北海道で特別な家族旅行を 胆振東部から能登へ…つながる「心の支援」で子どもに笑顔
北海道胆振東部地震から7年。
被災地の子どもたちを笑顔にしたい。北海道のお坊さんの取り組みから「支援」のあり方を考えます。
【特集】“じぶんごと”防災
夏の北海道を満喫するのは…
8月の北海道赤平市のキャンプ場。
夏休みを楽しむ家族連れの姿がありました。
笑顔で北海道のグルメをほおばる子どもたち。
「ロケット開発」を行う植松電機では、自分だけのロケットづくりを体験。
目にも止まらぬ速さで空を舞うロケットに大興奮です。
夏の北海道を満喫する4泊5日の旅。
参加した9組の家族はみな、能登半島地震で被災した人たちです。
北海道赤平市の僧侶、西井芳准さん(55)ら赤平仏教会が宗派を超えて企画し、石川県穴水町の小3・4年生とその家族を対象に招待しました。
きっかけは、西井さんが能登で経験したボランティア活動でした。
胆振東部から能登へ…取り組んだ「心の支援」
2024年の地震で、26人が犠牲となった石川県穴水町。
発災から1か月後、西井さんは、胆振東部地震で被災したむかわ町の僧侶ら有志のメンバーで穴水町へ。マッサージをしたり、子どもたちと遊んだり。
取り組んだのは「心の支援」でした。
今回招待された碓井冴弥さん(小3)も西井さんたちの支援を受けたひとりです。
碓井さんの母は冴弥さんの様子について「今回の案内がきて、北海道に行きたくて行きたくて」と話します。
「高学年のお兄ちゃんは、万博に行ったり、名古屋に行ったり。この子は、その機会がなかったから」
子どもたちの居場所はどうしても後手に…だからこそ
能登地震・豪雨の被災地への支援については、小学5・6年生の子どもたちを対象に、大阪府が大阪・関西万博に招待するなどの取り組みがおこなわれていました。
地元の人から、その情報をききつけた西井さんは、あえて今回の北海道旅行の対象を「小学3・4年生」として企画したのです。
楽しそうにすいか割りをして、笑顔で楽しむ碓井さん親子。
「避難所には、1か月半ぐらいいました。家はいまも半壊。全壊していないだけ順番はまわってこない」
仮設住宅などの建設は進む一方、子どもたちが安全に遊ぶ場所の再整備は後手にまわっているのが現状だといいます。
いつ助けてもらうかわからない
「モノ」よりも「心の支援」を。
穴水町での経験をいかし、子どもたちに思いっきり夏休みを楽しんでもらおうと家族を招待しました。
赤平仏教会の西井芳准さんは「道路や水道だとかのインフラをなおす人たちも大事ですけど、私たちにできることっていうのは、やっぱり人です。人を元気にすること子どもたちを元気にすることで、地域全体を元気にすることができるのでは」と話します。
旅行には北海道東神楽町に住む海月千代美さんも加わりました。
海月さんは東日本大震災で両親を亡くし、自らも被災。
その後、東神楽町に移住しました。
看護師として働いていましたが、東日本大震災の被災地で
被災者やその支援者に対して「マッサージ」をする人の姿を見て、
自身もマッサージを習得したといいます。
その縁で、西井さんたちと知り合い、去年のボランティアにも同行していたのです。
今回は「支援者」として参加し、被災した後に習得したマッサージを行いました。
海月さんは「自分たちのできることで周りに伝えていきながら支援活動を細々でも継続していくことで、風化を防げると思う」と話します。
西井さんは「いつ助けてもらう側になるか分からない中で、助け合うということが本当に大事な世の中になったのでは」と想いを巡らせます。
どんな場面で何を助けるのか。
旅行に参加した家族の笑顔が、支援のあり方を考えるきっかけになりそうです。
【特集】“じぶんごと”防災
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年9月2日)の情報に基づきます。