成績いいのになぜ昇格できないの? マネージャーになれる人、なれない人の違いとは?【伊藤羊一さん対談Vol.3】
30代、40代のキャリアアップを考えていくうえで立ちはだかる「マネージャー」という関門。もちろん人によって向き不向きはありますし、キャリアアップしたい、けれどマネージャーになかなか選ばれないというジレンマも抱えている人もいることでしょう。
今回は、マイナビ転職が送るVoicyチャンネル「しごと・転職・キャリアのお守りラジオ」で、著書『1分で話せ』(SBクリエイティブ)などでおなじみの伊藤羊一さんをゲストに迎えた対談のログをお届け。「マネージャーになれる人となれない人の違い」「優れたマネージャーとはどんな人か」など、必見のキャリアのヒントです。
▼前回:伊藤羊一さん対談Vol.2「コミュニケーションの苦手を克服するには?」
https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20241011-radio-04( https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20241011-radio-04 )
▼前々回:伊藤羊一さん対談Vol.1「管理職・マネージャーになると何が変わる?」
https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20241009-radio-03( https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20241009-radio-03 )
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伊藤羊一(いとう・よういち)さん。武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部学部長、Musashino Valley代表、LINEヤフーアカデミア学長、Voicyパーソナリティ、株式会社ウェイウェイ代表。アントレプレナーシップを抱き、世界をより良いものにするために活動する次世代リーダーを育成するスペシャリスト。2021年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)を開設し学部長に就任。2023年6月にスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をオープン。「次のステップ」に踏み出そうとするすべての人を支援する。また、ウェイウェイ代表、LINEヤフーアカデミア学長として次世代リーダー開発を行う。代表作「1分で話せ」は60万部のベストセラーに。
成績いいのになぜ昇格できないの? 「人に興味を持つ」ことはマネージャーに必要?
──ズバリ、マネージャーになれる人、なれない人の違いとは何なのでしょう。成績はいいのになぜマネージャーに抜擢されないのか、という話もよく耳にする気がします。
伊藤羊一さん(以下、伊藤):そうそう、マネージャーの仕事は「チームをゴールに導いていく」ことなんですが、そのために、重要になってくる要素はメンバーとのコミュニケーションでしょう。一対N人のチームで何かやるということも必要ですが、最後の最後は、一人ひとりの状況把握が大事になってきます。「〇〇さん、最近調子いいじゃん」とか「最近ちょっと調子が下がってきてるかな」とか。そういう、コンディションをちゃんと把握して、それに対してしっかりコーチングやフィードバックをしていく。
そんなふうに一人ひとりに目を向けることは、マネージャーの仕事でめちゃめちゃ大事であって。それをやれる人はやっぱマネージャーに向いてるし、反対に「人がそれぞれ考えてることが違うとかすら、考えたくもないです」っていう人は、なかなかマネージャーには向いてないのかなと思いますね。
別に「人間が好きです!」とか、そこまで言わなくてもいいから、一人ひとりがどういう状況であるっていうことを認めて、相手の靴を履いてコミュニケーションできる人というのが、僕はマネージャーに向いてる人の一番重要な要素だと思います。
──もしマネージャーを目指す場合、どんなことを日々の仕事のなかで意識すればいいのでしょうか。マネージャーに抜擢される前の段階だと、同僚の方とのコミュニケーションとか、後輩とのコミュニケーションをきちんと取れているか、というのは見られるポイントですか?
伊藤:そうですね。マネージャーに抜擢する立場の人は確実に見ています。マネージャーになったら、コミュニケーションをやるわけだから。あと、チームに気を配るっていうのは何もマネージャーだけの仕事じゃなくて、メンバーの立場でもできることです。みんなを盛り上げます、みたいなね。ポジションとは関係なく、チームを盛り上げていくという意識は、自分の成果を出していくことと同様に、すごく大事なことかな。
だから一般社員の立場でも、メンバーとコミュニケーションを積極的にとることですね。別にマネージャーになるためということではなくて。チームで成果を出した方が、マネージャーも機嫌いいし、ボーナスめっちゃ貰えるじゃないですか。
自分が成果を出すのと同時に周りのケアも行えることが、後々マネージャーの抜擢につながる要素になり得ます。
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自分の成果を追うだけでは、マネージャー向きとはいえない
──とすると、例えば飛び抜けた成果がないとか、一芸のスキルがないとか、営業成績はボチボチとか、そういう人でもマネージャーになれる可能性があるということでしょうか?
伊藤:大ありですよ。確かに、会社においては成果を出すことが非常に分かりやすい指標だし、マネージャーにしやすいんですけれど。でも、成果を出してたらマネージャーとして仕事できるかというと、全然違うんですよね。チームをチームとして意識して一人ひとりに目を配って成果を出していくというのは、「自分が成果を出せばいい」こととは全く違うので。
例え成果を出してなくても、周りに気を配って、チーム全体として盛り上げる力があるのであれば、それは必ずマネージャーになったときに効いてきますね。
──確かに、そういう方とは、働いてて気持ちいいですしね。一緒に働きたいと思える気がします。
伊藤:そう、「誰と仕事がしたいか」というのはすごく大事。成果の有無より、メンバーにとっては重要なんじゃないかな。自分のことを見てくれるとか、あの人あんまり頭は良くないけど、めちゃめちゃ働きかけてくれて熱い、とかね。あの人のためだったらしょうがない、やるかっていうふうになってくれるとか。そう思わせることができるのが、マネージャーに向いてる人の資質だと思います。
今を嘆く前に、まずは自分の強みを鍛えよう
──なんだかマネージャーのイメージが変わった気がします。
伊藤:僕も、こういう考えをメンバーだけが思えばいいということじゃなく、マネージャーの人たちにも理解してほしいんです。だから、いろいろなところでこんな話をしてるわけですね。そしてマネージャーを超えて、世の中の、日本の会社全体をよい方向に変えていきたいと思っています。そのほうが楽しいし、みんな嬉しい。
そうやって考えると、コミュニケーションが苦手とか言ってられないでしょ。
──本当にそうですね(笑)。では、最後にキャリアに悩む方々に、元気になる一言をいただいてもよろしいでしょうか?
伊藤:そのチームで仕事ができないとか、コミュニケーションが苦手とか、いろいろ悩みはあるかもしれません。でも、誰しも必ず一つは、 強いものがある。そこを大事に育ててください。
マネージャーになるとかならないとか、転職するとかしないとかってのは、その後考えればいいと思うんです。まず自分のオンリーワンとは何なのか? 必ずあるので、それを探して鍛えていっていただければと思ってます。頑張ってください。
文・ミーツキャリア編集部