【中学受験】「5・6年生」が伸びる国語勉強法とは? 「早稲田アカデミー」女子御三家対策コース国語担当講師が伝授!
令和の「中学受験伴走」連載。今回は、抜群の合格実績と熱い指導に定評がある進学塾「早稲田アカデミー」の志望校別コースで、女子御三家のひとつ「桜蔭学園」の国語担当・本多弘篤先生に、5年生・6年生の勉強方法についてお聞きしました。全3回の3回目。
中学受験 親子で読んでおきたい物語教育ジャーナリスト・佐野倫子です。今回はついに「中学受験伴走(サポート)」国語編の最終回。テーマは「5年生・6年生の勉強法」についてです。前回では、「国語の学習において4年生が重要な学年」というお話を、「早稲田アカデミー」志望校別コースの女子御三家対策クラスの国語を担当する本多弘篤先生に教えていただきました。
では、5・6年生でまだまだ国語が苦手という子はどうしたら伸ばすことができるのでしょうか? そこで今回は、受験勉強後半でも伸びる国語の勉強法について教えてもらいました。
高学年で国語が苦手な子との対峙方法は?
──5・6年生になると、入試問題を見据えて、テキストや模試でも記述式の設問が増えていきます。まずは5年生でもまだまだ国語が苦手な子は、どのように対峙すればいいのでしょうか?
本多弘篤先生(以下、本多先生):そうですね、授業や出された宿題を丁寧に取り組む、ということに尽きるでしょうか。
「丁寧」とは具体的にいうと、例えば記述問題だと、「解答を写す」ということではありません。授業やテキストの解説から、解答に必要な要素を理解し、そのうえで必ずもう一度自力で解答を書き直すようにしてください。
特にテキストの模範解答というのは、大人が考えた理想の答えです。保護者の方は、そのとおりに書けなくてもガッカリしたり、𠮟ったりは絶対にしないでください。
答えに何が必要だったのかをお子さまが理解して、自分なりに再び書くという練習をしていけば、記述力はおのずと上がります。
「選択問題に悩むお子さんもいますよね」と実体験をぶつける佐野さん。
選択問題は「正攻法」で取り組む
──自分なりに書き直してみるというのが一番重要ということですね。では、選択問題が苦手というお子さんはどうすればいいでしょうか? 選択問題は記述より難しいという話も聞きます。なんとなく選んで当たった、それでおしまいという子が多いようにも思いますが……。
本多先生:選択肢を判断するための小手先の受験テクニック的なものは、あまり早期から教え込むべきではないと考えます。
あくまで本質は問題にきちんと向き合って、理解しているか。選択問題が苦手、というのはその前段階の準備が下手なのかもしれません。
まずはなにを問われているのか、設問にしっかり向き合う。そして本文にどう書かれていたのかをきちんと探す。それを選択肢と丁寧に照らし合わせる。それらを心掛けながら、塾のテキストでトレーニングをしていけば大丈夫です。
気を付けたいのは、すぐに解説に頼ってわかった気にならないこと。要素や解答根拠を自分なりに理解していくようにしましょう。いずれにしても、塾の授業や宿題をおろそかにせず、地道に向き合っていくのが結局、一番の近道だと思います。
「できなくても大丈夫です。塾でしっかり教えていきます」(本多先生)。
6年生は持っている力をどれだけ発揮できるか
──6年生になると、国語にかけられる時間は限られてくるというのが、私が子どもに伴走してリアルに感じたことです。6年生の国語の学習はどのように進めればいいのでしょうか。
本多先生:6年生では、国語の持っている力が例えば「10」とすれば、それをどれだけ解答用紙に乗せられるかが大事になってきます。「10」力があるのに「5」しか解答用紙に乗せられない子と、「8」しか力がなくても「6」発揮できる子だったら、後者が勝ちます。
この自分が持つ力を出すには、テクニックが必要で、それが時間配分です。例えば、テストで文章読解問題が2題あるとします。時間は50分。
1題あたりざっくり25分ずつかけられるといいのですが、子どもだと「もう少し時間を使ってもいいかな」と、最初の問題にずるずると35分かけてしまうことがよくあります。
でも、残りが得意なタイプの文章だったとしても、15分で解くのはなかなか厳しいですよね。正解がもらえるはずだった問題を落としかねません。こういった時間配分の目安をつけて、25分を過ぎたら次にいこう、というテクニックは6年生で鍛えていきたいところです。
テクニックはトレーニングできますので、6年生の最後の時間は、他の教科の勉強時間との兼ね合いを見つつ、やれることをやっていきましょう。
「国語のテクニックはトレーニングしていきましょう」(本多先生)。
多くの学校で国語は入試1科目目
──中学受験直前です。もうすぐ本番、という6年生に向けて、先生が直前期に指導していることはありますか?
本多先生:国語は、多くの学校が1科目目に実施する科目です。第1志望校ですと、緊張が解けない状態で臨むことになる場合も多いでしょう。
ですので、国語の試験が終わった後には、次の科目に影響が出ないよう、どのような手応えであれ「やることはやった!」と自分に言い聞かせるようにと伝えています。
──なるほど! 「やり切ったな」という自信を持たせるようにするのですね。それにはどうすればいいんでしょうか。
本多先生:子どもは緊張していると、本番だけ普段と違うことをしてしまうことがあります。それが中学受験の怖いところです。
そうならないように、過去問や模試で時間配分のトレーニングをするとか、物語文より説明文を先に解くとか、自分の必勝パターンを見つけることが大切です。自分のやり方を身につければ、本番もそのイメージで解けるようになります。
「練習は本番のように、本番は練習のように」です。
私たち国語講師陣は、「やるだけやった!」と、入試本番で残りの科目を戦い抜ける良いスタートをきれる状態を作り出せるよう、毎年本番直前まで、全身全霊で指導していきます。
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国語は4・5年生では、苦手だなと感じても悲観せずに粘り強く解いていくこと。6年生になったら、持っているものを最大限に解答で発揮できるように練習を重ねること。それが大切だということがわかりました。
国語は暗記科目のようにすぐに努力が成績に反映されにくい科目ですが、地道にやっていけば実力はつくことがわかりました。記述では要素を自分なりに理解して、もう一度書いてみるのがいいですね。
全ての科目の土台になる「読む力」。活字に親しみ、読書をすることで抵抗感なく読解力がつくので、時間がある場合は親子で本を読む時間を作ってみましょう。
撮影/安田光優
文/佐野倫子
『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』著:佐野倫子(イカロス出版)