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第43回「個性を見る!」

TBSラジオ

「私たちの未来は、私たちで作る!」
あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組。

今回は街の声にスタジオの3人がこたえました。

今、大学3年生でゼミに入っているんですけど、会社が株主とかに出している「統合報告書」という書類の研究をしているんですね。その中で「女性役員の数を増やします」っていうのをみんな書くんです。トレンドなんです。

これって、今までと同じことをやっているだけで、男女逆にしただけじゃないかなって思うんです。っていうのも、今までは女の人は妊娠とか出産とかがあるから、男の人だから取る、っていうやり方をしていたわけじゃないですか。それが今度は男女逆になって、女だから取る。
男女平等にしたいから、女だから取るって変わっているだけで、根本は同じなんじゃないかなって思います。

私、経営学部なので、公認会計士が周りにたくさんいるんですね。話を聞くと、女性の公認会計士って今、引く手数多だよって言うんです。というのも、社外取締役みたいな感じで、役員の比率を合わせたいから女の人が引っ張られてるよ、って聞いて。
それって能力じゃないじゃんって思います。

小泉:なるほど。素敵な、しっかりしたお嬢さんですね。

上村:大学3年生なのに、すごいな。

小泉:今、男女の比率を合わせるっていうのは、誰が望んでいることなのか。もちろん社会も望んでいると思うけど、この場合、会社が「そうした方がイメージアップになる」だとか、そうしたことがあるんでしょうかね?

大石:特に株主の方がね。この会社が将来残るか、って多様性が大事じゃないですか。色々な意見を取り入れているか、と。だから女性が活躍できているか、というのを株主が見るので、そのプレッシャーでやり始めることはあるんだけども。

小泉:そうすると、能力を見るというよりは数を揃えるみたいなことになっちゃってる、ということを彼女は言っているのね。

大石:そうですね。

小泉:そういうやり方をしているとキリがなくなっちゃうっていうか。女性が増えちゃって、女性を減らして、男の人を増やさなきゃ…ってずっと天秤をあわせるみたいになっちゃうけど。本当に能力みたいなものを見てほしい、って(会社を)受けている子たちは、男女関係なく思っているでしょうね。

大石:うん。実際に会社に行ったりすると、男女比率が拮抗している、バランスのいい会社って意見もすごく多様性があったり、いい商品を出していたりね。

小泉:アップデーターさんは結構、女性社員多いですよね。

大石:多いです。半分くらいですけどね。

小泉:うちは数人の会社ですけど、女性しかいないんです。

上村:ちょっと話変わっちゃうんですけど、会社の健康診断の日にちが、女性が5~6日しかないのに男性は10何日かあって。

小泉・大石:えー。

上村:女性の日数がすごく少ないんですね。最近の勤務だと、私は行けていたんですけど、ものすごく忙しく働いていた年次の時に、わざわざ設定されている時間に休日出勤で健康診断のためだけに行ったりとか。女性だと生理の日が被ったりとかもあるじゃないですか。だから休みだけど受けに行かなきゃいけない、みたいな日にちがあって。「女性と男性の比率おかしくないですか?」って言いに行ったことがあるんですよ。

大石:うん。

上村:そうしたら、人数で言うと3:1くらいの割合だから、これくらいが正確なんですって言われたことがあって。でも、それで日数で、割合で揃えると、女性が大変な目に遭うんだなってその時に思って。だからもうちょっと半分に近づけてほしいなって。

小泉:たしかに。

上村:この、能力とかの話じゃないんですけど、ちょっと、パーセンテージを女性に傾けないと難しい場面もあるんだなって健康診断の時に思いました。

小泉:そうだね。きっと、気がついていない、私が知らないだけかもしれないけどそういう場面はたくさんあるんだろうね。大きい会社だったりすると、特に。

上村:でも、それで女性に気を使いすぎると、逆に男性が可哀想だなって気もしません?

小泉:そうだね、それもそう。

大石:それぞれのいいところをちゃんと組み合わせていければね。

小泉:お互い、得意なことがあったりするだろうし。この比率、対等に受けられるサービスみたいなものが行き届いていないのはちょっと問題ですよね。

上村:続いて、街の声のモヤモヤもう一つご紹介しましょう。

乳製品の製造に関わっている55歳ですけれども。
やっぱり、物価でしょう。103万円の壁とか、それによる地方税の減少とか、その辺が私たちは直結しますから。それこそ新しい総理大臣になられて、なんとかしてほしいっていうのが。

牛乳でいうと、今、酪農家さんがどんどんへっちゃっているので。1万を切っちゃって、やればやるほど赤字になるので、「もう辞める」っていう酪農家が半分くらいいるんで。牛乳が作れなくなっちゃうとかね。そうなると、牛も処分しなければならないし。

そういう酪農とか農業にも、もうちょっと、なんとか、国から支援が欲しいですよね。

小泉:これはどうして赤字になっちゃうの?

上村:大きな理由が、エサ代の高騰だそうです。

小泉:それで所得が減って、バランスが保てないんだ。

大石:高く売れないし、エサ代は上がるから、圧迫するんでしょうね。

上村:やればやるほど赤字になるって、辞めるしかないってなっちゃいますよね。

小泉:そうだよね。

上村:実際、中央酪農会議の調査では、日本の酪農家の数は減少傾向にあります。去年10月の時点で9960戸。2005年の調査開始以来、初めて1万を下回りました。この5年間では3000戸以上の酪農家が減っているということです。

小泉:でも、生産量は変わってないんだよね。

上村:大規模なところは大丈夫なんだそうですが、規模の小さい酪農家が生き残ることが難しくなっているということです。

小泉:大きな会社、大きな牧場はそこでたくさん作れているから生産量は変わらないけど、小さいコツコツやっている人たちが生きていけなくなっているってことか。

大石:大きかったら、エサもそれだけ大量に買うから安く仕入れられるだろうし。

小泉:出荷するところもいっぱい決まっているだろうからね。それはちょっと、牛を処分しなきゃならないとかね。

大石:私ね、1回、牛の世話を体験させていただいたことがあるんです。もうね、本当に大変。牛のベッドをつくることとか。絞るのも手だと大変だし、エサのトウモロコシの畑にイノシシを追いかけて行ったり…

小泉:なんでイノシシ追いかけるの?

大石:なんかね、トウモロコシ畑を猪が荒らすんだって。

上村:へー。

大石:だからドラみたいなものを鳴らしてイノシシを追い払うわけですよ。ボロボロになりながら。それで、1本100円とかで売ってるんですよ。

小泉:そうだね。ブランド牛乳みたいなものはもう少し高く売ってたりすると思うけど、普通のはね。

東京23区で生まれたシングルオリジンミルク


大泉学園町「小泉牧場」

お悩みから視点を広げて、こんな話題も紹介しました。

上村:今回ご紹介するのは、東京23区で生まれたシングルオリジンミルク。シングルオリジンミルクとは、ひとつの生産者がつくるミルク、つまりブレンドしていない牛乳のことです。現在、東京23区には牧場はたった一つしかありません。練馬区大泉学園町にある「小泉牧場」です。この23区唯一の牧場の牛乳が、去年誕生しました。手掛けたのは東京・吉祥寺にある「武蔵野デーリー」。木村充慶さんにお話を伺いました。

今、23区に1ヶ所だけ牧場がありまして、それが練馬の大泉学園の、住宅街のど真ん中にある「小泉牧場」です。そこは80年以上前から牧場をやっていて、いわゆる農協に出荷していて、牛乳は混ぜられて販売するので、これまで小泉牧場という名前の牛乳は飲めなかったんです。

私たちは去年から吉祥寺で牛乳屋をやっているんですけど、コラボレーションという形で小泉牧場だけの牛乳を作っています。

自分は元々牛乳が好きじゃなかったんですよ。たまたま放牧の牧場の牛乳を飲んだらそれがすごく美味しくて。「美味しいミルクは美味しいんだな」っていうのが自分の中での発見で。色々調べていくうちに、「こだわっているけど、全部農協に出荷していて、その味が伝わらないんだ」って言う酪農家の方が多かったので。
僕たちとしては、オリジナルの牛乳を作りたい希望があるのであれば、消費者としても個性のある牛乳を飲みたいと思うので、そこがうまくマッチできるんじゃないかなと思って。それで牧場単一の牛乳を作るようにしたっていう流れですかね。

まず、牧場が都会のど真ん中にあるっていうのがすごくて。都会って住宅がたくさんあって、地域の人からたくさんクレームがあって、住民の意向で辞めていくことが多いんです。その中で、その場所にあるっていうのはすごいことなんですね。じゃあ、なんでかって言うと「地域の人との繋がりをちゃんと大切にしている」っていうことだと思うんです。
酪農って、衛生的にしっかり管理しなければいけないので、基本的にはあまり人を入れないんですよ。ですが、そこはなるべく人が入れるようにしていて。特に、子牛とは触れ合えるようにしているんですよ。地域の人に愛されることをやり続けてきたことが大きいなと思っていて。そこが何よりの魅力で。そこで子どもだった人が大人になってまた子どもを連れてくるっていういいループができているんですよ。

ミルク自体も結構甘味があるんですね。エコフィードが効いているんじゃないかと思っていて。地域で余った食材をエサとして食べさせるというもので、小泉牧場でいうと地域のお豆腐屋さんのおからを食べさせているんですよ。そういった地域の余ったものを活用するところも、地域の味として、すごく甘いものができているんじゃないかと思います。

小泉:すごく、いい循環。

大石:いいですね。

小泉:見たことあるんでしょ?

大石:そうそう。関越道を行くところ。

小泉:映画の撮影所が大泉学園にあるんですけど、気がついたことがないから、今度行った時は探してみます!

大石:突然ポツッてある感じ。

上村:結構、大きな牧場なんですか?

大石:小さいけど、牛がちゃんと見える。

小泉:でもそうだね、写真を見ると、車が通ってる道路のすぐ側にある感じだもんね。今度行ってみよう、小泉さん家だし。ふふふ。

大石:小泉繋がりでね。

小泉:ここに牛乳があります!ちょっと味見してみましょうか。

大石:いただきます!

小泉:ねえ、全然違くない?

大石:うん、おいしいですね。

上村:わぁ~~!後味がまろやか!濃厚ですね。

小泉:ちょっと甘みも感じるし、でもしつこくないよね。なんか残らない。

上村:わかります、喉に残らないですよね。濃厚なのに後味はさっぱりですね。

小泉:おいしい!

大石:ね!シングルオリジンミルク、知ってました?牛乳ってほとんど混ぜられていて、って。

小泉:言われてみたらそうかも、っていう。本当に、こんなふうに、前半でご紹介した方とかがこういうところとうまく出会ったり、この活動を知って別の場所でもそういうものを作ろうってなっていくと…

大石:楽しい。

小泉:楽しいし、活路が見える気もします。

大石:そうですね。農協さんは農協さんで、ちゃんと安定してかってくれるから。

小泉:もちろん、何も悪くないし、これだけ大量の生産が必要だったりはするから。ミルクって加工品にもなるからね。でも、別の楽しみ方としてはありですよね。

大石:あり!

小泉:すっごくおいしいもん!びっくりしちゃった。ごくごく飲みたい。

上村:瓶に入ってるのもいいですよね。

小泉:そう、素敵な瓶で、デザインもシンプルで。

上村:おしゃれ。あと、子牛と触れ合えるところがあるのもいいなって思いました。

小泉:動物大好きだから行ってみたい。

大石:近くに行っても、全然匂いとかしないけどな。車で通っても。だからすごく衛生管理されているんでしょうね。

(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)

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