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『キングダム』廉頗(れんぱ)とは? 「生ける伝説」廉頗は王騎と友達!? 趙→魏→楚へと渡り歩く「戦の大天才」を追う

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『キングダム』は、週刊ヤングジャンプ連載中の原泰久先生の歴史漫画作品です。舞台は、中国 戦国時代末期(紀元前245年頃から)。
主人公は、中華統一をめざす若き秦(しん)王 嬴政(えいせい、後の始皇帝)と、下僕から大将軍を目指す信(しん、後に李信)の二人です。
 
ここでは、「戦の大天才」廉頗(れんぱ)の人物情報をまとめていきます。また、史実の廉頗についても調べてみようと思います。
 
☆ネタバレにご注意ください。この記事はアニメ第2シリーズまでの内容を含んでいます。
 
 

【写真】キングダム廉頗(れんぱ)とは?史実も含めて解説

「生ける伝説」廉頗


 
廉頗は、秦にとっては敵国となる魏(ぎ)の経験豊富な将軍です。
その活躍の経歴は、中華全土にとどろいており、廉頗は「生ける伝説」称されることも。趙の名将 李牧(りぼく)には、「正面から当たれば勝てる人間は一人もいない」と言わしめています。
 
廉頗の登場は、王騎が死んだ直後。「山陽(さんよう)の戦い」を中心とした秦vs.魏戦の流れの中です。
秦に、信・王賁(おうほん)・蒙恬(もうてん)ら若手の活躍が見えるようになってきたころでもあります。
 
廉頗の年齢は、王騎(おうき)や蒙驁(もうごう)と同世代なので、当時の感覚では高齢と言えるかと思われます。しかし、武力はまったく衰えていないようで、常に前線に身を置きます。また、総大将として、戦術を操る手腕にもたけていて、統率力は中華随一です。
 

廉頗登場シーン「山陽の戦い」とは?

廉頗率いる魏が秦とやりあう「山陽の戦い」ですが、これは、直前に秦と趙(ちょう)の同盟が結ばれたからこそ実現できた戦いです。秦が東に接する魏を攻めるには、魏の北、秦の北東にいる趙に、動かないでいてもらわねばなりません。両国の同盟は、これを約束させるもの、というわけですね。
 
ちなみに、この同盟は、秦は相国(宰相)の呂不韋(りょふい、政の父説あり)、趙は李牧、のリードによるものとなっています。
このときの政は、秦王でありながら宮廷の権力を呂不韋(りょふい)に握られ、その能力は発揮できていません。政が呂不韋を宮中から追い落とすのは、まだ先の話です。
 
さて、いよいよ廉頗の登場シーンといきたいのですが、まずは作品登場以前の廉頗の経歴を知っておきたいと思います。
 
 

登場前の廉頗 趙から魏へ

 
 
廉頗は上記のように魏の将軍として作品に登場しますが、実は、彼がもともと居た国は趙です。廉頗は、「趙国三大天(ちょうこくさんだいてん)」のひとりに数えられるほどの活躍をしています。
この活躍をストップさせる出来事が起こり、趙から魏へ転職することになるのですが、その出来事とは以下のようなものでした。
 
紀元前245年、孝成王(こうせいおう)の下、魏を攻める廉頗は、かなめとなる城都を落とすことに成功します。しかし、このとき魏の王都 大梁(現在の開封)では、孝成王が薨去。その子悼襄王(とうじょうおう)が新しい趙王となります。
 
悼襄王は、廉頗をよく思っておらず、即位するやいなや、魏攻めの大将を廉頗から楽乗(がくじょう)という人物に変えてしまいます。
当然、廉頗は納得がいきません。そこで、廉頗は相討ちになることを承知で、楽乗率いる趙軍に攻撃!
その後、部下の将校らを連れ、戦場から直行で魏に亡命したのでした。
 
“戦場に立てないなら仕える国を変える”とは驚きますが、廉頗の“戦場大好き”が伝わってきます。
ちなみに、この趙から魏への亡命は、史実の廉頗もやっています。
 
 

廉頗登場!「山陽の戦い」

 
 
魏に亡命した廉頗と魏王との関係は良好です。魏王は、名将が自分の国の戦力になったことを喜んでいるくらいです。
この魏へ侵攻したのが秦で、これが「山陽の戦い」となります。秦の大将は蒙驁、魏はもちろん廉頗です。
 
蒙驁と廉頗にとって、この戦いは因縁の戦いです。二人は過去に数度ぶつかっており、お互いの戦い方と性格を知り尽くしています。
ただし、秦としては不安要素がひとつ。それは、蒙驁が廉頗に一度も勝ったことがないことでした。
 
山陽の地で全面衝突となった両国軍は、それぞれ戦術を駆使。戦いは簡単には終わりません。蒙驁は、戦いの前夜、信に胸のつかえを吹き飛ばす言葉を掛けられたことで※、負のジンクスに引っ張られることはなかったものの、廉頗下の4人「廉頗四天王」に戦場を掻き回されます。
※本来なら大将と信クラスの将が、直接話すことなどありえません。この出会いは、大変愉快な場面となっています!
 
ちなみに、「廉頗四天王」とは以下のとおり。
・介子坊(かいしぼう):廉頗なみの破壊力
・輪虎(りんこ):若く見えるが実は結構大人。激闘のすえ最期は信によって討たれる
・玄峰(げんぽう):戦術に長けた小さい老人。高い戦車の上から陣形変更の次々に出す
・姜燕(きょうえん):機動力ばつぐん
廉頗は、戦いの前にはいつも、彼らに気合い注入のハグをしている模様。ノリノリの廉頗に対して、ちょっと嫌そうな顔の4人です。とはいえ、ちゃんと愛は伝わっています。
 

王騎ら「秦六大将軍」たちとの絆

戦いの最終日、いよいよ、蒙驁と廉頗が対面。一騎打ちが始まるのですが、蒙驁は廉頗に話しかけます。
 
「本当はお主も誰かと語らいたいのではないか? フォッフォ」
「ある若者が儂にこんなことを言ったのじゃ 最後に勝ち逃げすれば儂の総勝ち この期に及んで一発大逆転の好機が巡ってきてよかったな とな フォーッフォッフォ何とも愉快」「若さとは何とまぶしき炎かな その意見に儂も大賛成じゃ」
「廉頗 本当はお主自身気付いておるのだろうが 黄金の刻(とき)は去ったと」
 
自分たちの時代は終わったことに気付き、戦場の主役は今の若者に移っていくであろうことを語る蒙驁。
しかし、廉頗は国を変えてでも戦場に立とうとした人間です。一生現役でいたいと言っているシーンもあるくらいです。とはいえ、その心には、黄金期ほどの戦への情熱はなく、自分で自分の気持ちにふたをしていた、ということなのでしょう。
このことを蒙驁に指摘されたのが、上記の会話というわけですね。
 
実際、廉頗は王騎のところへ、静養中に国境を越えて直接お見舞いに訪れたくらいですし、王騎の死を知ったときには、勝手に俺を置いて死にやがってと憤っています。
廉頗にとって「六大将軍」は、敵国の将でありながら共に戦場に命をかけた友なのです。
 

世代交代

前線が大好きな廉頗ですが、戦場を最も楽しめたのはどうやら、王騎含む秦「六大将軍」と自身含む「趙三大天」※とが火花を散らしていた時代、のようです。
そのことが分かるのが戦いの終盤で、ここで作品世界での世代交代を示しつつ、主人公世代に受け継がれる大将軍像を明確にしているように思われます。以下、具体的にこの場面を見てみます。
※後に「新六大将軍」「新趙三大天」ができるので、王騎たちは「旧六大将軍」、廉頗たちは「旧趙三大天」と呼ばれます。
 
蒙驁と廉頗の一騎打ちの終盤、大将の周りに魏秦両方の兵たちが駆けつけます。その中には、信と蒙驁の孫 蒙恬の姿もあります。
また、この一騎打ちの間、桓騎(かんき、蒙驁に野党から軍へ引き立てられた過去をもつ)が魏の本陣を破っていたりもします。
 
駆けつけた者たちにより、廉頗はかわいがっていた「廉頗四天王」のひとり、輪虎が討たれたことを聞きます。討ったのは信という若造であること、その若造が王騎の矛を受け取っていることも。
俺が輪虎を斃した!と身の程知らずにも前に出てきた信との会話のなかで、廉頗は王騎の最期のようすを知ります。
 
すると突然、「止(や)めじゃ 帰るぞ」「儂らの負けじゃ」と号令。
山陽の戦いは、秦の勝利でその幕を閉じたのでした。
 
 

その後の廉頗 魏から楚へ

 
 
廉頗は魏に戻り、王に頭を地につけて謝罪します。魏王は、廉頗を責める気持ちはなかったのですが、魏の宮廷では廉頗を死刑にという声で一致。王は、なんとか死刑を回避させましたが、できたのはここまで。「許せ 廉頗 そなたを魏から追放する!」と苦悶の表情で廉頗に勅を下します。
 
亡命した後の楚での廉頗については、作品には描かれていません。年齢を考えると、楚でその生涯を終えたと思われますが、戦場での生涯現役は叶えられたのでしょうか。
最後は読者の想像に委ねられ、廉頗は物語の舞台から去ります。
 
ちなみに、史実でも、魏から楚へ亡命したことはわかっていますが、その先は不明です。
 
 

<次ページ:アニメで廉頗を演じていらっしゃるのは楠見尚己さん>

アニメで廉頗を演じていらっしゃるのは楠見尚己さん

  
さて、次はアニメ版の『キングダム』を見ていきましょう。
 
アニメ版で廉頗を演じていらっしゃるのは、楠見尚己さんです。
 

楠見尚己さんのプロフィール

楠見尚己さんは、福岡県にて6月17日のお生まれです。
 
アニメでの代表作は、『BLEACH 千年血戦篇』兵主部一兵衛役、『ダンジョンの中のひと』ランガド役、『SDガンダムワールド ヒーローズ』ベンジャミンV2ガンダム役など、数えきれないほど。
 
また、外国作品の吹き替えでも、そのご活躍ぶりは有名です。
ジョン・グッドマンさん、ブルース・マッギルさん等が演じる役をはじめ、数多くの映画やドラマで、楠見さんのお声を聞くことができます。
『ハリー・ポッター』シリーズでは、リチャード・グリフィスさんが演じられた、バーノン・ダーズリー役をご担当されました。
 
『キングダム』では、シーズン2 エピソード14『その男、廉頗』で、ドーンと登場。秦と趙どっちが主役だっけ?と思ってしまうほどの存在感です。
 
ここで廉頗が臣下たちに言う言葉「(趙に)帰るつもりはない」「バカの下で働くほど、バカなことはないぞ」は、廉頗の個性を視聴者に伝える台詞なのでしょうが、楠見さんの演技によって、廉頗のあまたの経験を振り返るような重みが観ている私たちの心にしみるのです。
 
ストーリー上でのキャラクター理解を越えて、廉頗そのものに吸い込まれるような感覚におそわれた方も、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
 
 

映画版に廉頗は未登場

 
 
実写版映画には、『キングダム』『キングダム2 遥かなる大地へ』『キングダム 運命の炎』『キングダム 大将軍の帰還』の4本がありますが、廉頗は未登場です。
完結編と銘打たれた『キングダム 大将軍の帰還』が、王騎の死までを描いているので、廉頗の登場シーンがやってこないうちに、映画が完結してしまったことになります。
 
続編映画が作られるという話は現在ありませんが、ファンの間では「もし第5弾があるなら廉頗役の俳優さんはこの人!」という予想がさまざま上がっているようです。
 
 

まとめ

 
 
廉頗は、「王騎の死」と同様、物語の中の「世代交代」を表す重要なキャラクター。しかも、その個性は強くて決断が潔い、パワフルです。
仕える王を変えてでも、自分の身を戦場に置きたいという気持ちのぶれなさもいいですよね。
 
史実の廉頗も、故事成語を生み出してしまうほどですし、パワフルな印象です。
 
2025年7月現在での『キングダム』最新刊75巻では、信・蒙恬・王賁たちは出世して、戦いを左右するポジションを務めるまでになっています。廉頗の世代から引き継いだものと新たな価値観とが合わさって、彼らの強さになっていると思うと、胸が熱くなります!
 
 

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