戦後、宗主国からの独立を果たした東南アジアの国々が、急速な経済発展を遂げ成長著しいのはなぜ?【図解 地理と経済の話】
東南アジアが成長著しいのはなぜ?【図解 地理と経済の話】
農作物の輸出から工業化へ
東南アジアでは、日本のように稲作が盛んに行われています。稲作に必要な条件は、水はけのよい土地と、気温が高く雨が多いこと。アルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯が集まり、肥沃な火山灰土壌が広がる東南アジアは、まさに稲作に最適の土地といえるでしょう。火山由来の土壌は、浸透性と保水性に優れているからです。また、熱帯モンスーン(季節風)の影響で年間の降雨量が多いのも特筆すべき点です。このような環境の助けもあり、東南アジア地域は多くの人口を抱えるようになりました。
植民地時代の東南アジアは、輸出用の単一品種を栽培するモノカルチャー社会でした。天然ゴムやコーヒー豆といった輸出用作物を、プランテーションと呼ばれる大規模農園で栽培し、利益を得ていたのです。特定品種に依存する、リスクの高い状態といえます。
戦後、東南アジアの国々は宗主国からの独立を果たしました。依然としてモノカルチャーを続ける国もあるものの、外国企業を積極的に誘致して、確実に域内の工業化が進められています。ASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国も増え、自由化の好影響も出はじめました。現在、東南アジア諸国は急速な経済発展のさなかにあり、その影響力は世界的にも無視できないものになってきています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』