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【静岡浅間神社「廿日会祭 神賑行事音楽ライブ」】 劇団「言触」と巻上公一さんが共演。鎮守の森に響く喉歌

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアートやカルチャーに関するコラム。今回は静岡市葵区の静岡浅間神社で4月1日に開かれた「廿日会祭 神賑行事音楽ライブ」を題材に。

静岡市に春を告げる静岡浅間神社の例大祭「廿日会祭(はつかえさい)」。今年は4月1日から6日間開催される。その初日、境内に設置された舞台で、県内のパフォーマーたちがせりふ劇と音楽を繰り広げ、鎮守の森に住まうあまたの神々に歌舞音曲を「奉納」した。

出演は静岡市を拠点とする劇団「言触(ことぶれ)」と、バンド「ヒカシュー」のリーダー巻上公一さん(熱海市)。日が落ちかけた午後5時半、言触の代表Ayameさん(静岡市)による「逢魔が時、人ならざる者と出会ってしまう時間です」との口上で幕が開き、まずは言触による劇伴付き演目「鳥市場」。続いてBOKUGO名義でも活動するシンガー・ソングライター透湖さん(浜松市出身)が、クラシックギターの弾き語りで清らかな呪詛のような歌声を届けた。 

巻上さんは南シベリアの3弦楽器を手に登場。低音を響かせる「カルグラー」、鳥のさえずりのような「スグット」など、喉歌「ホーメイ」のさまざまな唱法を次々に披露した。

詩の朗読もあった。第1詩集「至高の妄想」(2019年)の「了解です」、第2詩集「濃厚な虹を跨ぐ」(2023年)の「挨拶以前」とともに、2024年11月に行われた「しずおか連詩の会」の発句となった次の詩も演目に組み込んだ。

アルタイ人のまねをして
うなりはじめた喉歌が
観阿弥最後の舞の地で
上に行ったり下に行ったり
どこを舞うのか歌うのか
(2024年しずおか連詩の会「『喉歌の舞の地で』の巻」から)

はっとさせられた。巻上さんは「連詩の会」の創作前に静岡浅間神社を取材したという。その結果、自らのライフワークであるロシア連邦中央地域の喉歌「ホーメイ」を伴奏に、室町時代にこの地で亡くなった能楽の祖が境内を舞う想を得たのだ。「しずおか連詩の会」は静岡市駿河区のグランシップで創作、発表された。それから約5カ月後、ここで立ち上った「うた」がイメージの源たる場所に帰ってきた。

言触の「白百合」に続いて再度、巻上さんの「アルタイ人」。明らかに「能」を意識した朗読は、観阿弥への敬意が込められていた。詩人の心の置きどころを、改めて知る契機となった。

(は)

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