「体に入っても壊れない」永遠の化学物質・PFASとは? 大竹まことが迫る
お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組、『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) 10月28日の放送は、平凡社新書から発売中の『消された水汚染: 「永遠の化学物質」PFOS・PFOAの死角』を著した、フリージャーナリストの諸永裕司氏が出演。本の内容について伺った。
大竹「今日は『消された水汚染』という御本です。前からピーファスのことは、いろいろ言われてるんですけど、世の中は「大変だ」ってことにまではなってない感じで、基地の近くが汚染されてるっていう話は伝わってきていますけれども、この辺は諸永さんはどんな風に考えていらっしゃるんですか?」
諸永「この問題が明らかになり、特に報道されるようになって1年半ぐらいかと思うんですが、当初は基地の問題という風に捉えられていたのが、日本国中さまざまなところから検出されていて、もうピーファス汚染列島というような状況が浮かび上がっています」
大竹「それは基地だけじゃないっていうことですね。ピーファスっていうのは体にどんな影響を与えるのかっていうのを教えていただけますか?」
諸永「ややこしいんですが、ピーファスというのはPFASと書いて、有機フッ素化合物というものの総称で、4000種類とも1万種類とも言われているぐらいたくさんあるんですね。その中ではPFOS(ピーフォス)とか、PFOA(ピーフォア)というものが代表的で、特に国内ではかつて使われていたものです。互いに、くっついて離れないので、分解されづらいんですね。なので、どこかに出て、あるいは環境中だけじゃなくて、体の中に入っても壊れないで蓄積されやすいということから「永遠の化学物質」と呼ばれています」
大竹「これは人間にどんな影響を及ぼしているんですか?」
諸永「これまで指摘されているところでは、腎臓癌とか脂質代謝異常、コレステロールが上がるとかですね。あるいは精巣がん、甲状腺疾患やいくつかの疾患が指摘されているんですが、かつての水俣病やイタイイタイ病のように、何かの物質を取ったら、ある特定の症状が出るというわけではないんですね。ピーファス病という形で出てこないというところから、因果関係が分からないので、なかなか証明されないという特徴があります」
大竹「最初は基地のあたりっていってたんですけども、これが今、この危険な物質が日本中に広がっているっていうふうにおっしゃってますね。だいたいどの辺に広がってるんですか?」
諸永「大きな汚染源としては3種類あります。ひとつ目が最初に申し上げた基地です。これは米軍に限らず、自衛隊の基地もなんですが、大きい事故の時に使う泡消火剤に含まれていて、基地ではいつ事故が起きても対処できるように、日常的に消火訓練をして泡消火剤を環境中にずっと放出し続けてきたんですね。それが、例えば土に入って、長い時間をかけて地下水を汚して、地下水を水道水源として飲むと体の中に取り込んでしまう、みたいなことが起きていました。
2つ目が、工場で使われていたものが排出されています。その工場では何を作っていたかというと、皆さんの身近なところで言えば、焦げ付きづらいフライパンとか、あるいは炊飯器とか、レインコート、傘、防水スプレーのような様々なものに使われています。他には、例えば自動車部品とか、今盛んに政府が奨励している半導体の工場でも不可欠なものとして使われていて、「台所から宇宙まで」と言われているんです。それを作っていた工場で使われて、周りに捨てられたりしてきました。
そして3つ目が、まさにこの物質が全く規制の対象になっていなかったので、産業廃棄物の処理施設などに捨てられたままになっていて、それが、じわじわと環境中に漏れ出ているというのが最近になって分かってきました」