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物流ドローンやドローンドックが次の起爆剤になるか[第10回 国際ドローン展]

DRONE

2024年7月24日(水)から、東京ビックサイトにて開催された第10回 国際ドローン展をレポートする

第10回 国際ドローン展のオープニングセレモニーでは、デジタル担当大臣の河野太郎氏らが出席し、テープカットが行われた。ドローン産業のさらなる飛躍のために、法整備が進むことを期待したい。

PRODRONE

PRODRONE代表取締役社長の戸谷氏に話を伺った。今回出展した機体は、SBIRから開発資金の提供を受けている水中測量機を搭載した水空一体ドローンだ。護岸や橋梁などの社会インフラの洗掘状態の把握が、この機体の用途となる。本機はフロートが付いているため、ドローンを着水させ、川を下りながら測量や撮影が可能だという。

同機に装着される水中ドローンもウインチも社内で開発している。必要なものは自社開発で賄うのがPRODRONE、素晴らしい限りだ。(音響センサーは社外品)。

今後、機体やソフトウェアのブラッシュアップをすすめて、28年までに誰でも簡単につかえる水空一体ドローンを目指すという。

PRODRONEが第一種型式認証を申請している物流ドローン「PD6B-CAT3型」については、順調にすすんでおり11月に取得できる予定だという。今年度内の納入を目指しているとのことで、来年からレベル4飛行のドローン物流が増えそうだ。

ACSL

第一種型式認証を申請中の物流ドローン「PF4-CAT3」が展示された。日本郵便仕様の赤色の筐体でお馴染みだが、今回展示された機体は、筐体素材の黒色だった。これだけでもかなり印象が異なる。新しく仕様が公開された。

構造全長(プロペラ範囲)2265mm全幅(プロペラ範囲)2493mm高さ(カバー上面まで)624mm重量(バッテリ4本含)約19.9kgバッテリ容量20000mAh x 4公称電圧17.1~25.2VタイプLiPo 6S性能飛行速度(完全自律飛行時)水平:15m/s最大対気速度25m/s最大飛行時間60分(ペイロード0kg)
40分(最大離陸重量時)最大積載重量約5kg最大航続距離35km(最大離陸重量時)耐環境性能雨天飛行可能(10mm/h以下)高精度位置測位機能CLAS(センチメータ級測位)その他機能第一種型式認証取得予定(物流用途)
2方向同時監視カメラシステム(前方・下方)
補助安全装置(パラシュート)搭載可能(第一種型式認証範囲)
LTE通信機能(デュアルSIM運用可能)*1
Wi-Fi通信機能
ユーザによるペイロード切替可能構造(物流・測量・空撮等)*2
*1 LTEの上空利用に対応したキャリアとの契約が別途必要
*2 第一種型式認証の範囲には含まれない予定

すでにテスト飛行を繰り返しており、実際に最大積載量の5kgを積載して40分飛行しているという。発売時期は調整中とのことだが、開発は順調に進んでいるようだ。本機は、プロペラを畳んで一人で運べる設計がされているため、軽トラックでも簡単に持ち出せる。

現在ドローン物流を手掛けている事業会社にとっても、これからドローン物流に参入予定の事業会社にとっても、注目の物流ドローンといえるだろう。

Autonomy

富士フィルムの上野隆氏(左)、Autonomyの舘良太氏(右)

Autonomyは富士フイルムと協業した、1億200万画素の高画質カメラ「GFX100SⅡ」を搭載した自律ドローン「Surveyor-Ⅳ」を展示した。同機は、富士フイルムからSDKの提供を受けて組み込んでおり、ズームなどの調整はパイロットが操作可能だという。

建設業やインフラ企業では、安全マージンの意識が高く、ドローン運用においても対象物との距離を十分にとるのが基本だ。そのためドローンのカメラ性能の向上を常に求めており、1億200万画素のカメラ性能は魅力的だろう。実際に引き合いが来ており、今後さまざま現場で活躍しそうだ。

発売は12月頃を予定しており、中盤カメラを搭載したドローンとしては競合よりもお手頃価格になるという。今後、高解像度の画像データが要求されるドローン点検業務において選択肢に入るだろう。

富士フイルムは、Autonomyとの協業を皮切りにGFXシリーズのドローン対応・最適化を進めるという。ドローン用カメラ市場に、世界最高峰の光学技術を有する富士フイルムが参戦することは非常に興味深い展開であり、将来的にはドローン専用GFXの可能性もあるとしている。

J-inSPACE

今回初出展したドローン企業「J-inSPACE」は、各種ドローンやドローンドックを展示。ラインナップは、韓国の宇宙・ドローン企業HANCOM InSpace社製で、現地で実績がある機体だという。まずは自社グループの太陽光発電施設の点検業務で活用していくとしている。

ドローンドックは3種類。今後、遠隔でドローン運用を検討している企業にとっては注目と言える。さらに「SPIRIT」のようなデザインがユニークなドローンも導入するとのことで、今後の動向をフォローしたい。

KDDIスマートドローン

KDDIスマートドローンブースのステージでは、遠隔飛行のライブデモ(Skydio X10やDJI DOCK 2)を実施しており、ライブデモが始まると人垣ができていた。さらにブース内では、さまざまなドローンソリューションを展示。暗所での自律飛行および障害物回避が可能になる「ナイトセンス」をアタッチしたSkydio X10や、DJI DOCK 2の実機を展示。DJIの産業機をLTE対応させるドングルも展示しており、KDDIが対応をすすめているという。

Skydio X10の注目度は高く予約数も伸びているとのことで、発売が待たれるところだ。

ブルーイノベーション

ブルーイノベーションは、超音波で厚さを測定可能なELIOS 3 UTペイロードを展示。5月に発表されてすでに導入事例がある。現在も問い合わせが多く、数十件の商談をすすめているという。プラントやインフラ企業が導入すると、点検作業がかなり効率化されるだろう。

ドローン以外に巡回ロボットも展示しており、同社BEPポートをベースに自動巡回できるシステムを構築できるという。このロボットは、カスタマイズ性が高いため、ユーザーのニーズに合わせて最適な仕様に変更できるのが強みだ。

JIW

自社開発している「ソナー搭載式ボート型ドローン」を展示した。実際に業務で使われている機体を持ち込んでおり、この展示会後は、千葉県の現場で点検業務に使用するという。

主に、河床状況の確認や橋脚点検、洗掘状態の確認などで活用されている。JIWは、空を飛ぶドローンも水上ドローンもどちらも操縦できるスタッフが多いという。

FullDepth

HAYATE

発表されたばかりの新型水中ドローン3種を展示した。小型だが最大3ノットで流れが早い水域でも使用できる「HAYATE」。今までの「300」の後継機種となる「300 Lite」。さらにさまざなまペイロードを付与できる大型の「KAI」だ。

KAI

日本発の水中ドローンメーカーを代表する同社だが、今後は海外展開も想定して、日本っぽいネーミングとなったそうだ。

300 Lite

参加して感じたこと

今回の国際ドローン展を取材して、去年よりも会場の熱量を感じた。実際に、出展ドローン企業の反応を聞いてみたところ、具体的に導入を検討している来場者が来ているため、手応えがあったようだ。

2024年の物流ドローンといえばDJIの「Fly Cart30」が話題をさらっているが、来年にはPRODRONEの「PD6B-CAT3」、ACSLの「PF4-CAT3」など国産の物流ドローンが揃い始めて、賑やかになりそうだ。ドローン物流のさらなる盛り上がりに期待したい。

遠隔ドローン運用可能なDJI DOCK 2やSkydio Dockを活用したソリューションの提案が活発化している。今年から来年にかけてドローンの遠隔運用の事例が拡がりそうだ。遠隔ドローン運用の導入が進めば、ドローン事業会社にとってベースの売上が読みやすくなり、新しいチャレンジにもトライしやすくなるだろう。

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