魚好きの筆者が念願の<ユカタハタ>に出会った話 鮮やかな赤色に青い斑点の美しい模様が特徴?
魚が好きな人には、誰にでも「どうしても手に入れたい・見てみたい魚」「いつかは食べたい魚」というのがあると思います。
筆者にとって、どうしても手に入れたかった魚のひとつがユカタハタでした。そんなユカタハタとは、2013年に出会うことができたのです。
赤い体と青い斑点が特徴的なユカタハタ
ユカタハタCephalopholis miniata (Forsskal, 1775)はスズキ目・ハタ科・ユカタハタ属の海水魚です。
特徴としては全身が赤く、青い斑点が体側と背鰭・臀鰭・尾鰭に入ること、尾鰭後縁が丸いことなどがあげられます。
日本においては琉球列島、小笠原諸島や四国、紀伊半島などのサンゴ礁の発達した地域や黒潮の影響を受ける地域に多く生息しています。
別名では「いさごはた」と呼ばれ、また小笠原諸島においては「あかはな」という別名でも呼ばれています。同じユカタハタ属に「アカハナ」という標準和名の種もいますので、混同しないように注意しましょう。
ユカタハタ属の形態的特徴
ユカタハタ属の魚は、サンゴ礁地域に生息するハタ科ハタ亜科の代表的な属のひとつですが、見た目は同じくサンゴ礁域に多くの種が生息するアカハタ属(90種以上をふくむ)の魚とよく似ています。
ユカタハタ属とアカハタ属を見分けるための特徴として、背鰭棘条の数があげられます。
ユカタハタ属の背鰭棘条は9棘からなり、多くの種が11棘であるアカハタ属の魚と見分けることができます。無毒ではありますが、かなり強い棘ですので計数時は注意しましょう。
ユカタハタ属の種について
ユカタハタ属の魚はインド-汎太平洋、大西洋の熱帯・亜熱帯海域から28種が知られています。日本産は14種が知られていました。
しかし近年、日本からも標本に基づき報告されたサミダレハタという種が日本産ユカタハタ属の一覧に加わり、日本産のユカタハタ属は計15種になっています。
なお従来Aethaloperca、Gracila、およびParanthiasといった、別属とされたものをユカタハタ属の中に含める見解があり(Craig and Hastings, 2007)、ここでもその見解に従っています。
つまり、日本産ではクロハタとタテスジハタ、ミナミハタの3種もユカタハタ属に含まれるということになります(もっとも『日本産魚類検索』などでは、すでにミナミハタをユカタハタ属に含めている。ただしなぜかタテスジハタは含めていなかった)。
ユカタハタ属は背鰭棘が9棘だということは先述しましたが、同様に背鰭棘9棘のハタ科魚類としてはほかにバラハタ属が知られており、近縁であるように思われます。
また背鰭棘数8棘のスジアラ属とも近いグループにあるようですが、スジアラ属は1属1種のヤマブキハタと近い関係にあるとされます。
ユカタハタの斑紋
ユカタハタは全身が鮮やかな赤色で、そこに青い斑点が入るという、サンゴ礁の魚らしい大変鮮やかな色彩をしています。
しかし、幼魚のうちは青い斑点がなく、多くの場合鰭は黄色っぽく、眼の上のほうが紫色になるのが特徴です。この色彩はハタ科ハナダイ亜科(ないしはハナダイ科)キンギョハナダイの幼魚に酷似しています。
実際にユカタハタの幼魚がキンギョハナダイの幼魚の群れのなかに混じり、身を守るだけでなく、キンギョハナダイの幼魚を捕食することもあるようです。
ユカタハタは成長するにつれて赤みが強くなり、やがて青い斑点が現れ、上記の写真のようになります。
成魚になると暗い赤色の体に青色斑が散らばりきわめて美しい魚になりますが、水族館で飼育されているものは水質の影響か、餌の問題もあるのか、あるいは照明のせいもあるのか、赤色は薄くなるか、逆に黒っぽくなりやすいという傾向があるようです。