猫の『座り方がおかしい』と思ったら疑うべき病気5選 痛みや違和感が原因かも?
1.猫カリシウイルス感染症
「猫風邪」とも呼ばれている猫カリシウイルス感染症は、症状の1つとして関節炎を発症することがあります。関節炎は生後6〜12週齢以下の仔猫など一部の猫にあらわれ、足のこわばりが見られたり引きずって歩いたりするのが特徴です。
猫カリシウイルス感染症は猫種や年齢を問わず発症する病気で、感染経路は以下のように多岐にわたります。
✔ウイルスを保有する猫との接触
✔食器やトイレの共有
✔感染した猫のくしゃみによる飛沫
✔ウイルスを付着させた飼い主との接触
✔母子感染
感染力が強いウイルスのため、予防として定期的なワクチン接種をしましょう。
2.変形性関節症
変形性関節症は関節の骨や軟骨が劣化してすり減ることで炎症を起き痛みを伴う病気です。
炎症によって痛みが出るため、座り方がおかしくなるといった変化だけでなく、ほかにも寝ている時間が増えたり、片足をひきずって歩いたりするなど、痛い部分を避けるような座り方や動き方をする、などがみられることがあります。
変形性関節症は高齢の猫に多く見られますが、加齢の他にもいくつかの要因があります。
✔肥満
✔外傷
✔遺伝
遺伝の場合は、骨や軟骨の異常が起きやすいと言われているスコティッシュフォールドなどの猫種で見られます。
変形性関節症の治療は、抗炎症剤の投与により痛みと炎症を抑える対症療法が主になり、日々の適度な運動や体重管理といった対策も大切です。
3.股関節形成不全
股関節形成不全は成長期に見られることがあり、股関節の形に異常が生じて、骨盤と大腿骨がうまくかみ合わず不安定な状態になってしまう病気です。股関節が脱臼しやすくなったり、関節の痛みや炎症を引き起こしたりします。
痛みから座り方が不自然になるほか、腰を振りながら歩くモンローウォークや階段の昇り降りを嫌がるようになるといった症状がでたら要注意です。
遺伝的な要因が主で、ペルシャ、メインクーンなどの猫種が発症しやすいと言われています。
詳しい原因が明らかになっていない病気のため、先に説明した兆候が見られたら獣医師に診察してもらいましょう。
4.椎間板ヘルニア
人間の腰の病気としてもよく耳にする椎間板(ついかんばん)ヘルニアですが、猫でも発症します。背骨と背骨の間にありクッションのような役割を果たしている椎間板が飛び出してしまい、脊髄神経を圧迫してしまうことで様々な症状が出る病気です。
椎間板ヘルニアになると足や腰にしびれや強い痛みを感じるようになるため、動くこと自体を避けるようになり、後ろ足が動かなくなり重度の場合は自力での排泄も困難になってしまいます。
主な原因は交通事故や高所からの転落、加齢、肥満、遺伝などがあげられ、重症化した場合は外科手術での治療が必要になる場合もあるでしょう。
5.骨軟骨異形成症
骨軟骨異形成症は骨や関節の成長に異常が生じ、足首などの関節やかかとに大きめのコブ(骨瘤)ができてしまう病気です。だんだんコブが大きくなると座る時や歩く時に痛みや違和感が出て、座り方や歩き方に異変が現れます。
兆候としては、段差を登らなくなったり高いところに行かなくなったりするほか、爪切りを嫌がるという行動も見られます。
遺伝的な疾患で、特にスコティッシュフォールドが多く発症、アメリカンカール、マンチカン、ヒマラヤン、ペルシャなども発症する場合があるので日頃から注意が必要です。
室内の段差をできるだけ少なくする、激しい運動を控えるなど足への負担を少しでも減らせるようにしましょう。症状の兆候が見られたらすぐに獣医師に診察してもらいましょう。
まとめ
愛猫の座り方がなんとなくいつもと違う、不自然さを感じた場合は、何らかの病気が潜んでいるかもしれません。
骨の異常だけでなく、感染症が原因となって痛みや違和感が引き起こされているケースもあるため、ワクチン接種などの予防を怠らないことが大切です。
そして、愛猫の座り方や歩き方などを見ていて「なんだかおかしい?」と思ったら、速やかに動物病院を受診してください。
早期発見ができれば治療時の体の負担を少しでも減らすことができるかもしれませんので、日頃から愛猫の様子をよく観察するよう心がけましょう。
(獣医師監修:加藤桂子)