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県内外から太公望、釜石に集結! 甲子、鵜住居川でアユ釣り解禁 1年ぶりの感触に気分高揚

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鵜住居川は6日午前5時に解禁。鵜住居川漁協の監視員と会話を楽しむ釣り客


 釜石市の2大河川、甲子川と鵜住居川で6日、今季のアユ釣りが解禁された。釜石地方は梅雨入り後、まとまった雨が降らず、水量不足による影響が心配されたが、解禁日初日としては、まずまずの釣果。両河川には早朝から多くの釣り客が繰り出し、1年ぶりの“引き”の感触に笑顔を広げた。今年は天然遡上(そじょう)のアユも多く見られるということで、釣り人らは「9月いっぱいまで楽しめそう」と期待を寄せる。

 甲子川では午前4時半の解禁を待って、釣り人らが思い思いのポイントで竿(さお)を出した。例年、多くの人が訪れる甲子町松倉の県立釜石病院裏のエリアでは、日の出前から釣り客が準備を進め、解禁時刻になると、長い竿が連なるいつもの光景が広がった。ほとんどが、アユの縄張り特性を利用した「友釣り」。川底の石や水流の状況を見極めながら、おとりアユを泳がせた。

 開始早々、20センチほどの形のいいアユを上げた同市平田の油木由峰さん(54)は「掛かり始めとしては調子はまずまず。雨が降って水量が増えれば、アユもさらに活発になる」と様子見の構え。今季の天然アユの多さについて、「海でサバとかに稚魚が食べられなかったこと、(遡上時期の)5月ごろに川の水位が高かったことが大量遡上につながっているようだ」と話し、今後に楽しみを残した。

解禁から早々に形のいいアユが掛かった=甲子川


県立釜石病院裏は人気のスポット。今年も多くの釣り客が集まった


 一関市の小野寺岳男さん(58)は仲間2人と前日の閉伊川(1日解禁)から“はしご”。甲子川の解禁日に釣るのは初めてで、「こんなに人がいる所で釣るのは久しぶり」と話した。解禁から1時間ほどで4匹をゲット。「ここは川の水がきれい。魚もおいしいと評判」。シーズン中は県内外の川に出向く。「2カ月半ぐらいしかないので今年も存分に楽しみたい」と心を躍らせた。

 漁業権が設定されていない甲子川では遊漁料の徴収はないが、自主的に資源保護の取り組みを行う甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)が釣り人から協力金を募り、毎年春の稚魚放流を維持している。市や企業の助成も得ていて、今年は約3万2000尾を放流した。協力金は甲子町の釣具店「釣具オヤマ」などで受け付けている。

竿先を上げ、掛かったアユをたも網に誘導。流れるような動きが見事


放流から2カ月弱。アユの成育は順調。「けっこう太いのが多い」と釣り客


 一方、鵜住居川は午前5時に解禁。鵜住居町から橋野町にかけ、橋のたもとなどを中心に各ポイントに釣り人が散らばった。前夜からの泊り組も多く、広い河川敷には多くの車両が並んだ。昨年の解禁日は早朝、雨に見舞われたが、今年は朝から夏の日差しが照りつける中での解禁。こちらも例年に比べ水量は少なめながら、朝方を中心に好調な釣果を見せた。

 昨年に続き、解禁日に足を運んだ一関市の男性(68)は長持橋付近で釣りを楽しんだ。「見ての通り立派なアユだよ」。たも網に入れて見せてくれたアユは大きいもので18センチほど。午前6時半ごろまでに14匹を釣り上げた。アユ釣り歴約50年。「ここは河川敷の草刈りもしてくれていて、車を止めるスペースがあるのがうれしい。高齢者にやさしい川」とにっこり。「今日は何時ごろまで(楽しむ)?」と聞くと、「体力の続く限り」と元気な答えが返ってきた。

鵜住居川長持橋付近には県内陸部からの釣り客も多数。漁協組合員も注目の釣果


 「解禁日の楽しみは前夜祭から…」。仲間と泊まり込み、解禁を迎えた地元鵜住居町の小笠原大和さん(48)。「さっきまでバタバタ掛かった」と午前7時ごろに見せてくれたのは、20センチの大物や天然アユを含む15匹。「この時間で2ケタはいいほう。昨年は同じ場所で全く駄目だったので」とリベンジを果たした。5月ごろから川をチェックし魚の群れを確認。待ちに待ったシーズン到来を喜び、「地元の誇る川。休みのたびに来たい」と声を弾ませた。

 東京都あきる野市から訪れた男性(77)は、鵜住居出身の東京の友人から話を聞いて、3年前から足を運ぶように。現地で知り合った釜石在住者が「親切にいろいろ教えてくれた」こともあり、鵜住居川のファンになった。「釣り人のマナーが一番いい。ここの雰囲気も好き。だから、わざわざ東京から来るんです」。アユ釣りは定年後に始めた。「狙った場所で、思った通りに釣れた時が最高に面白い」と友釣りの魅力にもはまっている様子。

地元鵜住居の釣り客(右)も幸先のいいスタートに顔がほころぶ


栗林町道々橋上流は川幅が狭く水流が集中。アユの動きもいいよう


 同河川は鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長)が漁業権を持つ。今年は組合によって稚アユ約4万6500尾が放流された。解禁日に巡回監視を行った組合の藤原信孝事務局長は「出だしの釣果もいいようで一安心。パトロール中、マナーの良さや草刈りなどの環境整備にお褒めの声をいただきうれしい」と、他地域に良い評判が広がってきているのを実感。「あと2~3割、水量が欲しいところ。洪水にならない程度にね」と今後の気象の行方を気にかけた。

砂子畑橋上流も人気のスポット。多くの釣り客が陣取った


花巻市から仲間6人で訪れた鵜住居川解禁日の常連さん。好調なかかりに笑顔


 鵜住居川での釣りの際は同組合員証(組合員費:年間5000円)か、一般遊漁券(年券7000円、日券1500円)が必要。遊漁券は市内釣具店や流域の赤いのぼり旗を掲げた販売所のほか、スマホアプリ「フィッシュパス」で購入できる。現場の立て看板の注意事項などを守り、安全で楽しい釣りを呼び掛ける。

鵜住居川沿い県道釜石遠野線に掲げられる赤いのぼり旗が遊漁券販売所の目印。写真右上が今年の遊漁券。橋野町青ノ木など上流部には「フィッシュパス」のQRコードも掲示(右下)

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