【密着】「世界一好きな店の閉店を見届ける人」を見届けてみた結果 → 解散ライブすぎて苦しくなった
8月29日19時過ぎ、終業間際の当サイト編集部。突然、隣デスクの御花畑記者が「うそっ!!!!?」と、かなり大きめの独り言を発した。 “大物芸能人の訃報を聞いた人” くらいの声量だったので、とっさにサンジュン記者が「誰か死んだ?」と尋ねたのも無理はなかった。
「私が世界一好きなソフトクリーム屋が3日後に閉店するって……」と、消え入るような声で理由を語った御花畑記者。ソフトクリームに1位とか2位とか、そういう概念が存在したことに驚きを隠せないのだが、とにかく “こんなに落胆している人” を見る機会もそうはない。
そんなワケで野次馬心に火がついた私は“世界一好きなソフトクリーム屋の最後を見届ける人を見届ける” ことにしたぞ!
・見守ってみた
ちなみに御花畑記者は別にソフトクリーム専門家とかではない。彼女はちょっと稀に見るレベルのお菓子好きで、他にも “一番おいしいまんじゅう” とか “一番おいしいクッキー” といった情報を色々所有しているのだ。お菓子に関する守備範囲が広い人物なのである。
翌8月30日。大雨の影響で電車が動いたり止まったりするなか池袋駅で待ち合わせ。メガネの奥にギラリ! と鋭い眼光の御花畑記者。
開店15分前の池袋東武デパート前。並んでいるのはソフトクリーム目当てのガチ勢たちか? と思いきや、御花畑記者いわく「まだ閉店の情報はそこまで出回っていないので、単に早く着いた人たちだと思う」とのこと。なるほど。
なお御花畑記者が「世界一おいしい」と断言するソフトクリームを出すのは『ウォーターメロン』なるお店。開店を待つ間「一体何がそんなにスゴイのか?」「ソフトクリームはソフトクリームではないのか?」等、様々な質問を投げかけてみたが……詳しくは御花畑記者の記事をご参照ください。
そんなこんなで開店ダッシュ。我々の前に並んでいたのは女性が1人。「ガチ勢だね」と御花畑記者。なるほど。
・マリコさん、語る
注文したソフトクリームが出てくるまでの間、オタク特有の早口で店員さんにお店への愛を語り始めた御花畑記者。店員さんも慣れた様子で対応していたので、このテの熱烈なファンの来訪が少なくないのだろう。
ウォーターメロンの閉店日はわずか2日後。色々と事情があって公式発表が遅くなったとのことだが、いくらなんでもギリギリすぎやしないか?
注文したパインソフトを激写する御花畑記者。
パインソフトをひとくち舐め、しばし目を閉じたのち「唯一無二なんだよ……」とつぶやく御花畑記者。誰に言っているというのだろう?
じっとお店を見つめながら「ジュースもうまいんだよな……」とつぶやく御花畑記者。もしかしてソフトクリームと会話しているのだろうか?
名残惜しそうにパインソフトを食べ進める御花畑記者。だんだん切なくなってきた。
未練があるとみえ、食べ終わってもなかなかその場を立ち去ることができない御花畑記者。
記念にお店を激写する御花畑記者。
・いつまでも、あると思うなバンドとアイス
ウォーターメロンに何の思い入れもないどころか存在自体を今日知った私だが、ションボリしている御花畑記者を見守るうち、かつて夢中になったヴィジュアル系バンドたちを思い出して自分もションボリしてしまった。御花畑記者にとって、今日はウォーターメロンの解散ライブなのだ。泣かないだけ立派と言わざるをえない……なんならこのあと家で泣く可能性もある。
なお私が食べたキウイソフトはマジで唯一無二だった。もう食べられないものなので詳細は省くが、唯一無二すぎてソフトクリームと呼ぶべきか怪しいレベルだった。仮にこれがソフトクリームだとすれば、たしかに世界一おいしいかもしれない。
このとき私は、先日行ったLUNA SEAのライブでSUGIZOさんが「永遠に見られるもんじゃないので、今のLUNA SEAを見逃さないで」というニュアンスのことを言っていたことを思い出していた(※ 詳細はうろ覚えのため、あくまでもニュアンスです)。
バンドにもソフトクリームにも永遠はない……それは悲しい現実だが、「目の前の推しを噛みしめて日々生きねば」と再確認できた池袋東武地下2階であった。今日知ったばかりだけど、ありがとうウォーターメロン。そして、さようなら。
ちなみに私は2個目もいった。2度と食べられないからではなく、シンプルに食べたかったからだ。
ついでに言うと御花畑記者も2個目をいっていた。お腹が弱いらしい彼女は、1個目のあとインターバルをあけて再び店に戻ったのだ。私の撮れ高的には1個目で帰ってもよかったのだが、シンプルに「大したもんだ」と思ったので見守りを続行した次第である。
腹を壊してでも食べたいソフトクリーム……いつか私にも、そんな存在ができたらいいなぁ。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
▼記念のツーショット撮影