【専門医直伝】冬の乾燥肌、放置は危険!正しい保湿の「量・塗り方・タイミング」完全ガイド
冬本番、多くの人を悩ませる「乾燥肌」。 「毎年冬はこうなるから…」と、粉を吹いた肌やかゆみを我慢して放置していませんか?
『白いあさがお皮膚科スキンケアクリニック』の福田朝子院長によると、「かゆくなってから保湿をするのでは遅い」とのこと。乾燥肌を甘く見ていると、思わぬ皮膚トラブルを招く可能性があります。
この記事では、番組内で紹介された「乾燥肌対策 〇×クイズ」の回答を中心に、プロが推奨する正しいスキンケア術をご紹介します。
そもそも「乾燥肌」とは? なぜ冬に悪化するの?
乾燥肌とは、皮膚の表面から水分や油分が奪われ、カサカサになり、艶や潤いが失われている状態のことです。
冬に乾燥するメカニズム
暖房による湿度の低下: 室内の空気が乾燥し、肌の水分が奪われます。
気温低下による生理機能の低下: 寒くなると、人の体は皮脂や汗を出す機能が低下します。これにより、肌を守る天然のクリーム(皮脂膜)が作られにくくなります。
未熟な機能と加齢: 皮脂を作る能力が未熟な子どもや、水分保持力が低下する高齢者は特に注意が必要です。
放置するとどうなる?
福田院長は「かゆみの原因が乾燥肌だと思わずに来院する人が多い」と語ります。 乾燥肌は、皮膚の「バリア機能」が壊れた状態です。これを放置すると、普段は防御できているアレルゲンや異物が肌に侵入しやすくなります。
アレルギー症状の発症
水虫などの感染症
絶え間ないかゆみによるQOL(生活の質)の低下
これらを防ぐためには、「かゆくなる前」からの毎日の保湿が何よりも重要です。
あなたのケアは正解?「乾燥肌対策 〇×クイズ」
ここからは、番組のスタジオメンバーも苦戦した「スキンケアの常識」を〇×クイズ形式で解説します。あなたは何問正解できるでしょうか?
Q1. 軟膏タイプのハンドクリーム、適量は「指の第一関節」が目安?
正解は… 〇 (マル)
ハンドクリームを塗る際、「ベタつくのが嫌だから」と少量を薄く伸ばしていませんか? 実は、効果を十分に発揮させるためには、しっかりとした量が必要です。
チューブタイプ(軟膏・クリーム): 人差し指の指先から第一関節までの長さ(1FTU=フィンガーチップユニットと呼ばれます)が、両手分の適量です。
ローション(液状)タイプ: 1円玉サイズが両手分の目安です。
スタジオでは「えっ、そんなに多くていいの?」「いつも米粒くらいしか使ってなかった」と驚きの声が上がりましたが、たっぷりと使うことが手荒れを防ぐ第一歩です。
【正しい塗り方のポイント】
「横方向」に塗る: 人間の皮膚のシワ(皮溝)は、腕や足に対して横方向に走っています。
シワに沿わせる理由: 縦に塗るとクリームがシワの溝に入り込まず、表面を滑るだけになってしまいます。横方向に優しく伸ばすことで、シワの奥まで保湿成分が行き渡り、潤いをキープできます。
肌をつまんだ時にシワが多く出る向き(横向き)を意識して、優しくなでるように塗りましょう。
Q2. 洗顔には洗浄力の強いせっけん・洗顔フォームを使うと良い?
正解は… × (バツ)
「汚れをしっかり落とさなきゃ」と、洗浄力が強いものでゴシゴシ洗うのはNGです。 洗浄力が強すぎると、肌に必要な油分(皮脂)まで洗い流してしまい、肌荒れや乾燥をさらに悪化させてしまいます。
【洗顔の正解】
敏感肌用など刺激の少ないものを選ぶ。
「泡」で洗う: 肌に手が直接触れないよう、たっぷりの泡をクッションにして、汚れを吸着させるイメージで洗います。
絶対にゴシゴシこすらないこと。
Q3. 入浴後は「髪を乾かした後」に保湿クリームを使う?
正解は…× (バツ)
お風呂上がり、まずは濡れた髪を乾かしてから…とスキンケアを後回しにしていませんか? 福田院長によると、「入浴後は5分以内に保湿」が鉄則です。
お風呂から上がってタオルで体を拭いた瞬間から、肌の水分は急速に蒸発し始めます。髪を乾かしている間にも、肌はどんどん砂漠化していくのです。
【入浴・入浴後のポイント】
まずは保湿! お風呂から出たら、髪を乾かす前に全身に保湿クリームを塗りましょう。
長風呂は避ける: 長時間の入浴は、皮脂をお湯に溶け出させてしまいます。
お湯の温度は40℃前後: 熱すぎるお湯も乾燥の原因になります。40℃前後で短めの入浴を心がけましょう。
まとめ:今日からできる「乾燥肌ゼロ」への習慣
今回の特集で分かった、冬のスキンケアの重要ポイントをまとめます。
かゆくなる前に塗る!(予防が最大の治療です)
量はたっぷりと!(ハンドクリームは指の第一関節分)
塗る向きは「横」!(シワに沿って溝まで届ける)
お風呂上がりは5分以内!(髪より先に肌を保湿)
「冬だから乾燥するのは当たり前」と諦めず、今日のお風呂上がりから正しいケアを実践してみてください。毎日の積み重ねが、バリア機能の整った強い肌を作ります。
皮膚トラブルが悪化してしまった場合や、保湿してもかゆみが治まらない場合は、自己判断せずに早めに皮膚科を受診しましょう。
【取材協力】 白いあさがお皮膚科スキンケアクリニック(札幌市西区) 福田 朝子 院長