作家ヨシタケシンスケの頭の中を覗ける!?「ヨシタケシンスケ展かもしれない」開催中!浦添市美術館
ベストセラー絵本『りんごかもしれない』や『もうぬげない』で知られるヨシタケシンスケさん。、頭のなかに広がる果てしない妄想やアイデア、クスッと笑える人のクセやしぐさ、世界の真理をつくようなものの見方を細いペン先で描き続け、多くの人々をひきつけています。 全国を巡回しているこの「ヨシタケシンスケ展かもしれない」。 「ヨシタケシンスケの頭の中をのぞく」という実にユニークな展覧会! 沖縄でも遂に開催。 浦添市美術館にて11月4日(月・祝)まで開催中!
私自身、子どもと一緒にヨシタケシンスケさんの作品を楽しんで過ごしてきました。 本棚の一角はヨシタケシンスケ作品で埋まり、いくつかの書籍の名前は今もなおそのまま子どもとの合言葉となっています。 その最たる絵本の例は「りゆうがあります」。 「〇〇するのをやめなさい!」という「やめなさい」というギスギスした言葉から脱出したいと思っていたときにふと本屋さんで「りゆうがあります」に出会いました。 子どもといっしょに「りゆうがあります」を読み「きみの鼻くそほじくる理由はなに!?」と話しながらゲラゲラ笑い、「わかるけど、やめようね」と着地できたようなできなかったような。「それしかないわけないでしょう」も我が家では大活躍していました。 ヨシタケシンスケ愛読者必見の展覧会です! 「ヨシタケシンスケ展かもしれない」会場の見どころと開催前に行われた内覧会で行われたインタビューでの作家ヨシタケシンスケさんからのメッセージをご紹介します。
見どころ。あなたの心にしかないかもしれない。
「ヨシタケシンスケ展かもしれない」公式ホームページ等でみるアレ。ここにあります。
タイルではございません。2500点以上のスケッチ。原画の複製です。圧巻。3メートル近い高さで、上の方の絵はもはや見えません。
あれ?まだ準備中なのかな?と思ったら。
「ころべばいいのに」でお馴染み「アイツ」もいます。本棚には世界各国の言語に翻訳されたヨシタケシンスケ作品が並べられています。「アイツ」もインターナショナルです。
絵本タワー!倒れてしまうかもしれないワクワクも含めて、自宅で再現したくなる気持ちが押さえられません。
飽きないしかけ。かもしれない
日ごろ、お子さんもヨシタケシンスケ作品を愛読していてても、展覧会となると子どもが楽しんでくれるか心配。そんな方も少なくないのでは? かくいう私がまさにそれでございます。 我が家の場合、子どもと一緒に行っても子どもがスーっと一周し、「さぁグッズを買って帰ろう!」と言い出す姿が鮮明に思い描かれていました。 でも大丈夫! 幅広い年齢層の方が楽しめるよう、「ヨシタケシンスケ展かもしれない」には子どもも大人も飽きないしかけが散りばめられています。 そのしかけを一部ご紹介します。
じごくのトゲトゲイス。
大人も夢中になってしまうしかけもありました。口にボールが入ればうるさい大人を黙らせるのに成功です。思いのほか難易度が高かったです。
ふと見上げたら洗濯もの。会場の天井が高いので洗濯ものも気持ちよさそうです。 我が子が「おしっこちょっぴりもれたろう」だった日々を懐かしく思います。 またこれを見上げながら、浦添市美術館の独特な構造は他の地域と異なる個性を演出してくれている事が感じられます。
付箋よ付箋。不意打ちで登場するので見逃しがないか探してしまう。 我が家では「付箋ひとつも見逃すな大作戦」で子どももすっかり集中することでしょう。
りんごではない謎のなにかに変身させてくれるしかけ。大変絶妙で不思議な感じでした。
開催前に行われた内覧会には、ヨシタケシンスケさんご本人来場によるインタビューが行われました。その様子をご紹介します。
ヨシタケシンスケさんからのメッセージ
晴れ男だったのに、台風と一緒に来てしまいました。とおっしゃるヨシタケシンスケさん。 「独特の建物がかっこいい」と浦添美術館の独特な形をお褒めいただき県民として少々誇らしい気持ちになりました。 インタビューでは、「ヨシタケシンスケ展かもしれない」に至った経緯をお話しくださいました。 「通常の展覧会では、「原画」を見せる事が普通ですが、でも、僕の絵は非常に小さく、色なしのペン画。それを見せるだけでは、場が持たないので、本ができるまでの間に何が起きていたのか。頭のなかをそのまま観ていただけるような空間作りにしました。」 なるほど。小さな原画を大型パネルに写した「ヨシタケシンスケ絵画展」が開かれていたら。ファンとしては観に行くかもしませんが、確かに味気ないかもしれません。 しかし、さすが。真っ向から「頭のなか」を見せてあげるというお誘い。 一読者としては、ヨシタケシンスケさんの作品でクスっと笑わせられたり心がフワッとなると、そのあと思うのは「どうしてこういう発想ができるんだろう」と。 まさに「頭の中が観たかった!」と言いかえられるかもしれません。 また、ご自身が幼少期に展覧会に行ったときのご経験を踏まえて、この展覧会の空間作りについてもお話くださいました。 「小さい頃、展覧会に行くと早く帰ろう、と自分自身が言ってた。そうなると悔しいので、小さい子は小さい子なりに、大人は大人なりにそれぞれ持って帰れるものがある空間にしました。それは、僕が絵本を作っているときも同じ。色んな楽しみ方をしてくれると嬉しいです」 確かに小さい子でも楽しめる具材が散りばめられています。
ヨシタケシンスケ展の「未完成感」と「図録」
この展覧会の空間作りについて記者からの質問に答えたヨシタケシンスケさん。 「今回表現したかったのは完成していない感じ。頭の中の混沌とした感じを立体化させる。」 そのなかで大事にされているのが「未完成感」だとお話されています。 「一つの作品ができるまでの間は常に未完成。その間のあっちもいいよな、こっちもいいよな、と迷っている時間が作る楽しみでもあり、あれこれ出来上がった物の手前の試行錯誤している工程をみてもらうには『未完成感』かな」とお話されていました。 そして今回の展覧会の図録。 通常、展覧会の図録は展覧作品が紹介されますが、「ヨシタケシンスケ展かもしれない」図録は、その「こっちも、あっちもいいね」と迷った結果、採択されなかった案が掲載されています。 展示されていないものだけが掲載される図録。破天荒です。 様々な「かもしれない」に満ち溢れ、なぜかワクワクしてきます。 「かもしれない」は、迷いの言葉ではなく、色んな可能性を引き出す魔法の言葉でしかないとまで思うようになりました。
ここでしか買えないグッズたち
店頭には何ともいえぬ絶妙な表情でとってもリアルな事を言っている子どもがいます。
ヨシタケシンスケさんご自身も紹介なさっていた公式図録 2970円(税込)
クリアファイル500円(税込)。「見せようと思っていたプリント入れ」と書かれたクリアファイル。憎いやつです。
キーリング1900円(税込)・マグネット650円(税込)・ポチ袋400円(税込)・マスキングテープ400円(税込)。
子どもも大人も一緒に楽しめる「ヨシタケシンスケ展かもしれない」
我が家では、子どもが成長し絵本から卒業する年齢となってもまだ、ヨシタケシンスケさんの絵本たちは手放せません。 大人一人でヨシタケシンスケさんの作品を読み返すと、何か心の余裕のなさに気づき、おおらかに行こうよ!という気持ちにさせてくれます。 私は、1人でじっくりヨシタケシンスケさんの頭の奥までしっかり観る回と、子どもに委ねて楽しむ回と、あと2回は行く予定です。 「なんじゃこれは!」と思うもの、思わずクスっと笑いたくなるもの、テキストのメッセージで「そうなのか」と思うものも。また沖縄現地で書かれたイラストも会場内に展示されています。 さらに現在、平日限定で塗り絵が配布されています。 来た人ごとに違う何かが持ち帰られる展覧会。 お気軽に立ち寄ってみて作品の世界に触れる、というのもありかもしれません。 本展覧会は11月4日(月曜日・祝日)まで。
「ヨシタケシンスケ展かもしれない」【開催期間】
2024年9月15日(日)~11月4日(月・休)
【開催時間】
9:30~17:00閉館 ※金曜日は19:00閉館 ※最終入場時間 閉館30分前
【開催場所】
〒901-2103 沖縄県浦添市仲間1-9-2 浦添市美術館
【問い合わせ先】
沖縄テレビ事業部 TEL:098-869-4415 平日9:30~12:00 13:00~17:30
【公式サイト】