Vol.76 DJI Avata 2がついに日本発売!3インチクラスFPVにDJIの最新技術が凝縮〜前編[Reviews]
DJIよりついに3年ぶりのFPV新型機「Avata 2」が発表となりました。実は小型FPV機「Avata」は2022年8月に海外においては発売していたものの日本国内では発売はなく(2.4GHz未対応のため)、今回ついにAvata 2が2.4GHzに対応し国内販売が実現した経緯があります。それでは、日本デビューを果たしたAvata2をさっそくレポートします
誰でもFPVドローンのアクロバティックな飛行と没入感を楽しめる!
FPVドローンを飛ばしたい理由のひとつにアクロバティックな飛行が楽しめることがあるかと思います。しかし、それには空撮用ドローンの操縦方法とは違い、ロール(機体の横回転)やピッチ(機体の前後回転)を完全に手動で行う「アクロモード」という操縦方法による機体コントロールが必要でした。
Avata 2では、新型コントローラー「DJI RC Motion 3」で操縦することによって、ボタンひとつでアクロモードでしかできなかった前後フリップ(宙返り)や横方向の360°ロール回転、180°ドリフト(ヨー軸方向に180°スピン)ができるようになっています(「簡単ACRO」モードを利用)。
また、カメラの画質や最大飛行時間も向上しているのはもちろんのこと、映像遅延の少ない新型ゴーグル「DJI Goggles 3」は、パイロットの目視環境と機体のFPV映像を同一画面内に同時に表示できるようになり、O4 HDビデオ伝送により電波伝送距離や耐干渉性も格段に強くなりました。
https://www.drone.jp/news/2024041122000185823.html
リーズナブルなセットがラインナップ!
発売されるセットは、「DJI Avata 2 Fly Moreコンボ」のバッテリー1本付属(税込143000円)版と3本付属版(税込174900円)となります。別売りのものとして、通常のスティックタイプコントローラー「DJI FPV 送信機 3」(税込17600円)と「DJI Avata 2 NDフィルターセット(税込8800円)」があります。
▼ DJI Avata2 Fly More コンボ(バッテリー×1)
同梱品:DJI Avata 2、DJI Goggles 3、DJI RC Motion 3▼ DJI Avata2 Fly More コンボ(バッテリー×3)
同梱品:DJI Avata 2、DJI Goggles 3、DJI RC Motion 3、2WAY充電ハブ×1、予備バッテリー×2、スリングバッグ×1
DJI Avata2 Fly More コンボ(バッテリー×3)のセット一式
超小型機体に驚く機能が満載!
機体は旧Avataを踏襲し、一体型プロペラガードがついたデザイン。プロペラは直径3インチの小型サイズで、機体重量は377gしかありません。この小型・軽量の特徴を活かして狭い建物の中や森、岩場などを自由自在に空撮する…、そのような楽しいイメージが湧いてきます。
機体外観。プロペラガード一体型のデザインはコンパクトかつ壊れにくそう
機体真上からのアングル。左右のモーター間隔は意外と広い
Mavic 3 Proとの大きさ比較。Avata 2がとても小さいのがわかる
3インチサイズのプロペラは3枚仕様
一体型プロペラガードは衝突が想定されるところは厚みが増して壊れにくくなっている
機体裏面。フレームは樹脂製ながらとても頑丈な作りをしている
バッテリーは標準電圧14.76V/2150mAh。重量も145gと軽く、23分の最大飛行時間を実現する
カメラジンバルはチルト(上下)方向のみとなりますが、DJIのアクションカメラでおなじみの電子映像ブレ補正「RockSteady(傾きをあえて残してブレ補正)」と「HorizonSteady(水平を保ちながらブレ補正)」で、とてもなめらかな映像を撮影できます。解像度は4K/60fpsまで撮影することができ、高画質な10bit D-LogMにも対応しています。
カメラはDJIコンシュマー機におなじみの1/1.3インチセンサーを搭載した高画質タイプ
ジンバルは1軸タイプだがさまざまなタイプの電子映像ブレ補正機能が用意されている
機体底面にはDJI FPV機の特徴でもあるToFセンサーと、機体後部に魚眼のビジョンセンサーを装備。機体下部~後方の障害物を監視し、GNSS(GPS等を利用した位置情報測位センサー)とも組み合わせて、アクロバティックかつ安全な飛行を楽しむことができます。
Mavic 3 等と同じタイプのToFセンサーと魚眼ビジュアルセンサー。ビジュアルセンサーは後方についているが、魚眼レンズのため下方もカバーすることができる
2WAY充電ハブ。集電機能もついており、中途半端に残ったバッテリー残電力を1本のバッテリーに集めることができる
軽量&小型になったDJI Motion 3 とDJI Goggles 3
Avata 2の機体の進化に合わせてモーションコントローラーとゴーグルもそれぞれ「DJI Motion 3」「DJI Goggles 3」にアップデート。コントローラーは小型になり操縦がよりしやすく、ゴーグルは小型化だけでなく煩わしい配線類もなくなり取り回しが楽になりました。
DJI Motion 3 コントローラー。小型になってかなり持ちやすく操作感もよい
DJI Motion 3による機体操縦は少し慣れが必要ですが、慣れてくると直感的に機体を操縦できるようになります。基本的には、DJI Motion 3を手首を軸にして傾けると機体が同じように姿勢を変化させます。例えば、左に傾けると左ラダー(回転)、前方に傾けるとカメラがチルトダウン(下向き)して機体が下降していきます。ほか、主な操作方法は下記のとおりです。
アクセル:手前に引くと前進、前方に押すと行進する。2段階の引きしろになっており、わずかにある1段階目は前進しないが向きを変えることができる。2段階目は前進となっており、引けば引くほど機体速度が上がる。ジョイスティック:DJI Motion 3 を垂直に立ててジョイスティックを操作すると上昇・下降・横移動(エルロン)ができる。また「簡単ACRO」モードで180°ドリフトなどを発動させる。ロックボタン:2回押すとモーターが起動、長押しで離陸または着陸する。飛行中に1回押すと急ブレーキで停止させることができる。
また、ゴーグルは外部環境(通常の目視状態)を投影するカメラが備えられ、ゴーグルの右側をダブルタップするとFPVと外部環境映像を切り替えたり、設定を変更することで外部環境映像の中にFPV映像を投影するピクチャ・イン・ピクチャにしたりすることができます。外部環境を簡易的に確認しながらFPV映像を見ることもできるのでより安全にFPVを楽しめますね。
全体的に小ぶりになったDJI Goggles 3。ヘッドバンド後部にバッテリーを備えるため重さをあまり感じない
ゴーグル前面に付いたカメラから外環境の映像を取り込む
ゴーグル内側のこめかみ部分にセンサーがあり、装着していないとモニターは自動的に消える省電力設計
個人的には、普段メガネを着用しているので、視度をデジタル調整する機能が便利でした。ゴーグルのレンズを度付きレンズに変えたり、メガネをコンタクトに変更したりすることなく、適切な視界を手に入れることができます。これでFPVをやらない理由がまたひとつ減ってしまいました。
ゴーグル下部のつまみでレンズの視度調整と左右間隔の調整が簡単にできる。視度はデジタルで調整できるので数値化されており、わかりやすい
小型FPVドローンにDJIの最新映像技術と安全飛行技術を凝縮
3インチクラスの小型FPVドローンにDJIが持つ映像と安全飛行の最新技術を詰め込んだAvata 2。初代DJI FPVも楽しかったのですが、プロペラむき出しの機体はFPV初心者にとってはまだ少し恐怖感が拭いきれないところがありました。Avata 2はそんな不安をまったく感じさせず、撮影を楽しむことができるFPV機体です。次回はその飛行や撮影について検証してみたいと思います。