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時代を超えて愛される昭和レトロな純喫茶  防府市「コーヒーの店エトワル」

山口さん

4月29日は「昭和の日」。最近では、Z世代の若者を中心にレトロな場所やグルメが注目を集めています。
そんな昭和レトロな雰囲気にどっぷりと浸ることができる純喫茶「コーヒーの店エトワル」をご紹介します!

まるで昭和にタイムトリップしたような空間

「コーヒーの店エトワル」(山口県防府市天神1-3-6)は、JR防府駅からほど近い天神町銀座商店街のすぐ近くにあります。

昭和26年創業、今年で74年を迎える県内有数の老舗の喫茶店です。

創業者がフランスを訪れた際、パリにある「エトワール凱旋門」に感動したことから名づけられたそう。エトワールはフランス語で「星」という意味もあります。

外観もまさに昭和レトロ!この「エトワル」の字体と出入り口の曲線の構造からも、上品でモダンな雰囲気が感じられます。

そして、出入り口では、防府市出身の自由律の俳人・種田山頭火の句碑も出迎えてくれます。

「あさせみ すみ通る コーヒーをひとり」

さわやかな早朝のコーヒーと朝蝉の透き通るような鳴き声に託してつくった句と言われているそう。長年、防府の地で営むコーヒー店ならではの句碑ですね。

店内に入ると、外観の期待を裏切らない昭和レトロな雰囲気!上品な赤みがかった木材の壁が印象的です。

現在は使えないそうですが、懐かしいピンク色の公衆電話に出会うこともできました!

店内は2階建てで、こちらは1階席。常連の方たちが利用することが多いそう。

そして、多くのお客さんが利用する2階席へ。

こちらも、昭和のノスタルジーを感じる空間でしたよ。

また、店内には、たくさんの絵画も飾られています。

こちらは、防府市出身の抽象画家・田中稔之さんの作品。

さらには、昭和を代表する洋画家・東郷青児さんの作品も並びます。

そして、この卵のような光沢のあるイスは、座ると少し低め。この空間全てから昭和の雰囲気を体感することができ、まさにタイムトリップしたような気持ちを味わえます。

こちらは、窓辺の席。

レースのカーテンと丸みを帯びた窓が、何とも言えぬノスタルジックな雰囲気です。

昭和の懐かしさを感じるメニュー

こちらは、「エトワル」のメニュー表。ここにもノスタルジーを感じます。

主に、コーヒーやサンドイッチなどの軽食、パフェなどのスイーツが中心。

ここからは、エトワルの看板商品をご紹介します。

コーヒーセット 870円

人気のコーヒーに加えて、ハムやチーズ、レタスなどを挟んだサンドイッチを味わうことができるセットです。

少し厚めにカットされたトーストは、外がカリッ、中はふんわり。シャキシャキのレタスとの食感も良く、トーストに塗られた辛子マヨネーズが味のアクセントになります。さらに、具材にかけられた特製ドレッシングの酸味で後味は爽やか!ボリュームもあるので、お腹も満たされます。

そして、何といっても欠かせないのは、「エトワル」自慢のコーヒーです。

自家焙煎した豆から渋皮までも丁寧に取り除いたこだわりの一杯。雑味がなく、まろやかな風味が楽しめます。

左側奥が自家焙煎したコーヒー豆、中央は渋皮を取り除いた豆、右側奥は粉状にグラインドしたものです。

創業からまもなく自家焙煎にこだわり、この製法で提供しているそう。ほのかに甘みのある香りがして、雑味もなくまろやかで、スッキリとした味わいのコーヒーでしたよ。ぜひ、最初のひと口はブラックで味わってみてほしいなぁと個人的に感じました♪

コーヒーのメニューも豊富です。お気に入りの一杯を探してくださいね!

そして、エトワルでは、スイーツも大人気!

バナナサンデー 870円

昭和生まれの私としては、子どもの頃に憧れた”デパートの最上階のレストランのパフェ!”と思わずにはいられないビジュアル。いわゆる縦長のグラスではなく、横に広がったガラスの器なのがまたたまりません。

チョコレートやオレンジのソースがかかったソフトクリームの下には縦長にカットされた一本分のバナナが。食べ進めると、「だから、横広の器なんだなぁ」と納得です。ソフトクリームも濃厚でとても美味しかったです!

また、シーズンごとに旬の果物を使用したパフェも人気です。

ストロベリーパフェ 950円

実は、こちらのパフェは12月~4月30日まで販売の期間限定商品。この記事の公開が4月29日なので、今シーズンは明日までの販売となります。
基本的には契約農家から仕入れたイチゴを使用したパフェを目当てに訪れるお客さんも多いそう。

甘いイチゴとミルク感たっぷりのソフトクリームの相性は間違いなし。幸福感が増す美味しさでした!

ストロベリーパフェ終了後には、6月中旬から7月初旬に完熟マンゴーを使用した「マンゴパフェ」を販売。その後、8月中旬から秋にかけて、「シャインマスカットパフェ」も登場する予定です。それぞれ旬の果物を使用しており、販売時期はあくまで目安です。気になる方は、一度、お店にお問い合わせくださいね。

歴史を紡ぎ続ける3代目夫婦

創業74年の歴史がある「エトワル」を受け継いでいるのは、3代目店主の夏井誠さんと妻・明美さんです。

そもそも、「エトワル」は、昭和26年に誠さんの伯母が始めた喫茶店です。伯母の手づくりケーキや伯父こだわりの自家焙煎コーヒーの評判も高く、当時は、近くにレストランも構えるなど多くのお客さんで賑わったとのこと。

その後、店を手伝っていた誠さんの両親が2代目として受け継ぎました。誠さんも大学卒業後、広島の洋菓子店での修業を経て、37年前から店に立っています。現在は、基本的に妻の明美さんと2人だけで店を切り盛りしています。

そんな2人が74年前から受け継いでいるのが、こちらのメニュー。

アンミツクリーム 750円

あんこやみつ、寒天は、妻・明美さんが伯母の味を受け継ぎ作り続けています。

あんこの小豆は一粒一粒がふっくらとしていて、全体的に程よい甘さで美味しい!我が家のあんこ好きの次男(年長)が、ひと口食べて「これ美味しいなぁ、好きだなぁ」と言っておりました(笑)

アーモンドケーキ 480円

こちらは伯母さんがフランス菓子店から学んできたというアーモンドケーキ。今は、同じくフランス菓子店で修業してきた誠さんが受け継いでいます。

小麦粉は一切使用せず、アーモンドプードルと卵やバターなどで焼き上げた贅沢な一品。生地にはアーモンドダイスも入っていて、アーモンドの美味しさが存分に味わえます。

ケーキセットのケーキとしてもいただくことができますが、こちらはテイクアウトも可能。

常連のお客さんには、お土産用にたくさん購入される方もいらっしゃるのだとか。馴染みのお客さんから愛されている一品です。

以前は、夜の営業も行っていたそうで、飲み会の後には「エトワル」でコーヒーや甘いものを食べて締める、という地元の方も多かったんだそう。夜営業を復活させてほしいという要望もあるそうですが、できるだけ長く営業してほしいという声も多く、お二人も無理なくできる範囲で頑張っていきたいと話していらっしゃいました。

休日にはアルバイトの従業員もいらっしゃるそうですが、基本的にはご夫婦2人で営業されています。

ぜひ「エトワル」の雰囲気を楽しみながらお過ごしくださいね。

訪れる人の記憶にも刻まれる喫茶店

74年という長い歴史の中で、地元の人たちを中心に愛され続けているエトワル。階段の壁には、こんなものが飾られています。

航空自衛隊防府北基地を卒業する航空学生から贈られたワッペンです。毎年、春の大型連休に入る頃、上級生が入隊したての下級生にごちそうする「対番返し」という慣習があるそうで、その日は、パフェを味わう航空学生の姿で溢れかえるそう。

長い歴史と共に、多くの航空学生たちにとっても、エトワルのパフェは忘れられない思い出の味なんでしょうね。

こちらは、お客さんが贈ってくれたというポスター。窓際の席を気に入り、自ら製作してくれたものだそうです。

訪れた人の記憶にも刻み込まれるほど、多くの人から愛されている「エトワル」。

最近では、SNSなどの影響により、10~20代の若いお客さんも増え、客層も変わってきたそう。そういった昭和を知らない若い人達も昭和の時代を生きてきた年代の方たちも、懐かしい昭和の面影を求めて訪れるのかもしれませんね。

ぜひ、昔懐かしいノスタルジーに浸ることができる「エトワル」におでかけください。

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