リドリー・スコット、もうエイリアンは終わりだろうと『エイリアン4』後に考えていた ─ 「世界最大の映画シリーズなのに残念だ」『プロメテウス』誕生秘話
映画が、往年のシリーズファンからも新規ファンからも好評だ。1979年にリドリー・スコット監督が創造した『エイリアン』シリーズ全ての要素や魅力を総ざらいしたような本作のヒットを機に、今後も新たなブームを巻き起こしそうな気配である。
ところで。本作ではプロデューサーとしても復帰したオリジナル監督のリドリー・スコットは、一度『エイリアン』シリーズは“終わった”と考えていたそうだ。英Total Filmでは、1997年の『エイリアン4』後の心境を振り返っている。
「私はエイリアンについて、あの古いケダモノはもう使い古したと、間違った考えをしていた。なぜなら我々が1作目をやって、ジム(『エイリアン2』のジェームズ・キャメロン)、デヴィッド(『エイリアン3』のデヴィッド・フィンチャー)、それからあのフランス君(『エイリアン4』のジャン=ピエール・ジュネ)で、4作やった。もう使い古したと。あのケダモノは使い古しだろうと。」
『エイリアン4』の原題は、“復活”を意味する『Alien: Resurrection』。このことからも、『エイリアン3』が一つの区切りとなっていたことは明らかだ。しかしながらこの4作目は当時のシリーズ最低の興行成績となっており、スコットが「エイリアンはもう終わりだ」と考えたのも無理はない。
ところがある時、スコットはエイリアンの魅力や可能性を再発見したという。「面白いことに、私は偶然、あのケダモノについて気付いたんだ。エイリアンがなければ、この映画は生まれなかった。世界最高のキャスティングをもってしても、クリーチャーと一緒にどこかに閉じ込められるという映画と来たら、クリーチャーをちゃんと描かなくちゃならん。『大アマゾンの半魚人』じゃないんだから。そういう映画は、ひどいもんだ。モンスターがどういう存在なのかが大事なのであって、緊張感を出すためには、(モンスターの登場は)常に少ない方が良い。そういう中でどう遊ぶかだ。緊張感もなく、流血描写とゴア描写をやる映画は簡単だ。私はそういうのを避けようとした。そして死んだ」。
『エイリアン』シリーズとは、人間のキャラクターを襲う怪物こそが主役となる、稀有な作品である。『エイリアン4』当時すでに20年近い歴史を有するシリーズを、このまま葬ってしまうのはもったいないと、スコットは思い立ったのだろう。
「そこで私は考えた。こりゃ残念だと。なぜって、これは『スター・ウォーズ』や『スタートレック』を除けば、おそらく最大の映画シリーズだから。まだまだ進むべき道がある。実はそういうわけで、私はデイモン・リンドロフと一緒に考えた。テーブルについて、車輪を回してみる感じで、“これからどこに行けそうか?”と。それこそが『プロメテウス』の始まりだ。」
『プロメテウス』は、スコットが監督に復帰した2012年の作品で、デイモン・リンドロフとはその脚本家である。この映画は2017年の『エイリアン:コヴェナント』へと続き、20世紀の伝説的SFホラーを現代へと橋渡しした重要な2作だ。
『プロメテウス』によって『エイリアン』シリーズは21世紀に再び雄叫びをあげ、そのおかげで今回の『エイリアン:ロムルス』が登場したと言っても過言ではないだろう。このシリーズは、さらに新ドラマとして「エイリアン:アース」が2025年に登場予定だ。今改めてブーム再燃となっているのも、スコットが諦めずに『プロメテウス』でシリーズを継続してくれたから、ということかもしれない。
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