希望年収を上手く伝えるには? 答え方とタイミングを解説
転職で年収アップを狙う人にとっては、重要なポイントになる「希望年収」。「希望年収」は、履歴書に記載欄があったり、面接で採用担当者から尋ねられたり、転職活動ではよく聞かれる質問の一つです。ただし、「高めの金額を伝えたら自信過剰と思われないか」「低めに伝えたほうが採用されやすいのか?」など、採用担当者にどう思われるかが心配で、適切な回答に迷う人も多いのではないでしょうか。
また、転職で年収を上げたいと考えている人は、交渉するタイミングや希望額の伝え方なども、悩みどころですね。希望年収の質問に的確に回答するためには、「企業がなぜ希望年収を聞くのか」について、理解することが重要です。
多くの転職希望者を悩ます希望年収に関する質問について、マイナス印象を与えずに乗り切るためのポイントや希望年収の決め方など、マイナビ転職の記事をもとにご紹介します。
•希望年収額は「総支給額」か「手取り額」どちらを答えるべき?
•希望年収額の理想的な答え方
•年収交渉を自然に切り出すには?
•適切な希望年収額の決め方とは?
•まとめ:ポイントをおさえた準備で悔いのない転職活動を
希望年収額は「総支給額」か「手取り額」どちらを答えるべき?
希望年収額を答える際、「総支給額」と、社会保険料や所得税を差し引いて実際に振り込まれる「手取り額」のどちらを答えるべきでしょうか。
多くの場合、採用担当者は「企業が給与として支払う額」、いわゆる総支給額だけを考えています。もろもろが差し引かれる前の金額、具体的に言うと源泉徴収票で「支払金額」欄に記載されている額面を答えるのが良いでしょう。
所得税などを引かれた後の「手取り額」を伝えてしまうと、実際の手取り額は更に少ないものになってしまいます。実は希望年収の認識として転職による給与アップを狙う際、盲点になりやすい点です。採用担当者との認識のズレを防ぐためにも、転職活動を始める前に、現在の総支給額の年収を確認しておきましょう。
また、履歴書に希望年収を記載する場合、具体的な額面は、提示しないほうが良い場合があります。なぜなら、応募企業が「いい人材だったら想定額を上回ってもOK」と考えていたとしても、履歴書だけでは、あなたの良さが伝わりきらず、「想定額と合わないから」として機械的に、落とされてしまう可能性があるからです。
どうしても「年収の交渉をしたい」という含みを残しておきたいのであれば、「応相談と考えています」のような書き方にとどめるのが得策です。具体的な話をするのは、面接に進んでからでも遅くはありませんし、「あくまでも希望」とはいっても、履歴書では細かいニュアンスや意図を伝えるのは難しいものです。
履歴書はあくまで入口であると認識して、次につなげられるような表現を意識すると良いですね。
希望年収額の理想的な答え方
続いて、面接に進んで希望年収を尋ねられた場合にどう答えたら適切かを紹介します。
「希望年収額は?」と聞かれたら、ただ金額を伝えるだけでなく「あくまで企業の意に従う」という、謙虚な姿勢を示すと好印象を与えられます。例えば、次のような回答がおすすめです。
【回答例】 現在の年収は500万円です。希望年収に関しては基本的に御社の規定でお願いしたいと思いますが、現在の年収が500万円ですので、可能であれば、現在の年収と同額以上を希望いたします。
面接での評価が高くなれば提示額のアップもあり得ますので、面接官に与える印象には、十分気を付けたいところです。
まれに、希望年収額を聞かれるのではなく、面接官のほうから年収額を提示されることもあります。その時は、リアクションにご注意を。実はこの質問で、応募者の表情をチェックしていることもあるのです。例え金額が希望年収より低くても、がっかりした様子を見せたり不満が態度に表れたりしないよう、冷静に対応しましょう。
年収交渉を自然に切り出すには?
年収交渉のタイミングは企業によって異なりますが、一般的には一次面接で行うことが多いようです。ただし、志望動機や仕事内容に関する話題が終わらないうちに年収の話題を持ち出すと、「お金第一で仕事に対する熱意がないのでは?」と思われかねません。
もちろん、年収が気になるのは当然のことですが、年収を巡るやりとりで印象ダウンしてしまうのはもったいないですね。よって、聞き方とタイミングは十分注意しましょう。自然なのは、面接の終盤に「何か質問はありませんか」と、面接官のほうから質問してくるタイミング。まずは、仕事内容に関する質問をしてから、年収の話題を切り出すのがおすすめです。
また、「年収ばかり気にしている」と思われないために、「仕事に対して全力で努力する意思や、強い覚悟を表す前置きを述べてから質問に入る」のがコツです。「どんな努力、どんな成果を上げると、どのような報酬が規定されているのでしょうか。給与体系をお教えください」など、給与モデルケースの質問から始め、そこから希望年収の話にシフトしていけば、スムーズに交渉を進められるでしょう。
適切な希望年収額の決め方とは?
では、希望年収を伝える際に、いくらと答えるのが適切なのでしょうか。転職前の年収をそのまま答えるか、はたまたもっと上を目指すか? 先ほども少し触れましたが、根拠なく希望のままに金額を伝えるのはリスキーです。続いては、希望年収を決めるときのポイントをご紹介しましょう。
まず最低限おさえておくべきなのは、前職または現職の年収です。これは、企業が新たに採用する社員の年収を決める際、前職の給与をベースにする傾向があるためです。この時も、社会保険料・源泉所得税・住民税などが引かれた後の「手取り額」ではなく、総支給額で考えましょう。
また、年収額の根拠を明確に答えられるように準備するのもポイントです。前職をベースに考えるのであれば、「前職と同等かそれ以上を期待しますが、御社の規定に従います」といったように前職の待遇をベースにしたことを答えましょう。
同業種なのに前職よりも高い年収を希望する場合は、特に明確な理由付けが必要です。例えば、前職では持っていなかった国家資格や、専門的な資格を取得した場合、次のように回答すると説得力が増します。
【回答例】 前職では年収500万円でしたが、現在は当時保有していなかった税理士資格を取得しており、御社の業績アップに貢献できると考えております。御社の規定でお願いできればと思いますが、前職の資格手当の金額を踏まえ、年収600万円を希望いたします。
このように、資格以外でも根拠が述べられる理由があれば明確に伝えられるようにしておきましょう。
まとめ:ポイントをおさえた準備で悔いのない転職活動を
希望年収の答え方と、年収額を決めるときのポイントをご紹介してきました。なんとなくお金の話をしてはいけないんじゃないか…… と遠慮して年収交渉ができなかったり、希望金額が高すぎると採用されないんじゃ…… と尻込みしてしまったりする方も、ポイントさえおさえれば心配ありません。悔いのない転職活動のために、準備を整えて年収交渉に臨みましょう。
文・ミーツキャリア編集部
【出典】
マイナビ転職/転職ノウハウ『希望年収の答え方とは? 履歴書・面接における回答例文や転職先に交渉するタイミングと聞き方』( https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/caripedia/46/ )