「ちくわパン」がやってきた!誘致した小さなマチの高校生が考える地方のカタチ
札幌市から150キロ離れた小さな町に、あの人気店が期間限定でオープンしました。
7月、北海道北部の羽幌町にできた長~い行列。
その先にあるのは札幌市の人気パン店『どんぐり』のキッチンカーです。
並べられたパンは、約10分ほどで完売する盛況ぶりです。
このキッチンカー、実は地元の高校生が授業の一環で誘致したのです。
企画した生徒は「買って喜んでくれる姿を自分たちも見ることができてすごくいい経験になったし、呼んでよかった」と話します。
地域が抱える課題を高校生が解決する。
新しい学びのカタチを深掘りします。
連載「じぶんごとニュース」
地域の課題を見つける、必須科目
キッチンカー誘致を企画したのは、羽幌高校2年の有野友那さん・芳賀ここみさん・天谷心さんの3人。
なぜ「キッチンカー」を呼ぼうと思ったのでしょうか。
芳賀さんは「羽幌町の地域活性化を挙げて、そのためには何が必要かを考えたときに、地域の賑わいと新たな雇用創出ができるのが企業誘致だった。第一歩としてキッチンカーの出店を考えて、いくつか企業に声をかけた」と教えてくれました。
こうした地域の課題や解決方法を考えるのが、全国の高校で2022年度から導入された「総合的な探究の時間」という必須科目です。
自分の生き方について考えながら、みずから課題を見つけて、解決していく能力を養う授業です。## 『どんぐり』だけじゃない!若者が集まれる賑わいの場所を
人口5800人弱の羽幌町には、若者が集まれるファストフード店やファミレスなどもなく、賑わいや雇用の創出につながればと、キッチンカーの誘致を企画しました。
牛丼チェーンの『すき家』も、企画に賛同してくれた企業のひとつです。
先週、災害時用のキッチンカーを派遣し、移動販売をしました。
高校生たちはこうしたキッチンカーをやっている企業に焦点をあてて調べていったのだといいます。
さらにこんなことも考えました。
「最初年齢は全年齢を対象にやっていたけど、雇用のことを考えると、若い方が働きそうな店がいいのかなと」
「本当にキッチンカーも来てもらえるのか不安だったけど、来てもらえて、みなさんに買ってもらえて、すごく嬉しかった」
未来を切り開く力を育成
羽幌高校の今泉恒平教諭は「こういう活動をちゃんとやった方が、結果的に学力が伸びてくる」と感じています。
「履歴書や調査書も内容が厚くなってくるので、この授業は絶対やっていた方がいい」
こうして、『すき家』に続き第2弾でやってきたのが、札幌の人気パン店『どんぐり』でした。
あっという間に行列に
「ちくわパン」をはじめとした魅力的なパンは広く知られていますが、羽幌にやってくるのは初めてです。
企画した2年の有野友那さんは「札幌に行って食べたときに、すごく美味しいなと思って、種類も豊富だし、幅広い年齢に食べてもらえるなと思ったので呼んだ」と話しました。
『どんぐり』のキッチンカーは、昼休みの時間に合わせて、高校にもやってきました。
お目当てのパンを買うため、あっという間に行列に!
今回用意したのは、定番のちくわパンや札幌の本店でしか買えないシナモンロールなど、約16種類。
羽幌町ということで、特産の甘エビとタコを使ったコラボパンもありました。
企画した3人も帽子とエプロンをつけて、お手伝いです!
どんぐりキッチンカーリーダーの若原和史さんは「採算は考えていない」と話します。
「町の人たちの幸せをテーマに掲げていたので、どんぐりとしても何か手伝いができないかと、今回やらせてもらった。皆さんに喜んでもらうことしか考えていないので、皆さんが笑顔になれたら、それで全てOKだと思っている」
さらに、町民の笑顔を前に今後の羽幌への出店も「検討したいと思います」と話していました。
羽幌高校では今後、購入者へのアンケート結果などをまとめて、9月ごろに町議や関係者に向けて発表するということです。
ほかの高校でも…商品開発や「フェス」企画
▼オホーツク・雄武高校
高校生がマチの特産品をいかした新しいグルメを考案し、「ホタテせんべい」と韃靼そば粉を使った「韃靼ラーメン」を企業が開発。
道の駅で開かれた試食祭で商品開発の成果を披露しました。
▼十勝・本別高校
知名度アップや交流人口の拡大を目的に音楽イベントを開催。
高校生が地元企業に協賛を募り、アーティストはSNSで出演交渉。
人口約6000人のマチに1800人を集客しました。
失恋ソングの女王「さとうもか」さんや、湘南乃風のHAN-KUN(ハンクン)さんなどが出演しました。
高校生が授業を通じて身に着けていく「未来を切り開く力」に注目です。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年7月22日)の情報に基づきます。