東京都豊島区「みらい館大明」│サードプレイスから見つける、暮らしたくなる街
コミュニティセンターや図書館、公園、カフェなど、家でも職場でもない、第三の居心地のいい場所「サードプレイス」。そんなサードプレイスに注目して、本当に暮らしたくなる街を見つける企画。
第4回となる今回は、東京都豊島区の池袋駅から徒歩15分ほどの施設「みらい館大明」を訪問しました。旧小学校の施設を活用した生涯学習スペースで、様々なイベントやサークル活動の拠点として幅広い年齢の方に利用されています。
学校施設ならではの魅力がたっぷり詰まった、地元密着型のサードプレイスとなっています。
今回の記事では、実際に施設を訪れた感想や、運営者へのインタビューを交えながら、池袋エリアの魅力にも迫ります。
「みらい館大明」の基本情報
「みらい館大明」とは
「みらい館大明」は、2005年に閉校した豊島区立大明小学校の校舎を活用して誕生した、生涯学習施設です。教室や音楽室、図書室、体育館、グラウンドといった、学校施設をそのまま活かした空間となっています。
施設では、サッカーやバレーボールといったスポーツ系から、書道や絵画といった文化系まで、幅広いサークル活動が行われています。さらに語学や料理など、多彩な講座も開講されていて、年齢を問わず「学びたい」という思いを後押ししてくれる場所です。加えて、演劇の稽古や撮影のロケ地としても活用されています。
図書館だった空間には、若者世代を中心とした交流スペース「みらい館大明ブックカフェ」も併設されています。「つどう・つながる・やってみる」をコンセプトに、18歳から30代の人々が、読書や作業、ゆるやかな対話を楽しめる場として開かれています。
地域のNPOや町会と連携し、盆踊りなどの地域イベントも積極的に開催されています。
このように、「みらい館大明」では行えることが数多くあります。かつての学校がそのまま“未来の学び舎”へと形を変えた生涯学習の場として、誰でも利用可能な新しい「学び」と「出会い」の拠点です。
みらい館大明の施設情報
施設名:みらい館大明
住所:東京都豊島区池袋3丁目30−8
アクセス:「池袋駅」から徒歩約15分
開館時間:9:00~21:00
定休日:年末年始
「みらい館大明」を実際に訪問して感じた魅力
ここからは、「みらい館大明」を実際に訪問して感じた魅力を紹介します。
都心の静かなサードプレイス
「みらい館大明」は、池袋駅西口から徒歩15分ほど。駅前の人波やネオンの喧騒を抜け、住宅街へ足を進めると、そこには想像もしていなかった静けさが広がります。
そんな中に、校舎として使われていた当時の建物がそのまま残されており、ここだけ時間が止まったような趣が漂い、思わず足を止めて眺めたくなる外観です。
教室も体育館もそのまま活用、懐かしの学び舎体験
門をくぐり施設内に入ると、黒板や掲示板、木の床のきしむ音まで、小学校として使われていた頃の面影がそのまま残っています。大人になった今、教室や体育館を自由に歩き回り、自分の活動拠点として使える贅沢さ、それはまるで子どもの頃の放課後に戻ったような、不思議な感覚です。
廊下や教室の壁には、サークル活動やイベントの案内がびっしりと貼られ、かつて学び舎だった場所で今も息づく、活動の熱量を感じられます。グラウンドで運動をする人、音楽室からは軽快なリズム、工作室では黙々と手を動かす姿。そんな多彩な風景が同じ時間に広がり、訪れるたびに“生きている学校”であることを実感できる空間です。
そんな校舎を自由に探検できる感覚は、まさにタイムスリップ。足を運ぶたびに、心が少し軽く、そして若返っていく、そんな特別な場所となっています。
サークルやワークショップで、誰もが新しい一歩を踏み出せる
旧学校ならではの教室やグラウンド、体育館、音楽室、工作室、和室、そんな風景の中で、日々さまざまなサークルやワークショップの活動が行われています。
スポーツや武術、音楽、語学などジャンルは実に多彩。趣味を新しく始めたい人にも、気の合う仲間を見つけたい人にも、ぴったりの場所です。既存のサークルに参加するのはもちろん、団体登録をして自分だけのサークルを立ち上げることもできます。
さらに、教室や廊下は撮影スポットとしても人気で、コスプレや動画制作の舞台として活用されることも多くあります。黒板や廊下の掲示板、体育館の高い天井など、学校特有の背景はどこかノスタルジックで、作品に独自の雰囲気を加えてくれます。
池袋という好立地で、これほど充実した学校施設を自由に活用できる、その贅沢さは、実際に足を運んでこそ味わえる特別な体験です。
交流拠点として無料で利用できるブックカフェ
旧図書室を自分たちでリノベーションし、若者たちの交流拠点として生まれ変わったのが「みらい館大明ブックカフェ」。18歳から39歳の若者が読書や作業、対話を楽しめる空間として開かれています。
無料で利用できる部屋の中には、周辺の住民や施設から寄付された本がずらり。漫画や小説はもちろん、デザイン、哲学、アートなど多彩なジャンルが並び、ふと手に取った一冊から新しい知識や世界観に出会える、そんな偶然の楽しみが広がっています。
コーヒーは一杯50円という手軽さで楽しめ、飲み物や軽食の持ち込みもOK。静かな空間での読書や作業はもちろん、長時間の滞在にもぴったりです。
一人でゆっくり過ごすのもよし、ボードゲームやプラモデル作りなどのイベントに参加して、利用者同士で新しいつながりを生むのもよし。知的な刺激と人との出会いが同時に味わえる、そんな温かな交流スペースとなっています。
「みらい館大明」で話を聞いてみました
「みらい館大明」の事務局をされている幅野さんに、施設の詳しい話を聞いてみました。
「みらい館大明」誕生の経緯
―施設誕生の経緯を教えてください。
幅野さん:みらい館大明は、もともと豊島区立大明小学校だった建物を活用しています。2005年3月に小学校が閉校し、その年の10月、地域住民の有志がNPOを立ち上げて、生涯学習施設としてオープンしました。
その後、2013年に豊島区と協働で若者支援のスペースを設置しました。当時は、ニートやひきこもりの方への支援がほとんどない時代で、そうした若者が学びや活動に参加できる場としてスタートしたんです。
現在では、対象を18〜39歳の若者に広げつつ、多様な背景を持つ若者の学びや交流を支える場として進化してきています。
行政と地域がタッグを組むハイブリッド運営
―運営体制について教えてください。
幅野さん:みらい館大明は、全国的にも珍しい運営形態をとっています。建物全体は、地元の住民が立ち上げたNPO法人「いけぶくろ大明」が豊島区から1年単位で借り受け、指定管理ではなく自主運営しています。このため、基本的には運営の自由度が高く、利用者や地域の声を反映しやすい体制です。
一方で、ブックカフェのある部屋だけは豊島区とNPOが合同で運営し、常に協議しながら進めるスタイルです。行政からの一方的な指示ではなく、お互いに提案や調整を重ねて決めていくため、柔軟さと責任感の両方が求められます。この「行政×地域」のハイブリッド型は、他の施設ではほとんど例がないかと思います。
また、運営スタッフの多くは地元出身者や、かつてこの学校に通っていた人たちです。地域をよく知るメンバーが中心となり、「この地域のことはこの地域の人たちで」という理念のもと、日々の運営や企画を進めています。
地域のつながりがあってこそ、この施設があるのかなと思います。そのため、単なる施設運営にとどまらず、地域のハブとしての役割を果たせているのも特徴です。
多彩なサークルやイベントに誰でも参加可能
―施設での活動について教えてください。
幅野さん:本当に色んな活動があって、ジャンルもすごく幅広いです。サークルは2人からでも立ち上げられるので、スポーツや音楽、工作、語学なんかを自由に始められるんです。既存のサークルに入ってもいいですし、「こういうことやりたいんです」って声をかけてもらえれば、団体登録して新しく立ち上げてもらうこともできます。
ワークショップも開催していて、ワンコインイングリッシュは実際の教室で学べることもあってか、人気ですね。
―サークルやワークショップに加え、イベントもあるのですね。
幅野さん:イベントも多くて、例えば暗闇にして懐中電灯で本を探す「暗やみ本屋ハックツ」とか、若手映画監督の上映会、コスプレ撮影会、工作教室、演劇公演…ほんとにバラエティ豊かです。夏には花火大会や盆踊り、秋には施設全部を使った文化祭みたいなお祭り「みらい館大明まつり」もやっていますね。
ブックカフェでは、色んな職業の方からリアルな体験を聞くイベントや、月に一度、弁護士さんに労働問題などを相談できる法律相談所なんていうものもやっています。
学校ならではの設備が生む多彩な活用
―学校施設を活かしたユニークな使い方について教えてください。
幅野さん:旧小学校の跡地ということで、教室や体育館、グラウンド、音楽室、工作室、和室、調理室といった設備が丸ごと残っているのが大きな特徴です。普通の貸しスペースではなかなか揃わない環境で、地域や利用者の方々に自由度高く活用されています。
例えば、体育館ではスポーツや武術の稽古まで幅広く行われますし、音楽室では合唱やバンドの練習、パソコン室では若者向けのプログラミング講座などが開かれています。
調理室も現役で使われていて、味噌汁の出汁の取り方から学ぶ「男の料理教室」など、ここならではの講座も人気です。
また、学校の雰囲気そのものが残っていることから、コスプレや映像作品の撮影利用も多いです。体育館や屋上、黒板のある教室など、他には中々ない施設を利用できます。他にも、演劇や合唱など、発声が必要な稽古場としても劇団に好評です。
こうした取り組みができるのは、「学校」というハードの強みが大きいと思います。
池袋の魅力
―最後に施設がある池袋に住む魅力について教えてください
幅野さん:池袋というと、駅前のにぎやかなイメージが強いと思いますが、「みらい館大明」がある西口エリアは、駅から少し歩くだけでとても静かな住宅街なんです。
生活面では、大きなスーパーや関東最大級の無印良品、図書館、公園などが揃っていて便利ですし、町会やNPOが主催する盆踊りやフリーマーケットなど、地域密着のイベントも多く開かれています。
何より魅力なのは、この「静かさ」と「便利さ」が両立していること。普段は落ち着いた環境で暮らしながら、買い物やエンタメ、グルメを楽しみたいときはすぐ池袋の中心街へ行ける、そんな過ごし方ができるのが、この街に住む大きな魅力だと思います。
また、みらい館大明からは要町駅も徒歩圏内(徒歩12分)で行けるので、副都心線や有楽町線も使えます。施設の周辺に住むことで、池袋と要町の両方の駅が利用できるので、アクセスはとても便利だと思います。
「みらい館大明」まで徒歩15分の「池袋駅」
「池袋駅」周辺の特徴・魅力
池袋は、JRや私鉄、東京メトロなど合計8路線が乗り入れる、東京を代表する巨大ターミナル駅のひとつです。山手線・埼京線・湘南新宿ラインのJR各線をはじめ、東京メトロの有楽町線・副都心線・丸ノ内線、さらに東武東上線や西武池袋線と、都心と郊外をつなぐ交通の要所となっています。
そのハブ機能の高さから、都内各地はもちろん、埼玉・神奈川方面への移動もスムーズで、通勤・通学・レジャーなどあらゆる用途で使い勝手抜群の駅となっています。
駅の周辺には、「東武百貨店」や「西武池袋本店」といった老舗の大型百貨店をはじめ、「池袋PARCO」「ルミネ池袋」など若者にも人気のファッションビルが立ち並び、日用品からハイブランドまで、ほぼすべての買い物ニーズがこのエリアで完結します。
また、駅前は飲食店も非常に豊富で、チェーン店やこだわりの個人店など、幅広いジャンルの店が揃っています。特に、都内屈指のラーメン激戦区であり、「ジャパニーズ ラーメン 五感」「麺屋 Hulu-lu」「麺処 花田 池袋店」など、行列のできる人気店がいくつもあることで知られています。
さらに、池袋は映画館、美術館、劇場、アニメ関連の施設など、カルチャーやエンターテインメントの拠点としても充実しており、休日の過ごし方に困ることはまずありません。
例えば「グランドシネマサンシャイン池袋」では最新の映像体験ができ、「東京芸術劇場」では一流の舞台芸術にも触れられます。アニメファンには「アニメイト本店」や「乙女ロード」も定番スポットです。
駅から徒歩圏内には「豊島区立西池袋公園」「豊島区立南池袋公園」「豊島区立東池袋中央公園」があるため、気軽に自然に触れることもできます。
また、駅から10分ほど歩けば閑静な住宅街が広がるのも池袋の魅力で、あえて駅から少し離れた場所に住むのもおすすめです。
このように池袋は、日々の暮らしの便利さと、休日の楽しさのどちらも兼ね備えた、まさに“住むにも遊ぶにも強い”オールラウンドな都市型エリアといえます。
「池袋駅」の家賃相場
・ワンルーム 10.45万円
・1K 11.8万円
・1DK 14.54万円
・1LDK 19.8万円
・2K 13.58万円
・2DK 19.03万円
・2LDK 26.21万円
まとめ
今回ご紹介した「みらい館大明」は、東京都豊島区・池袋駅近くにある、旧小学校の温かみをそのまま残した生涯学習スペース。地域とつながり、世代を超えて多彩な活動が繰り広げられる姿は、とてもエネルギッシュで魅力的でした。
8路線が交わる池袋なら、アクセスの良さはもちろん、周囲にはグルメやエンタメスポットも満載。懐かしさと新しさが融合したこの街で、あなたも新しい挑戦と出会いのある暮らしを始めてみませんか?
この記事では画像に一部PIXTA提供画像を使用しています。