「シンデレラ城より姫路城!」小4で歴史にドハマリした“戦国プリンセス博士ちゃん” 難関中学合格を経て取得した“意外な資格”とは?
小4で歴史にハマり、200城近くを訪れた戦国プリンセス博士ちゃんこと、諸星天音さん(高1)と母・奈穂さんから学ぶ、自分の好きを見つけて挑戦し続ける力。第1回は諸星天音さんインタビュー。全3回。
【▶画像】長女と次女の「中受」を成功させたエハラマサヒロ夫妻が語る“親の覚悟”とは?小学4年生で戦国時代の歴史やお城にハマり、これまで訪ねた城は200城近く。豊富な知識から小5でバラエティ番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)に登場し注目された“戦国プリンセス博士ちゃん”こと、諸星天音(あまね)さん(15歳)。高1になった今(2025年10月)でも、全国各地のイベント等で歴史やお城の魅力を発信し続けています。さらに中3で防災検定1級を取得し、スキー検定も1級を目指しているという現在。“好きなこと”への探究はとどまるところを知りません。
第1回では、そんな天音さんに現在の活動や歴史好きになったきっかけなどをお聞きしながら、なぜ自ら好きなことを見つけて挑戦し続けることができるのか、探ります。
小4で「シンデレラ城より姫路城に行きたい!」と訴え
高校生活初めての夏休みを迎えた今夏(2025年)も、仙台城跡の七夕ナイトイベントや小田原城の歴史イベント、防災イベントでのトーク等のほか、TV番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)、鉢形城(はちがたじょう)を紹介するYouTubeにゲスト出演など、目まぐるしく活躍した諸星天音さん(以下:天音さん)。
「夏休みの宿題は怒濤のラスト3日間で終わらせました!」と笑いますが、中・高校は私立大学附属の一貫校に通い、学業も大切にしています。
歴史好きになったのは、小4で母親の奈穂さんと遊び場として横浜市の小机城址(こづくえじょうし)を訪れたのがきっかけでした。たまたま訪れた場所でしたが、城跡に穴があることに疑問を抱き、図書館で調べるうちにおもしろくなっていったそうです。
さらに大好きだという『のぼうの城』(2万人の豊臣軍に対し、わずか500人の軍勢で挑んだ忍城軍のストーリー)の映画を観て、さらに小説を読んだことが、天音さんの探究心に火をつけました。
誕生日には、テーマパークに行くことになっていましたが、「シンデレラ城じゃなくて、姫路城に行きたい!」と言いだします。
小さいころから、歴史の専門書も含めて戦国時代の本を読み漁っていたという天音さん。「特に交流のある先生方の新しい書籍などが出るとチェックしています」と知識を更新させています。 写真:原田美咲
本から読み解く、かつての人々の暮らし。そのストーリーの舞台である城。姫路城を満喫した天音さんは、こうして歴史の世界へとのめり込んでいきました。
“不落の城”の「落ちない御守」を武器に中学受験
もともと、中学は公立校を想定していた母・奈穂さんでしたが、小5の夏の終わりに急に「私立中学に行きたい!」と告げた天音さん。
「ダンスを習っていたのですが、お兄さんお姉さんたちが高校や大学受験のために長期間お休みに入るのを見て、私は休みたくないから、というのが理由でした」と奈穂さんは振り返ります。
その後、塾にも通い、勉強の末に人気難関校、法政大学第二中・高等学校に合格。現在は歴史などの活動が忙しくダンスは習っていませんが、天音さんは「高校・大学受験を気にする心配がなくなったので、自分が好きな歴史・防災をやりたいだけ追求できます。それが一番良かったです」と話します。
受験勉強が成功した秘訣をたずねると、「勉強の休憩には歴史の本や図鑑を読んで、うまく息抜きしたことです」と天音さん。奈穂さんは「(活字ばかりで)目は休まってないから心配でした」と笑います。
合格祈願は、“落ちない”城として知られる忍城(おしじょう/埼玉県行田市)へ。
「忍城は『のぼうの城』の舞台にもなった小田原城の支城で、小田原合戦で唯一落ちなかった城なんです。これにちなんで売っている『落ちない御守(おまもり)』を手に入れたのが、メンタル面で良かったです!」
これまで巡った城は全国200城近く
「お城に行って『あぁ、ここであの人がこう考えてこうしてたんだなぁ』などと、歴史上の人物たちの暮らしを想像することで、今も残る同じ場所で歴史の世界に入り込む体験ができるんです。それが楽しくて」
同じ城でも何度訪れても新しい発見があるといい、鉢形城(はちがたじょう/埼玉県大里郡寄居町)には昨年(2024年)だけで12回ほど訪問。
「歴史は、新たな事実が判明したりと、アップデートされていくところがおもしろい。知識の習得に終わりがない奥深さも魅力の一つです」
2025年5月に忍城で開催された「大将まつり」に、憧れの甲斐姫の役で出演した天音さん(左)。「映画『のぼうの城』で榮倉奈々さんが演じた甲斐姫は小学生のころからずっと一番好きなお姫様。すごく嬉しかったです」 写真提供:諸星天音
トークショー当日の朝は泣いている!?
多くのイベントに出演し、聴衆を前に巧みにトークをこなす天音さんですが、実は「人前で話すのは、何回やっても緊張する」のだそうです。
母の奈穂さんは「本番当日の朝になると、緊張のせいで『髪のセットがうまくいかない』など、些細なことで1回泣くんですよ」と笑います。
最近はそんなこともなくなってきたようですが、「毎回、泣く時間はほんのちょっと。儀式のようなもので、そうすると落ち着くのかもしれませんね」。
緊張するからこそ、天音さんはイベントの際には「準備万全でいたい」と、本番を想定したトークの練習を行うなど、見えない努力を重ねています。
2025年8月、永田町の衆議院第一議員会館で開催された「みんなでつくる防災2025」のトークセッションで語る天音さん。 写真提供:諸星天音
また最近は、都内で開催されている歴史好き同士の交流プロジェクト「レキシズル」の、歴史プレゼンにも登場。人前で話す技術を鍛えているそうです。
防災士・防災検定1級に合格 スキー検定も1級を狙う
歴史だけでなく防災の分野にもくわしい天音さん。興味のきっかけは、好きだった歴史の本『戦国の城と59人の姫たち』(並木書房)の著者、濱口和久先生が実は防災の専門家だったことを知り、「なぜ歴史と防災なのだろう?」と、疑問に思ったことでした。
調べていくと、お城でも昔の人々が延焼を防ぐために防火の工夫をしていたり、石垣が崩れないように耐震技術が使われていたり……と、それぞれリンクしていることが分かり、関心が広がっていきました。
中1で防災士の資格を取得し、中3で大学卒業以上の難易度とされる防災検定1級(アドバイザーとして講演可能なレベル)に合格。スキーも得意でスキー検定は2級、現在は1級を目指しています。
「個人的に検定ものはレベルが数値で出るので好きなんです。1回取ると、上まで取りたくなるので、やる気が出るんだと思います。知識欲などを満たしてくれる存在です」
防災検定1級の合格証書を手にする天音さん。 写真提供:諸星天音
とにかく新しい知識を学ぶのが好きだという天音さん。小4のころには、知的好奇心を刺激する授業で話題の塾「探究学舎」もオンライン受講していました。当時学んだ講師とは、今も歴史イベント等で交流が続いています。
「なぜ?」を起点に人と出会って世界が広がる
歴史でも防災でも、興味のきっかけは「なぜ城址に穴が?」「なぜ防災?」など、ふとした疑問からです。
「『なんで?』と思ったときに、答えを知らないままなのが、気持ちが悪いんです。調べて『あっそうなんだ!』と分かった瞬間が気持ちが良くて。
私は“なぜなぜ期”(幼児期の質問を繰り返す時期)が今も続いているんだと思います。口癖のようにいろんな人に『なんで? なんで?』と聞いているので、実はウザがられているかもしれませんが(笑)」
人見知りではあるものの歴史や防災で気になる人がいると、臆せず話しかけにいくことも。
「大人にも子どもにも、詳しい人に話を聞くのがすごく好きなんです。学ぶことを通していろんな人とつながることができ、自分の世界が広がります」
SNSのX(旧Twitter)で日々の活動や訪れたお城などの発信もしている天音さん。
「今は高校生だからこそ、できることがあると思っていて。特に子どもたちには年齢の近い自分が話すことで興味を感じてもらいやすいと思うんです。
とりわけ、歴史に興味を持っていない人にも、もっと手軽で身近なものに感じてもらえるようにできたら。歴史のおもしろさや防災の必要性を、子どもたちに繫いでいきたいです」
第2回は、天音さんの母・奈穂さんのお話から子育てのヒントを探ります。
取材・文/原田美咲
◆編集部おすすめの本はこちら◆
『日本の歴史』 講談社(編) 国立歴史民俗博物館館長 西谷 大(監) 価格:本体4,000円(税別)
累計550万部を超える大人気図鑑MOVEの『日本の歴史』(講談社)。旧石器時代から現代まで日本の歴史を網羅。イラストをふんだんに掲載し、ビジュアルを楽しみながら歴史への興味を深められる。テキストは総ルビなので、歴史に初めて触れる読者にもぴったり。