。
この町並みができた頃の倉敷美観地区の人々は、着物を着て生活していたことでしょう。
江戸時代の町並みや人々の暮らしに想いを馳せつつ、江戸から明治にかけて栄えた倉敷の紡績文化から誕生したデニム着物を身にまとう。
歴史的な町並みを残し続けている倉敷美観地区だからこそ体験できる、着物体験はいかがでしょうか。
取材協力
・撮影:吉野なこ