ひとつひとつを丁寧にこだわる、垂水の隠れ家珈琲館『兄方(えほう)』 神戸市
垂水駅近くの商店街から、小道を入った場所に見つけた看板『珈琲館 兄方(えほう)』。気になって調べてみるも、情報がほとんど出てきません。看板の奥には、さらに細い道が続いています。
ドキドキしながら細道を進むと、えんじ色の暖簾が見えてきました。
「こんにちは…」そっと引き戸を開けると、温かな光の中からにっこり笑顔の店主さんが迎えてくれました。
今年3月にオープンした同店。店主の二宮さんは以前、垂水駅近くの古民家でおばんざい料理店を営んでいました。お店の名前は同じ『兄方』。常連さんも多かったそうです。
立ち退きなどの事情が重なり一時店舗を移転したりもしていましたが、しばらくの期間を置いて、この度「珈琲館」として新たなスタートを切りました。
取材中「またお店オープンしたん?嬉しい!」と尋ねて来る人の姿がありました。通りすがりに看板を見て懐かしいと訪れる人も少なくないそうです。
「年齢を重ねて前と同じスタイルでの営業は難しくなったので、大好きな珈琲とシフォンケーキ、それにサンドイッチでゆっくり過ごしていただきたくて」と二宮さん。
「ホットサンド(ミックス)セット」をいただきました。かわいいカゴにセットされたサンドイッチとサラダ。それに手作りのコーンスープが付きます。
毎朝手作りするというコーンスープは、コーンの自然な甘みにほっこり。生クリームを加えることでコクを出しているのだそうです。
カリッと焼かれたパンにたっぷりの具材が挟まれたサンドイッチ。当初卵はつぶしていましたが、黄身の味をしっかりと効かせたくてスライスに。辛子マヨネーズがよく絡んで食感もよいです。
「納得したものを出す」がポリシーの二宮さん。パンも複数のパン屋さんの食パンを食べ比べて、具材との相性のよいシンプルなものを選んだそうです。
もちろん、コーヒーへのこだわりも並々ならぬものがあります。挽きたての豆をサーバーで1杯ずつ淹れる“1杯仕立て”。例えば同じタイミングで5杯の注文を受けても、それぞれ別のサーバーで1杯ずつ丁寧に淹れます。「まとめて淹れるより1杯ずつの方が確実に美味しいから」だそう。
「兄方ブレンド」をいただきましたが、エグ味がなくすっきり。何も入れずブラックで、最後まで美味しくいただけました。
昔からある『兄方』の名物が「シフォンケーキ」です。バナナ、ヨーグルト、抹茶など6種類のうち毎日2種類が店頭に並びます。
キャラメル味をいただきました。ふわっと漂うキャラメルの香り。優しい甘さでふわっふわ。これはいくらでも食べたくなります!ヨーグルト味も試食させていただきましたが、こちらはしっとり。酸味は感じず、生地の柔らかな風味が引き立って、また違った美味しさでした。
「とにかくゆっくりしていただきたいです。モーニングやランチをして、その後コーヒー&ケーキで時間を気にせずどうぞごゆっくり」とのこと。軽食&お茶を一軒のお店でゆっくり楽しめるのは嬉しいかも。
記者も時間を忘れて二宮さんとのおしゃべりをゆっくり楽しんでしまいました。
ちなみに、「おばんざいは出さないの?」とよく聞かれるそうですが、珈琲館の営業後、夜の時間帯に貸し切り(5〜10人)でおばんざい料理を提供することが可能だそうです(一週間前までの要予約・キャンセル不可)。
“手間暇を惜しまず丁寧に”。来店する人に心地よく過ごしてほしいという気持ちがたっぷりと感じられるお店です。素敵な隠れ家を見つけて、ほわっと温かい気持ちでお店を後にしました。
※同じ店名で「閉店」と表示されるサイトがありますが、以前のお店のものです。2025年10月現在は、神戸市垂水区陸ノ町で『珈琲館 兄方』として営業されています
場所
珈琲館 兄方
(神戸市垂水区陸ノ町2-29)
営業時間
9:30~17:00
モーニング 9:30~11:00(モーニングメニューあり)
定休日
日曜日、月曜日