0・1歳児【赤ちゃんの便秘】 受診のチェックポイントと4つのケア方法を小児科医が解説
赤ちゃんの「便秘」について小児科医・岡本光宏先生取材。体調不良時の対応やチェックすべきポイントや受診の目安など。 「0~1歳児の赤ちゃんのホームケア」シリーズ(全11回の1回目)。
「赤ちゃんの便秘」 受診のチェックポイントとケア方法を小児科医が解説機嫌が悪かったり、なかなか泣きやまなかったり……。赤ちゃんの様子がいつもと違うとママパパは心配になりますよね。そこで、赤ちゃんの体調不良のときにチェックしておくポイントや、家庭での対応、受診の目安などを「おかもと小児科・アレルギー科」院長・岡本光宏先生にお聞きしました。
1回目は、赤ちゃんの便秘についてです。
兵庫県三田市にある「おかもと小児科・アレルギー科」院長・岡本光宏先生。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。新生児から思春期の心の疾患まで、幅広く診察している。
毎日出なくても便秘ではない
赤ちゃんのうんちは毎日出なくても、便秘とは限りません。排便のペースは個人差があり、1日に数回出る赤ちゃんもいれば、2~3日に1回の赤ちゃんもいます。
「毎日うんちが出るか」ではなく、うんちをするときに激しく泣く、赤ちゃんのおしりから血が出るなどの症状があれば便秘です。
「赤ちゃんが困っているかどうか」がポイントです。お腹がカチカチに張って苦しそうでなければ、基本的に様子を見て大丈夫です」(岡本先生)
母乳性の便秘がある
元気で母乳やミルクをよく飲み、体重は増えるけど、うんちが出ないというケースもあります。母乳は体内で効率よく吸収されるため、母乳のみの赤ちゃんはうんちの量が少なくなってしまうからです。
この母乳性の便秘の場合、1週間程度であれば、様子見でOKです。
「1週間うんちが出なくても、赤ちゃんの機嫌が良かったり、苦しそうにしている様子がなければ異常ではありません。ただ、心配だと思うので、そこが受診のタイミングだと考えるといいでしょう」(岡本先生)
写真:アフロ
受診する目安
次に、赤ちゃんの体調が悪いとき、このまま様子見でいいのか、小児科を受診したほうがよいかの判断の目安を段階別に紹介します。
〈様子見でOK!〉
・赤ちゃんの機嫌がいい
・食欲がある
・排便が2日に1回くらい
※母乳のみの子の場合、「腹痛がなく食欲があり機嫌が良ければ」1週間に1回の排便でもいい
〈小児科を受診〉
・お腹が張っている
・いきむのにうんちが出ない、苦しそうにしている
・うんちをするのを嫌がって泣く
・うんちに血が混じっている
・硬いうんちで肛門が切れて出血した
〈時間外でも急いで受診を〉
・嘔吐する
・お腹をさわると痛がる、泣いて嫌がる・ひどく機嫌が悪い
〈受診の準備〉
・症状が始まった時期や授乳や食事、水分の回数、量をメモしておく
・お腹の張り具合をチェック
・色や状態がわかるように便秘のうんちの写真を撮っておく
「病院では、赤ちゃんの体重が増えているかどうかを見るために受診時の体重と健診時の記録を比較することがあります。母子手帳を忘れずに持っていくといいでしょう」(岡本先生)
家庭でできる4つのケア
赤ちゃんが便秘のときに、家庭でできる4つのケアの方法を紹介します。
【1】「の」の字マッサージ(朝起きたとき、お風呂上がり)
お腹が少しへこむくらいの強さで「の」の字を書くようにマッサージをしてから、足を前後に動かします。赤ちゃんの両足を持って、ゆっくりと前後に動かすとよいでしょう。
イラスト/オヨネ
【2】軽い運動をする
「抱っこをする」「座らせてから足を前に動かす」など、動作や体の向きを変えて、腸の動きを活発にしたり、赤ちゃんの両足を持って、ゆっくりと前後に動かすとよいでしょう。また、腹ばいにして、お腹に刺激を与えるのも効果があります。
【3】食物繊維の摂取
離乳食以降の場合は、食物繊維の摂るようにしましょう。とくに、さつまいも、りんご、バナナなどの食物繊維が多い食材がおすすめです。
【4】浣腸をする
・1歳未満…ワセリンやベビーオイルなどをつけた綿棒を肛門に1~2cmほど入れて刺激する「綿棒浣腸」をしましょう。
・1歳以上…市販の浣腸を使用してもOKです。
「浣腸をした後もお腹を痛がっている場合は、虫垂炎や腸重積症など便秘でない可能性もあるので、小児科を受診しましょう」(岡本先生)
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受診の目安がわかれば、お腹の調子が悪いときに、受診か家庭でのケアでよいのか切り替えるなどの判断ができますよね。
とはいえ、「赤ちゃんの様子やうんちの状態が“様子見に当てはまるけど、なんとなく気がかり”」と感じたら、すぐかかりつけ医へ。毎日赤ちゃんを見ているママパパの判断ももちろん大切です。受診の目安はあくまで参考にしてくださいね。
赤ちゃんのホームケア連載、次回2回目は、赤ちゃんの「下痢」についてお届けします。
取材・文/畑菜穂子