純和風の八女福島の白壁の町並みに「プチパリ」が!zakka&cafe ECRU*で一服いかが?【福岡県八女市】
旧八女市街の中でも中枢の地域にあたる 八女市本町周辺の八女福島の白壁の町並みは 国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。 その純和風の白壁の町並みに小さなフランス国旗を掲げる 素敵な雑貨とカフェのお店があるのをご存じだろうか。
店主の伏貫由佳さん(以下、ECRUさん)は長年の夢をかなえ、 zakka&cafe ECRU*を開いて、11年目になる。
ECRU(エクリュ)とはフランス語で生成、無漂白、自然のままという意味。 実はこの町きっての八女の案内人でもあるECRUさんに、 町並みの魅力と店を続ける思いをお聞きした。
八女福島の白壁の町並みにある八女福島八幡宮を背にまっすぐ歩いて5分ほど、 昔懐かしい駄菓子屋の角を曲がると、少し遠くに赤、白、青のトリコロールカラーといわれるフランス国旗がはためいているのが見える。
真っ白なウッドデッキのテラス席に旗が上っている時がオープンの印、 白系の淡いトーンで統一されたナチュラルながらセンスの良いいでたちのECRUさんは、 白く塗られたガラスの引き戸を開け、 この日もにこやかに迎え入れてくれた。
1月のスペシャルメニューは自分の干支のお茶碗(ちゃわん)でいただくお抹茶。 カウンターにずらりと並べられた淡いベージュにポイントで十二支が描かれたお椀は、 ECRUさんのお母様が生前、京都の初釜を毎年訪れ集められていたもの。 自分の干支である羊の角が描かれたお茶碗でお母様を思いながら、お抹茶をいただいた。
ガラス戸越しにぽつぽつと町を行きかう人を眺めながら、ほっこりする。 レトロなストーブにのせられたホーローのお鍋から湯気が立ち上る。 どこか懐かしく、落ち着いた雰囲気の店内には古いもの、 ドライフラワー、趣味のいいオブジェがセンス良くレイアウトされている。 店の半分は喫茶スペース、不思議の国のアリスに出てきそうな、グレー色の壁穴をくぐると、 ECRUさん厳選の作家もののアクセサリー、フランス雑貨などがたくさん。
「日本とフランスは似ている」というECRUさん。いつのころからかエッフェル塔が好きになり、フランスにはまった。 おなじく白壁の町並みで活躍される「くろくも舎」さんの切り絵モビール、屋号の「雑貨エクリュ」と書かれた八女提灯(ちょうちん)も フランス風の店内に程よくマッチしている。
「無理をしない、少しずつ楽しくできる範囲でやるのが信条」 始めは店奥に建つ、自宅リビングの一部を開放し、雑貨屋から始めた。 その後、リビング、サンルーフにつながる小さな小屋を建て家と店を行ったり来たりしながら営業。 現在は自宅の前に建つ、実家のガレージと玄関を改装し、 道沿いに面した場所でお客様をお迎えしている。
新たにカフェを始めたのは2023年。ガレージを少しづつ片付けながら始めた雑貨屋だったが、 早期退職するといい始めた夫に「何か仕事を」とカフェのマスターを思いついた。 自分は雑貨、夫にはカフェを任せるつもりで、着々と準備を進めていたところ、 「やはりまだ仕事をやりたい」と告げられ、現在は一人でできる範囲で、ドリンクメニューをメインに提供している。
また、不定期で満月を見る夜カフェなども開催。 白壁の町並みで行われる行事やお祭りの期間に合わせて行うイベントなどはもちろん、 四季折々の自然を体験できるようなワークショップ、 素敵なインテリアを利用し、家族写真のフォトスペースなども提供している。
「自分の好きなものは人に教えたくなる。午後からだと周りのお店の閉店時間に間に合わないことも多い。 夫が退職したらほかの店が開く前の午前から店を開け、八女を訪れてくれた方に近隣のおすすめスポットを紹介したい」
もともと食べ歩きが好きだった。仕事も家事も忙しい時期だったのにもかかわらず、週末は家事をまとめて済ませた後、 すきなカフェ、パン屋、雑貨屋を巡った。1日に何軒もはしごし、時には7軒ほどめぐることも。
平日はというと、仕事後に、ブログに書くことが気分転換。始めて数か月は毎日書いた。 おしゃれなカフェ、雑貨屋は、住宅地などに点々とあるなど、わかりづらい場所にあることも多い。
当時は、まだスマホが発達していなかったため、雑誌やパソコンで調べた地図や電車の乗り換え、 連絡先をノートにまとめて訪ね歩いた。 次回自分が行くため、自分のために書いていたというブログは、おしゃれな雑貨やカフェ好きの方々に人気のブログとなった。
ブログのタイトルは「zakka&cafe ECRU*」 初めての投稿に「自宅で雑貨屋 ECRU*をするのが夢」と書いた。 2024年2月19日、ブログ開始15年の記念日で終了した。 延べ1586905人の来訪者があったというこのブログは、 文字通りzakka&cafe ECRU*となった。
「季節ごとのイベントに繰り返し来てくれるようになったお客様が数名いらっしゃる。こんなことやりたい、あんなことやりたい、でも自分で準備できないという方のために自分がセッティングし、日本とフランスの季節が感じられるものを提供したい。時間がいっぱいあるから」と少し照れながら話すECRU*さん。
もの静かで穏やかな口ぶりながら、その心は愛にあふれ、真っ赤に燃えている。
情報
zakka&cafe ECRU* (雑貨&カフェ エクリュ)
住所:福岡県八女市本町272
営業:土日+α 13-17時
※それ以外はアポ制&旗がある時
zakka&cafe ECRU*の最新情報 :@zakka_cafe_ecru
店主のブログ :ecru-zakka.jimdo.com/blog-sns