物語を面白くするキャラクターの人間関係とは?関係性を活かす方法【テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム】
キャラクターの人間関係を考える
主人公の人間関係の組み合わせを考えると、 ストーリーは面白く、キャラクターはいきいきとしてきます。
関係性がストーリーを深くする
物語のなかでは、主人公ひとりだけではなかなか劇的な展開を起こせません。仲間や恋人、敵役との人間関係が化学反応を起こし、はじめて読者の想定を超えるような、劇的な展開が生まれます。
ストーリーのなかで劇的なシーンを生み出すには、そのシーンに登場している主人公と相手との、関係性を活かした演出が大切になります。たとえば相手が敵役なら、相手役の行動によって失われる主人公の大切なものや、価値観とは何かを演出します。失ったものを取り返すため、もう二度と奪わせないため、もしくは復讐のため――さまざまな理由から主人公は敵役と対立し、以降はこのふたりの人間関係がストーリーの中心的な緊張感になります。
人間関係の希薄な主人公だと、主人公の興味や行動のうちからストーリーを展開しなければならないため、どうしても内容が希薄になりがち。
主人公の周りに人間関係が構築されていると、関わりあいや、人からの働きかけから重厚で劇的な展開が生み出される。
関係性の活かし方
仲間関係であれば、どんなキャラクターと組み合わせると主人公の個性が活かせるかを考えます。
そのなかでも、異なる考え方の相手と凸凹コンビを結成させると、お互いのいいところ、悪いところが、より強調されるようになります。アクションものの凸凹コンビなら、最初は敵対している関係からスタートするのも定番です。ストーリーが展開するなか、助け合うことで、最終的にお互いを信用できる仲間関係に変化していくのです。
この凸凹コンビを男女のカップルに当てはめると、恋愛ものにも使われる関係性になります。最初はお互いをうっとおしく思っていたふたりが、意外な一面を知って、恋愛に発展するわけです。
現実の私たちもそうであるように、人と人との関係性によって多くの物事は進んでいきます。キャラクターそれぞれの個性を描写するコマも大切ですが、そのキャラクターがどのような人間関係を構築しているのか、それを描くことでいきいきとキャラクターを演出することができるのです。
敵との関係性を活かす
最初に主人公が敵によって失われるもの(平穏や家族など)、価値観などをしっかりと描き、そこから対立するふたりを描く。
仲間との関係性を活かす
主人公の個性が活かせるように考える。そのなかでも、異なる考えを持った相手であれば、長所や短所を強調しながら補い合う関係が描ける。
師匠との関係性を活かす
理想・目標の体現者として主人公を成長に導く。そのまま師匠と同じ道を歩むのか、別の道に進むのかを描ける。
故人との関係性を活かす
過去回想が中心となる。その後成長した主人公が味わう孤独感や、故人が遺したものを想う時間を描ける。
マンガ制作に欠かせないコミュニケーション
はじめて出版社に持ち込みに行くときには、作品を見てもらう編集者とどんなコミュニケーションをとればいいのかドキドキするものです。何を話せばいいのか、何を聴けばいいのか、わからなくなって頭が真っ白になってしまう人もいるかもしれません。そんなときは一度深呼吸をしてみましょう。基本的な言葉遣いなど、失礼に当たらないように気をつければ大丈夫です。受け答えは短くシンプルに、一言でイメージしやすい言葉を使うと、お互いの考えを共有しやすくなります。
逆に持ち込みをされた編集者が困る2つのタイプが、質問されても黙ってしまうタイプと、編集者が作品を読んでいる最中から解説をワーワーとしゃべり出してしまうタイプ。前者はディスカッションが成り立たないし、後者は解説を聞かないと作品がわからないのかと疑問がわいてしまいます。
また、2回目以降の持ち込みをするときには、しっかりと前回指摘された部分の改善がされている、作品の方向性が定まってきているのがわかる、といった、成長が見える作品を持ち込むようにしましょう。何度か持ち込んでもらうことで、その人の成長度も編集者は見ています。
編集持ち込みは掲載のチャンスを得る場、というだけでなく、マンガを多く見てきたプロに作品を見てもらえる貴重な機会でもあります。担当編集者のアドバイスはしっかりと聞き、自分の引き出しを増やすチャンスにつなげましょう。
【出典】『テクニックでセンスを超える! プロが教えるマンガネーム』著:佐藤ヒロシ