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【本が好きになる“ビブリオバトル”とは?】小学生も楽しめてコミュニケーション力もアップ![専門家インタビュー]

こそだてまっぷ

読みたい本がどんどん増える“ビブリオバトル”について専門家にインタビュー。

読みたい本がどんどん増える“ビブリオバトル”を知っていますか? 本の紹介コミュニケーションゲームとして全国に広がるビブリオバトルの概要と魅力について、小学生向けのビブリオバトルを開催し、『ソロモン諸島でビブリオバトル ぼくが届けた本との出会い』の著者でもある益井博史さんに伺いました。

ビブリオバトルとは「一番読みたくなった“チャンプ本”を決めるゲーム」

——ビブリオバトルは、どんなゲームですか?

益井さん(以下敬称略):ビブリオバトルは、バトラー(発表参加者)が好きな本を紹介し、観戦者も含めた全員の投票でチャンプ本(一番読みたくなった本)を決めるゲームです。たくさんの本に出会えて、思考力やコミュニケーション力が身につくことから、中学生、高校生、大学生向けの全国大会も開催されています。
ビブリオバトルには次のような公式ルールがあります。

[ビブリオバトル公式ルール]
○発表参加者(バトラー)が読んで面白いと思った本を持って集まる。
○順番に1人5分間で本を紹介する。
○それぞれの発表の後に、参加者(バトラーと観戦者)全員でその発表に関するディスカッションを2〜3分間行う。
○全ての発表が終了した後に、「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員が1人1票で行い、最多票を集めた本をチャンプ本とする。

この他、基本的にバトラーは事前に発表用の原稿を用意しないで、アドリブで本の面白さを紹介することを勧めています。気軽にゲームを楽しんでほしいのはもちろん、原稿を読み上げるのではなく、参加者の表情や反応を見ながら自分の言葉で表現したほうが、聞く人の心に届くスピーチになって、結果的にチャンプ本に選ばれる可能性が高くなるのです。

小学生が参加できるビブリオバトルも

小学生のビブリオバトル・ワークショップの様子

——小学生向けのビブリオバトルもあるそうですね。

益井:小学生向けに、発表時間を5分間から3分間に短縮したミニ・ビブリオバトルを開催しています。いきなりみんなの前に立って本を紹介するのはハードルが高いと感じる小学生も多いので、まずは好きな本を持って集まってもらいます。そしてビブリオバトル全国大会などに出場しているスタッフといっしょに、紹介する本に関連するキーワードを付箋に書き出してもらいます。それからそれらを並び替えて発表内容を組み立てるワークショップを事前に行い、最初はテーブルを囲む形でゲームを実施します。

——読書感想文の発表との違いはどんなところですか?

読書感想文の発表とビブリオバトルの大きな違いは、ビブリオバトルには“ゲームに勝つ”という目的があること。ただ本を紹介するだけではなく、チャンプ本に選ばれることを目指すので、自分の好きな本の中からどの本を選べばよいか、どう紹介すれば興味を持ってもらえるかなど、能動的な試行錯誤が必要です。

読書感想文では模範的な文章でも、ビブリオバトルでそのまま読み上げたら場が盛り上がらないこともあれば、しどろもどろな発表でも情熱が伝わってチャンプ本に選ばれることもある。チャンプ本に選ばれるというミッションをクリアする面白さを味わってほしいです。参加した小学生からは、「最初は緊張したけれど、どんどん楽しくなった」「読みたい本が増えた」「次はチャンプ本に選ばれたい」「学校でもビブリオバトルをやってみたい」など、うれしい感想が届いています。

ビブリオバトルの魅力とは?

ソロモン諸島で、子どもたちとビブリオバトルを開催。

——ビブリオバトルの魅力を教えてください。

益井:まずバトラーとしては、自分の話を真剣に聞いてもらえることです。ビブリオバトルは、バトラーも観戦者もみんな投票するので、いわば全員が審査員です。みんながすべてのバトラーの発表を聞き、公平に比べなくちゃという意識が働くので、しっかり耳を傾けてもらえる。だからこそ、ちゃんと伝えたい、思いを届けたいという意欲も高くなり、結果的に自分の言葉で表現する力がつくのだと思います。

また、観戦者としては、様々なジャンルの本に出会うことができる点ですね。そして、5分間、ミニ・ビブリオバトルでは3分間ですが、発表時間のあいだ話し続けるのは思うよりも大変で、そのぶん、それぞれの発表を聞いていると、その人の個性や人となりが伝わってきます。意外性を感じたり共感したりして、初めて会った人とも距離を縮められるし、知り合いのいつもと違う面を知ることもできます。さらに、ディスカッションのやり取りを通じて、対話する力、コミュニケーション力も育まれます。

——益井さんがビブリオバトルに出会ったのはいつ頃ですか?

益井:大学生の時、足しげく通っていた大学図書館で、ビブリオバトルが開催されるという告知がありました。初回は見学し、2回目からバトラーとして参加しました。すぐにその面白さに夢中になって、自分で大会を開催する団体を立ち上げたり、大学生の大会に出場したりしてきました。そして2016年から2年間、青年海外協力隊で派遣されたソロモン諸島でも、ビブリオバトルを通じて子どもたちの読書推進に取り組みました。

帰国後も、タイやベトナム、台湾などで日本語を学ぶ学生のビブリオバトルの国際大会の司会進行を担ったり、ミャンマーの教員を対象にビブリオバトル講座を行ったりと、様々な場面でビブリオバトルに携わる場面がありました。そして、ビブリオバトルというゲームをベースにすると、人間関係が構築しやすいという利点があることに気づきました。本を紹介し合うことで、国内外を問わず、たくさんの人たちとの交流が広がったので、今後もビブリオバトルの魅力を伝えていきたいと考えています。

ミャンマーの教員に向けてビブリオバトル講座の講師を務める益井さん。

ビブリオバトルをヒントに家庭で取り組めること

——子どもが本に親しむために、家庭でできることを教えてください。

益井:小学生向けの全国大会は開催されていないのですが(2025年10月現在)、図書館や書店、地域の読書サークルなどで小学生向けのビブリオバトルが開催されることがあるので、ビブリオバトルの公式サイトなどから探して、まずは気軽に見学してみてほしいです。そして、家庭でできることは、お子さんと本の距離をなるべく近くしてみること。お子さんの興味関心がある本を自分で選ばせて購入したり、図書館で借りたりしてみましょう。

それから、お子さんが本の感想を言ったら、おうちの方も真剣に教えてもらい、更に質問もしてみてください。おうちの方の反応があると、お子さんの本を読みたい、感想を伝えたいという意欲が高まると思います。大切なのはお子さんが自分で本を選ぶこと。ビブリオバトルでも大切なことで、自主性を育むことにもつながります。

今回は、小学生向けのビブリオバトルを開催する益井博史さんにお話を伺いました。お子さんが本に親しみ、さまざまな本に出会うきっかけづくりの参考にしてください。そして、機会があれば、ぜひビブリオバトルに参加してみてくださいね。自然に読書が好きになり、本を介してコミュニケーション力も育まれるはずです。

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