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外来魚<コウライオヤニラミ>が利根川水系から発見される 国内2か所目の確認

サカナト

利根川水系(提供:PhotoAC)

日本ではオオクチバスやブルーギルなどの外来魚がよく知られていますが、近年はコウライオヤニラミと呼ばれる魚が注視されているのを知っていますか。

この魚は日本に生息するオヤニラミの近縁種であり、2017年に宮崎県の大淀川水系で初めて発見。以降の調査・研究により分布域を拡大していることが明らかになっています。

そんなコウライオヤニラミですが、2024年10月、群馬県藤岡市を流れる利根川水系の鮎川で見つかっていることが判明しました。国内における本種の発見は、宮崎県に続き2か所目となります。

コウライオヤニラミとは?

コウライオヤニラミはオヤニラミ科に属する淡水魚です。原産国は朝鮮半島で、観賞魚として輸入されてきました。

オヤニラミ(提供:PhotoAC)

日本の在来種である同科のオヤニラミとよく似るものの、コウライオヤニラミは側線有孔鱗数が50~59、背びれ軟条数が13~14でるのに対し、オヤニラミはそれぞれ33~38、11~13であることから区別することができます。

また、コウライオヤニラミはオヤニラミより大きく成長することが知られ、オヤニラミの最大全長が12センチほどなのに対し、コウライオヤニラミは30センチ以上になるとのことです。

国内におけるコウライオヤニラミの発見

日本で外来魚として知られるコウライオヤニラミ。

本種の日本における記録はごく最近であり、2017年に宮崎県の大淀川水系で初めて見つかりました。2021年の調査ではコウライオヤニラミが大淀川水系の広い範囲から捕獲されたほか、個体数の増加が確認されています。

また、2023年の調査では環境DNAの解析が行われ、大淀川水系のほぼ全域に侵入していることが判明。胃内容物解析では魚のほか、エビ類や水生昆虫を捕食していることが明らかになりました。

大淀川(提供:PhotoAC)

大淀川水系には多くの在来生物が生息していることから、強い肉食性を示すコウライオヤニラミによる生態系への影響が懸念されています。特に大淀川水系の固有種であるオオヨドシマドジョウは、既に壊滅状態にまで追いやられているとのことです。

これを受け、宮崎県では内水面における水産動植物の繁殖保護を図るため、2024年8月よりコウライオヤニラミの規制を開始。大淀川水系の本流および支流からの持ち出しや、県内の河川の内水面への移植を禁じました。

群馬県でコウライオヤニラミが見つかる

発見以降、大淀川水系で分布域を拡大させたコウライオヤニラミですが、2024年10月には群馬県藤岡市を流れる鮎川で見つかっていたことがわかりました。

今回の発見は国内において2か所目となり、放流の疑いがあるとされています。本種は在来種の生態系へ強い影響が懸念されているものの、2025年6月現在、国の特定外来生物には指定されていません。

環境省は生息状況の確認を継続するほか、飼育している人は放流しないことはもちろんのこと、コウライオヤニラミが採集され場合には環境省まで情報提供するように呼び掛けています。

(サカナト編集部)

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