<SNSのマナー違反?>先生へのプレゼントに生徒の進路まで?価値観の違いにモヤモヤ【まんが】
私の名前はナルミ。40代、2児の母です。会社員の夫と小1の娘、幼稚園年少の息子の4人で暮らしています。私は子どもの頃にピアノを習ってみたかったのですが、いろいろな事情が重なって通えませんでした。そこで子どもにはぜひと思い、まずは長女のコハルに尋ねてみたところ、本人も「習いたい」と言ってくれたので最近ピアノを習いはじめました。企業がやっている音楽教室などではなく、先生が個人で開いている教室で、通いやすさを重視してここに決めました。
ユリエ先生は今どきの20代女性といった感じなのですが、どことなくフンワリとした雰囲気をもっています。お嬢様というか、エレガントというか、きっと育ちがいいのでしょう。
夜も更け、家族が寝静まった頃、私はユリエ先生のSNSを見てみたのですが……。
ユリエ先生のキラキラしたアカウントには「こんな写真も載せるの?」と感じてしまう投稿ばかり。先生へのプレゼントなんて、私は一度も持って行ったことがありません。
SNSには教え子たちの進路まで載っていました。書かれているのはこの地域で有名な難関校。いわゆるブランド校です。もしこれが「音楽関係の学校に合格した」とかなら教室の宣伝にもなるでしょうし、教え子と保護者が了解していれば百歩譲って載せるのもアリなのかもしれません。しかし、ここに載っている学校と音楽とは何の関係もありません。
これは、ジェネレーションギャップというものなのでしょうか。それとも年齢など関係なく、個人の気持ちとしての問題なのでしょうか。 とにかく何とも言えない価値観の違いを感じます。(ああ、SNSを見なければよかったな……)とも思ってしまいました。 ピンクのドレスを着て微笑む先生の写真も、あらためて見てみると自己顕示欲が伝わってくるような……以前はそんなこと、これっぽっちも思わなかったのに。 コハルも私もとくに授業内容に不満はないので今まで通りレッスンを続けようとは思いますが、それでもやはりこれまでとは先生の見方が変わってしまいそうな気がします。
「配慮してほしい」はダメ?同世代の友人に相談してみると……?
「う〜ん、優しい見方をすれば、プレゼントはくれた人へのお礼的な意味あいもあるんじゃないかな? 保護者のみなさんが見ているかもしれないSNSだから、ありがとうの気持ちを教室日記として書いただけとか。案外深い意味はないのかもよ?」カノコの意見も一理あります。私は自分がプレゼントを渡していないので、余計気になったのかもしれません。
「ピアノに関係ないし、有名校に通う生徒をブランド扱いするような感じになっちゃってるよね、コレ。それに全体公開のSNSなんて、どんな人が見ているかわからないじゃない? 万が一の話だけどさ、“あそこのセレブ校に通っている子が、このピアノ教室に通ってるんだ”ってヘンな人に待ち伏せされたら怖いよね」カノコと話すうちに、違和感の正体がつかめてきました。
私が先生のSNSに感じた違和感。「こんなこと考えるなんて気にしすぎかな」と自身を否定していたところがありましたが、カノコに同じ考えだと言ってもらえてホッとしました。 プレゼントはともかくとして、生徒さんたちの(音楽に関係ない)進路を載せてしまうのは、やはりちょっと心配に思ってしまうところがあるのです。 それにコハルは今のところ載っていませんが、今後知らないうちに何かを書かれたらイヤだと心配にもなります。 たしかに通いやすさやきれいさ、レッスン内容などに不満があるわけではないのですが、「絶対にユリエ先生じゃなくちゃ!」という気持ちも親子ともにありません。 せっかく私の幼い頃の憧れと娘の興味が重なってはじめたピアノ教室。先生に悪意はないのだろうとは思うのですが、心配しながら通わせたくはありません。 カノコのいう通り、教室を変えることも視野に入れてみようと思います。
【先生の気持ち】幸せをアピール!……が保護者にも夫にも怒られ?
私の名前はユリエ。アラサーで結婚3年目。子どもはまだいません。結婚してすぐの頃、夫や義両親の希望もあり、新しく家を建てることになりました。そのとき新居の一室を防音室にして、ピアノ教室をはじめました。この辺りはファミリー世帯、しかも教育熱心な家庭が多いです。なので生徒もそこそこ集まります。バリバリ生活費を稼ぐまではいかないにしても、私のお小遣い程度にはなります。なにより自宅でピアノ教室を開いているといえば、音大の同級生たちに「私はちゃんと音楽を仕事にしている」というアピールになるのです。
「こんなに充実しています!」という感じでSNSを盛っていくと、なんだか自分も同じようにキラキラした世界にいるようで、承認欲求が満たされていくのです。当時の同級生たちからたくさん褒められたことで、私のSNS活動はますます精力的になっていきました。
その夜。落ち込んでいる私は、夫とゆったりワインを傾けながら、さきほどの件で弱音を吐きます。
今まで夫は、私のSNSをあえてじっくり見ることはありませんでした。元々忙しい人なので夫自身SNSはやっていませんし、私が言わなければこうしてちゃんと見ることもなかったでしょう。でも、今回のことをきっかけに見てもらったところ……。
私は今までSNSの投稿で、こんな風に注意されたことがありませんでした。 でも思い返してみると、今まで私の周囲にいてくれたのは家族や友達に、ピアノ教室の教え子とその保護者。それから音楽関係で知り合った知人とかなり狭い世界で生きていたのです。 その狭い世界に対して見栄を張るようにしていた投稿が、大切な生徒さんたちを危険に晒す行動だったなんて、後悔でいっぱいです。 苦い経験でしたが今回こうして指摘してもらったことで、いろいろな価値観を知るよい学びになりました。そして今後は、SNSの投稿には慎重になりたいと思います。