事故や遅延で乱れたダイヤはどう戻している?【眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話】
運行の要である運転指令所
分刻みのスケジュールを定刻通りに運行している鉄道。通勤ラッシュの時間帯には、発着の間隔が3分ほどのかなり短いものになることも運行本数が多いというのは乗客にとってありがたいことですが、一つの列車が遅れるだけで後続の列車の運行に大きな影響を与えてしまうのが怖いところです。
何かトラブルが起こったとき、列車の運行を正常な状態に戻すためになされるのが運転整理と呼ばれる業務。列車の運転時刻や順序の変更、発着駅の変更、運休などの作業を行います。これを指令するのは、運転指令所という列車の運行を管理している機関です。
列車のダイヤ回復までにかかる時間は短ければ短いほどよいもの。そのため、運転指令所の指令員は短時間で的確な判断・指示をすることを求められ、それをできるだけの相当な技術と経験が必要になります。指令員になることができるのは、駅の配線や列車の運行に関する知識を熟知し、迅速に状況を判断できる者だけなのです。
台風、大雨のような災害や人身事故、停電、火災、線路への立ち入りなど、さまざまなトラプルが突発的に起こるなか、乱れた運行状況を回復させようと迅速に取り組む人たちによって、私たちの交通手段は守られています。
ダイヤを回復させる運転整理
状況確認運転時刻の変更列車の運転順序の調整一部列車の運休発着駅の変更(快速→普通、終点の変更など)
ダイヤが乱れたときには、できるだけ遅延範囲を小さく留めること、できるだけ早く回復させることが重要です。そのため運転指令員は、遅延が拡大しないようにさまざまな方法で列車の運行管理を行っています。
本来の行先より手前で折り返して遅延を取り戻す
A駅行きの列車が遅延した場合
遅延を取り戻すために有効な手段の一つが、本来の行先より手前の駅で折り返すこと。ただしこの方法をラッシュ時に行うと大混乱を招く危険性があるため、比較的混雑が落ち着いている状況で行うのが一般的です。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話 』著:綿貫 渉