流れ星チャンスは1/3~5 ピークは1/4早朝【しぶんぎ座流星群2025】最大1時間に30個の流れ星! 観察ポイントを博物館学芸員が伝授
年明け早々、たくさんの流れ星を見るチャンスがあるって、知ってますか?
1月4日の未明にピークを迎える「しぶんぎ座流星群」です。
3大流星群のひとつにもかかわらず、「ふたご座流星群」や「ペルセウス座流星群」に比べるとあまり聞いたことがないという人も多いかもしれません。しかし、2025年は雲さえ邪魔しなければ、月明かりの影響のない比較的いい条件で見られそう。
いつ、どの方角をみたらいいのか?
そもそもしぶんぎ座流星群ってどのあたりに見えるのか?
富山市科学博物館 天文担当の学芸員に教えてもらいました。
3大流星群「しぶんぎ座流星群」
1年のはじめを飾る流星群です。3大流星群のひとつとして数えられますが、「しぶんぎ」ってあまり耳なじみがないですよね。
まず、安定的に多くの流れ星をみることができる3大流星群は・・・
しぶんぎ座流星群(毎年12月下旬~1月上旬)ペルセウス座流星群(毎年7月下旬~8月下旬)ふたご座流星群(毎年12月初旬~中旬)
です。
1時間で見ることができる流れ星の最大数を比べてみると…
しぶんぎ座流星群 30個/hペルセウス座流星群 40個/hふたご座流星群 60個/h
(※月明かりや街の灯りの影響を受けないなど条件が整った際に見える数)
となっています。
「しぶんぎ座」って聞いたことないけど・・・
ところで、流星群の名前に使われている「しぶんぎ座」って、聞いたことがないって人もいますよね?
それもそのはず。実は、「しぶんぎ座」という名前は、現在では存在しない「壁面四分儀(へきめんしぶんぎ)座」という星座に由来しています。
しぶんぎ座は、18世紀の終わり頃にフランスの天文学者ジェローム・ラランドが名づけた星座のひとつです。りゅう座・ヘルクレス座・うしかい座のあたりにあって、天体観測に使われた四分儀を元にした星座でした。1930年頃に星座の数が88個と決められた時に、しぶんぎ座は採用されなかったため、現在は存在しない星座なのです。
流星群ってなに?
多くの流れ星を見ることができる流星群とは、いったい何なんでしょうか?
地球が太陽の周りを回っている道(公転軌道)と、流れ星のもとをまき散らしていくほうき星(彗星)の通り道が交わる時、たくさんの流れ星を見ることができます。これが流星群とよばれているものです。
地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっているので、特定の時期に特定の流星群が出現するというわけ。
流れ星とほうき星は何がちがう?
では、流れ星っていったい何かというと、流れ星はふだん見ている「星」とは違い、ほうき星(彗星)が残したチリ(流星物質)がもとになっています。
ほうき星は、たくさんのチリを出しながら宇宙の中を動いていき、その通り道にチリの集まりができます。地球がそれらのチリの中を通る時に、チリが大気と衝突すると、大気などが高温になって光を放ちます(プラズマ発光)。
私たちが流れ星として見ているのは、この発光なのです。
チリの大きさは、直径わずか1mmから大きくても数cm。とっても小さいのに、きらっと輝いて見えるんですね。
ほうき星(彗星)と言えば、2024年は「紫金山・アトラス彗星」が全国各地で観測され、話題になりました。彗星は、さまざまな成分を含んだ氷と砂つぶのような“ちり”が混じった、半径 数km~数十kmほどのて天体です。地球やほかの惑星と同じように太陽の周りを周っています。
太陽に近づいた時、彗星を構成する氷などが気化して、尾のように見えるため、ほうき星とも呼ばれます。
しぶんぎ座流星群のピークはいつ?
しぶんぎ座流星群の一般的な出現時期は、12月28日から1月12日にかけてです。
流星群自体が最も活発になるのは1月4日午前0時頃ですが、最も多く見えるのは2025年の場合、1月4日の午前5時頃です。空の暗い場所で1時間あたり約30個と予想されます。今回は月明かりの影響も少なく、好条件のもとで観察できそうです。
ピークを過ぎても前後1日程度は、天候などの条件さえよければ流れ星を見ることができるとのこと。体調や天気状況を見ながら楽しみたいですね。
北斗七星を目印に
しぶんぎ座の方角(放射点)から流れ星が四方八方に飛び出してくるように見えますって言われても、しぶんぎ座がわかりませんよね。「うしかい座」と「りゅう座」の境界付近がそうです。 2つの星座の近くにある「北斗七星」を目印にしたほうがわかりやすそうです。
1月4日(土)午前2時頃には北東の空、早朝5時頃に北東の天頂付近に見えます。
流星は、放射点を中心に放射状に出現します。ただし、放射点付近だけでなく、空全体に現れます。夜空のどこにでも現れるので、あまり方角は関係ありません。なるべく空の広い範囲を見渡すようにしてください。
また、屋外の暗さに目が慣れるまで、最低でも15分ほどは観察を続けると良いでしょう。街の灯りや月明かりがあると観察しづらいので、それらの光が邪魔しない方向を見るのがオススメです。
観察に必要なものは?
肉眼で十分に観察できます!
望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。
ただし、あると便利なのは、星座早見盤。
流れ星を観察する合間に、星座や星を調べることで学びや発見も広がります。
また、上を見上げたままの姿勢で長時間も空を見続けるのが大変な場合は、安全な場所を確保して、寝転んで観察できる環境を整えるのもいいですが、とにかく寒いので風邪などひかないよう防寒対策をしっかりしてくださいね。
暗い場所で観察することになるので、車に気をつけるなどくれぐれも安全の確保と、他人の迷惑にならない場所を選ぶようにしてください。
富山市科学博物館では寝転んで楽しめるプラネタリウムがありますし、1年を通して「星空観察会」も実施しています。
天文に興味を持ったら、ぜひ富山市科学博物館に足を運んでみてくださいね。
【富山市科学博物館】
住所 富山県富山市西中野町1丁目8-31
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)