相模原市、25年度から小学1年生の給食費無償化へ 3月市議会に条例案と予算案を提出
相模原市は2025年度から、市立小学校・義務教育学校の1年生の給食費を無償化する。市議会3月定例会に条例案と、25年度の費用約2億4千万円を盛り込んだ一般会計当初予算案を提出した。
対象となるのは、市立小学校と義務教育学校の1年生約4800人。24年度の市立小学校の給食費は年間5万600円だが、これが新1年生のみ無償化される。
背景には隣接する東京の小中給食費無償化
近年、物価高騰の影響を受けて、保護者の給食費負担を軽減させる対策を打ち出す自治体が増えている。東京都では24年度中に、都の財政的補助を受け全62区市町村が小中学校給食費の無償化を実現。神奈川県内では中井町、箱根町、大磯町(小学校のみ)、清川村、南足柄市、厚木市などが小中学校の給食費を無償化している。
相模原市では今回の無償化に先立ち、24年1月から3月に、市立小学校と義務教育学校(前期課程)の給食費を時限的に無償化。本格的な無償化に向けて検討してきた。
1年生限定の理由は財源
今回の無償化が1年生限定となったことについて市教育局の担当者は「財源」を理由に挙げ、「小学校入学時は学用品の購入などで出費が増える。また、1年生の保護者は高学年よりも比較的年齢が若く、所得がより少ない世帯が多いと推察されるため、優先的な支援を決めた」と話した。
財源の確保が今後の課題
財政の制約がある中で、どのように無償化を継続していくかが今後の課題となる。子育て支援策について自治体間競争・格差が生じている現状を改善していく必要があり、現在、与野党がしのぎを削る国の予算案の行方にも左右される見込みだ。
現場の声、「助かる」「不公平感が…」
無償化の対象となる新1年生の保護者は、どのように受け止めているのか。南区の認定こども園「相模すぎのこ幼稚園」で新1年生の保護者に話を聞くと、「物価が高騰している中、単純に助かる」と歓迎する声がある一方で、「他学年の保護者には(無償化について)言わないほうがよさそう」と不公平感を口にする人もいた。「財源的に『全学年で1年間』の無償化が無理なら、『全学年で1学期だけ』というやり方もあるのでは」との意見もあった。
18年から活動する「相模原の学校給食をよくする会」は「給食費無償化には賛同しない」とSNS上で表明している。同会のおがたゆみ代表はその理由を「現在、中学校の全員喫食という普通の給食ができていないから」と説明。給食室の耐震化やエアコンの設置、自校方式の継続など、安全な給食提供のための課題は他にもあるとし、「無償化の前にやるべきことがある」と指摘している。
市の担当者は「26年度以降も新1年生の給食費無償化は継続したい」と話している。