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トンボ(ビンナガ)ジギング入門解説 【タックル・ジグ・釣り方・釣れた魚の処理】

TSURINEWS

長い胸ビレが特徴(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

毎年好不調の波がはっきりしているトンジギ。今年は年明け好調、その後一気にトーンダウンし、このままシーズンが終わるかと思えたが、3月半ばにトンボ(ビンナガ)の大群が接岸。一気にフィーバーにわき返った。シーズンは終盤を迎えるが、今回はトンジギにスポットを当てたい。

トンジギとは

数年前までジギングのカテゴリーに存在しなかったトンジギ。トンボをジギングで釣るからトンジギなのだが、トンボとはビンチョウのことを指す。標準和名はビンナガ。漢字で書くと髭長。体に比べて長い胸ビレから名付けられたものだ。

またトンボとは、胸ビレを広げて泳ぐ姿がトンボに似ているから名づけられた名。よく回転寿司でビントロの名前で売られているのが、このビンナガだ。

立派なマグロの仲間だが、クロマグロやメバチに比べると市場価値が落ちるものの、シーチキンやツナ缶の原材料として重宝されている。また10kgを超えるサイズになると、腹身に脂が乗りクロマグロのトロに負けないほどの味わいになる。

小トンサイズ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

現在釣れ盛っているのは、10kgに満たない小トンと呼ばれるサイズ。15kgクラスになると中トン、繁殖能力が備わる20kg前後になるとタネトンと呼ばれる。

このビンナガをジギングで狙うトンジギだが、イージーなときと修行のときが極端だ。大海原を回遊するビンナガの群れを、ドテラ流しで延々と探していくわけなのだが、群れに当たれば乗船者全員一斉にロッドが曲がることも珍しくない。逆に一日シャクり続けても誰1人、カスリもしない完全試合になることもある。

船は先に少し述べたが、ドテラ流しで狙う。ドテラ流しとは、船を風に任せて横向きに流していくこと。したがって乗船したアングラーは片舷に一列に並んで釣る。船はアングラーの背中方向に流れていくので、ラインは当然前へ払い出される。

片舷ドテラ流し(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

この風の強さが結構重要で、強すぎると船の流れる速度が速すぎてあっという間にラインに角度がついてしまう。少しでも長くジグをレンジ(タナ)に入れておくためには、より重いジグを使わなくてはならない。

逆に風がなさすぎると船が流れないため、広範囲を探れない。ティップランでも同じだが、こまめな移動が必要となる。ジグが軽くて済むのでアングラーの負担は少ないが、ヒット率は極端に落ちてしまう。

タックル

使用するタックルだが、マグロが相手だからといって強力なものは必要ない。伊勢湾や日本海で使われているブリタックルを流用している人が多いように思う。

ここ数年専用タックルを出しているメーカーもあるようだが、これまで大型青物をジギングで狙っていた人は、新たに購入する必要はないだろう。ベイト、スピニングともに好みだが、ベイトタックルを使っている人が多い。

トンジギタックル(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

また300g以上、時には500gという重量級のジグを使うため、電動タックルを使用する人も多い。200m以上ラインを出すこともあるこの釣り、特に回収時に電動は非常にありがたい存在になる。

ラインはPEライン3号以上。小トンメインであれば2号でも十分勝負ができるのだが、片舷7〜9人並んだ状態で細いラインで時間をかけたファイトはオマツリの原因になる。やや強引なファイトをするために、少し太めのラインを使おう。

電動タックル(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

また風が強くて船が流れる速度が速いときは、フォールスピードを速めるために3号、風があまりないときは強度重視4号を使うのがお勧め。

リーダーはフロロカーボンラインでもナイロンラインでも、どちらでもいい。太さは60〜80ポンド、号数で12〜16号といったところだ。目安は使用するメインラインの号数×4。3号であれば12号、4号であれば16号だが、もちろんそれ以上太くてもかまわない。ただし、メインラインとのバランスは考えよう。3号のPEラインに30号のリーダーだと、バランスが悪すぎる。

ジグ

ジグはロングジグの300〜500gを使っている人が多い。ロングしか釣れないのか……と聞かれれば、答えはノー。なぜロングジグなのか、その理由は引き抵抗の少なさだ。

ドテラ流しで重量級のジグを使い、斜めに誘い上げてくるこの釣り、ショートタイプのジグとの引き抵抗の差は歴然で、アングラーへの負担が圧倒的に少ない。

またビンナガは、あまりジグをより好みすることは少ない。ショートしか食わない……なんて場面はまずないので、ここはアングラー都合で考えてチョイスしよう。あとは風の強さ、潮の速さなど状況によって重さを使い分けていく。

ジグ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

フックは大きめのものがお勧め。カルティバのブルーチェイサー11/0、ヴァンフックのスピアー6/0、グリッピー7/0辺りが人気だが、他にも多くのメーカーから販売されている。2個入りで売られているものが多いが、慣れてくれば自作してみよう。コストがかなり安くあがる。

このフックはジグのフロントのみ、フロントとリアの2本付けの場合がある。フッキングするのはほぼフロントだが、フォールでのバイトが多いときや、回収ヒットを期待するのであればテールに付けておいてもいい。

トンジギでキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ただしテールに付けた場合、デメリットがある。それは口に掛かっている以外のもう1本のフックがエラや腹などに掛かって、恐ろしく重くなってしまう。「これはデカイ!でも走らないけど……」というときは、フックが2本掛かりで横向きに上がってくることが多く、ものすごい重さになってしまう。

またジグとリーダーの接続は、大きめのスイベルとスプリットリングを使う。フックはほとんど打ち抜きか溶接リングとセットになっているので、リングをスプリットリングにセットする。こうしておくとジグの交換をスピーディに行える。

釣り方

ポイントに到着すると、船長から「〇〇mから〇〇mの間」という風にレンジがアナウンスされてから開始となる。ここで考えなくてはならないのが、ラインの角度。ドテラ流しではラインは自身の前方に払い出されているので、その角度を考慮に入れて指示された水深よりも多めにラインを出さなくてはならない。

例えば100〜60mの間を攻める場合、ラインの角度が60度だったとすると、120mぐらいはラインを出してからシャクり始めたい。三平方の定理で考えれば正確な数値が出てくるが、そこまでしなくてもいい。指示された水深よりもちょっと多め……ぐらいの感覚で、ラインを出すことを心がけよう。

やり取りは落ち着いて行おう(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

シャクり方は青物ジギングのように、しゃかりきに速く動かす必要はない。まず心がけるのは、ジグが動く最低限の力で極力自身に負担がかからないシャクり方だ。ロッドエンドを腹に当ててゆったりシャクってもいいし、脇挟みで細かくシャクってもいい。

食い気のある個体が近くにいれば、必ず食ってくる。もちろん思い切り速く動かしてもいいが、それではまず一日体が持たない。なるべく自身の体に負担がかからないシャクり方を見つけよう。

ネットに入るまで油断大敵(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ヒットしたら、絶対にテンションを抜かないこと。ポンピングはNG……と言いたいが、この釣りでゴリ巻きはまず無理。リールを巻く動作に入るときは、ラインテンションだけ気をつけよう。小さくてもマグロ、水面近くまできても走り回ることもある。船底に入られたらラインブレイクのリスクもあるので、身を乗り出してロッドを前に突き出して対処しよう。

ランディングは無理をしないこと。水面下でビンナガは円と描くように走り回るが、タイミングが合わなければ何度でも円を描くつもりで、船長と息を合わせてネットに誘導しよう。完全にネットに入るまで気を抜かないようにしたい。

処理

ビンナガに限らず、カツオやキハダ、メバチもそうだが、猛スピードで泳ぐため、釣った直後は体に熱を持っている。船長が処理してくれる船が多いが、アングラー自身が絞めてエラワタ抜きまで行わなければいけない船もある。

複数安打もザラ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

釣ってすぐに絞めてエラを切って放血した後、肛門からナイフを入れ腸と肛門を切断。その後、エラを引き抜くと同時にワタも一気に抜く。慣れないと難しいが、失敗したらエラから手を突っ込み、ワタを引き抜けばいい。

青物やマダイに比べて出血がかなり多いため、しっかり海水で洗い流してから海水氷に沈めて全体をキンキンに冷やす。

アフターフィッシング

市場価値は低くてもマグロはマグロ。その味は絶品だ。ただし、2〜3日寝かせてからさばいた方が、身の甘みが増す。

トンジギへ出船(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ヘタにさばいてから寝かせるよりも、クーラーのドレーン(水抜き栓)を抜いて水びたしにならないようにし、丸ごと氷温で寝かせた方がいい。氷の補充は忘れないようにしたい。

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2025年4月4日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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