<春季高校野球静岡県予選> 注目の“本格派”左腕対決実現!吉田遥孔(静岡高校)vs 内藤優央(静清高校)
春季高校野球静岡県大会予選が4月12日まで行われた。19日に開幕する県大会の出場校が出そろい、15日には組み合わせが決定した。5日、草薙球場で行われた上位校決定戦では、県大会でも注目投手に挙がる本格派左腕同士の対決が実現した。
静岡の吉田遥孔(はるく)投手と静清の内藤優央(まお)投手。内藤投手が五回に自己最速を更新する145キロをマークすれば、吉田投手も七回以降、毎回140キロを計測する見応え十分の投手戦となった。試合は1-1のままタイブレークに突入し、延長10回、3―1で静岡が競り勝った。
内藤、納得の投球フォーム「感覚つかめた」
昨秋までの最速は139キロだった静清の内藤投手。この日は140キロ台を連発する圧巻の投球だった。八回途中、この日初めての四球を出して降板となるまで4安打1失点。長田仁志監督は「あとはスタミナだね」と課題を口にしたものの、上々の出来だった。
「調子が良かった。特にストレート」と内藤投手。3月29日の焼津中央との代表決定戦のころから「リリースの感覚、力の出し方が分かってきた」と言い、「力を抜けば抜くほどリリースの時に力が入る。これだなっていう感覚がつかめた」と力感なく、テンポ良くストライク先行の投球を見せた。
昨秋は県大会予選で敗退。見せ場なく終わった。冬の間に上半身と下半身の連動、股関節の柔軟性を高めるトレーニングなどに取り組んだ。「(踏み出す)足が付いた時に重心が後ろに残っていて、後から(上半身が)出てくる感じ」と、下半身に粘りが生まれた。「後半の集中力で(静岡に)上回られた」と敗れはしたものの、「互角に戦え、力の差はないと分かった」と自信を付けた。
吉田、終盤に140キロ「体力付いてきた」
3月の解禁後の練習試合で144キロをマークした吉田投手はこの日、立ち上がりはいまひとつで、高めに浮いたスライダーを捉えられて四回に先制を許した。後半は直球を主体に組み立て、五回以降は散発3安打無失点。10回を投げきった。
「前回(3月29日の代表決定戦)までは体の開きが早くて、コントロールができていなかった。今日は抜ける球はなかったけれど、もう少し(直球で)押せると思う」と大会期間中に少しずつ修正を重ねてきた。「今年初めて9回投げて、終盤に140キロが出た。体力が付いてきた」と手応えも得ていた。
吉田投手は対戦した内藤投手について「真っすぐが速い。押しながらコントロールできている。バッターとして(打席で)見た時、アウトコースのストレートは打てる気がしなかった」と刺激を受けた様子だった。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
【取材こぼれ話】
試合は静岡が少ないチャンスをものにしました。五回は敵失に乗じて2死三塁と広げた好機に名取凜人選手(2年)の適時二塁打で同点とし、延長十回タイブレーク2死二、三塁の場面も名取選手の2点適時打で勝ち越しました。打順8番に入っていた名取選手ですが、昨秋は1年生ながら3番打者。勝負強さを買われていました。「春先からずっと打ててなくて(打順が)落ちるところまで落ちました」と名取選手。池田新之介監督は「楽にさせようと思って(打順を)下げたんです」。勝利の裏に思わぬ打順の巡り合わせもあったようです。