私だけ彼氏ができたことがありません…「高身長女子は無理」なのでしょうか?【お悩み#80】
はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。
読者の方々の中には、恋愛をしたい人や目下恋愛中の人、恋愛感情を他者に抱くことはないという人まで、いろんな人がいると思うけれど。
恋のお悩みというものはどうやら、「お悩み」というカードの種類がたくさんあったとしたら、比較的ドローされ、注目されやすいものらしいわね。
あたし自身も、最初は小学校5年生からはじまって、思春期はもちろんのことなんなら現在ですら「ねぇどこに!!!どこにあたしのダーリンがいるの!?!」と叫んであがいて、そのせいで飲みすぎて酔い潰れてな日々を送っているわけですが。笑
思い返せばティーンズの頃とかは、今よりも全体的にエネルギッシュだったこともあいまって、恋やら愛やらに惹かれる気持ちがどうしても強くなっては「ううん!もどかしい!」なんて状態に陥ること、多かった気がするなぁ。
今回は、そんな状況真っ只中の読者さんからのお手紙です。
読者のお悩み:私はいま高校2年生で、周りの友達はみんな可愛くて彼氏がいます。高身長の自分だけ彼氏ができたことがなく、気持ちが落ち込みます…
あらあら、なんだか可愛らしいといえば可愛らしい、でも真剣といえば真剣なお悩みね。
ぷぷさん、ようこそあたしのお悩み相談ルームへ。未来を担う若者からの投稿、とっても嬉しいわ。ゆっくりしていってね!!!
そっかぁ、今仲良くしている子たちが、なんだかそれぞれしっかり青春しているのねぇ。
やっぱりそういうのって、単純かつ素直にうらやましくなるもんだよね。
ましてや、ぷぷさんたちは今まさに大人の階段を登ろうとしている世代。
その年代だとどんな話題であれ、周りが自分より何段か上までステップしている様を見れば、焦って当然だと思うの。
しかも思春期ってさ、そうしたステップの上下をはかるための基準が、日常生活の至るところに溢れているもの。
身長や体重なんていうのはもちろん、偏差値、校外活動での功績の有無。
流行りのグッズを持ってるかどうかまで、そんな「上か下か」に関わっちゃいかねない。
ましてや恋愛はそんな上下を決定づけるにあたって、最大級のファクターとなると言っても過言ではないわよね。
あたしも学生の頃「〇〇、××と付き合い始めたらしいよ」「こないだ△△がデートしてるとこ見ちゃってさ」なんて噂を聞くたびに、誰かといい感じになるどころか、望む相手をいわゆる"日常生活"というくくりの中ではなかなか見つけられない(し、もし好きな人がいたとしても、その気持ちを伝えることすら難しい)、そんなおのれのゲイというセクシュアリティを勝手に卑下していたし、そのせいで、自分のことを無下にしていたような気がするんだよね。
苦しかったなぁ。
そんなふうに。ぷぷさんとは、理由や事情は異なるかもしれないけれど。
「1人取り残された感じがしてとても落ち込む時」は、かつてあなたと同じ高校生であったあたしにも、すごくたくさんありました(そして……現在もある……苦笑)。
このお手紙、なんだか人ごとじゃなく思えるわ。
にしてもぷぷさん。あなた自分の身長の高さが特に気にかかるのね。
あたしもどうやら周りより少しは目線が高いところにあるタイプらしくてさ(178cmあります)。
その影響あってなのか、昔からちっちゃくて可愛い女の子に、「自分がもしこうだったらなぁ」なんて妄想しちゃう程度には、少なくない憧れを持っていたりもしたんです。
だって……ぶっちゃけさ、そういう子に限って、男の子たちからモテモテだったりすることが多いんだもん!!!
あれ結構ガチめに嫉妬しちゃうわよね。こちとら好き好んでこの性、なんならこの骨の成長たるや著しい身体になったわけでもないのにさ。くぅう、神様って意地悪!!!
ちょうどあたしが思春期の頃って『ラブ★コン』(中原アヤ/集英社)って漫画が流行ってたりして、これが高身長女子と低身長男子の恋愛を描く物語なんだけれど(オススメ!一回読んでみて!)。
その中に出てくる「高身長コンプレックス」の内容に、いちいち共感したりもして。勝手に自分ごとに置き換えてみたりもしてたなぁ。
SNSが未発達の時代から「高身長女は〜」的な偏見ってずっと強くはびこっていたし、あたし自身もそれに影響を受けていたようです。
「〇〇男」「××女」のような、ジェンダーバイアスごりごりの文言やそこについてまわる印象については「ぷぷさん!どうか騙されないで!」とは思っているんだけれど。
そうは言っても、自分が周囲に置いていかれているんじゃないかという懸念は、おいそれと消えるものではないだろうし。しんどいわよねぇ。
青春と恋愛。なかなか噛み合わせがいいようで悪いようで、といった具合のこのふたつ。
これらと今まさに向き合っているであろうぷぷさんに、どんな言葉をかけるべきかなぁと、かつて高校生だった身としては考えあぐねるところもあるのでした。
あたしなりのAnswer
とはいえ、あたしがハイスクールに通っていたのなんて、もう17年も前のこと(って……ぎゃぁあ!ぷ、ぷぷさんの歳と同じ年数じゃないのよ!う、受け止め難い事実!)。
どうやらぷぷさんよりは、ちょっとばかし長く生きているらしいから。
その経験から少し語れることというか、伝えられること、伝えたいことをここからは綴っていこうかな。
さてぷぷさん。周りがリア充(これ死語……?)だったりすると、どうしても「あたしも急いで追いつかなくちゃ!」って、はやる気持ちを止められなくなったりするよね。
冒頭でも書いたけれど、そこは本当に心底共感。
なんだけどさ。
これあたし、あなたにはっきり言っておきたいんだけれどね。
恋は「一緒にいたいと思える人と一緒にいる」ということ、それこそが最も大事。
だから、そんな気持ちにさせてくれる誰かが今いるのであれば、いざよしとして。
もしそうでないのならば、ぷぷさんが「そんな誰かを作らなきゃ!」と焦る必要は一切ありません。そんな出会いがあるまで、明るくあなたらしく生きていればいいんだと思います。
もっと言うと、恋といういとなみ自体、しなければならないものではありません。
アセクシャル、アロマンティック(あるいはAce/Aro)という単語は聞いたことあるかしら?
性的あるいは恋愛的な感情を他者に抱かないというセクシャリティ。そうした人たちの存在も、近年ようやく可視化されてきました。(これについては以前も記事にしてるから、ぜひ読んでみてね。)。
「みんな恋してる」というのは大きなプレッシャーになるかもしれないし、なんだか社会のなかでは、それを源とする「恋すべき」という謎の圧力が発生しがちらしいけれど(そのせいで、Ace/Aroの当事者たちは、ずっと居ない者かのように扱われていたわけだけれど)。
違うんだよね。恋ってする人はするし、しない人はしないでいいもの。
だからぷぷさん、あなたの周りは周り、あなたはあなた。ラブのタイミングも、それを求める気持ちも、あなたなりでいいんだということをまず覚えていてほしいです。
思い返せばあたしが高校生の頃って、どうしてかパートナーの存在の有無を、流行のアクセサリーを持っているか否かみたいなノリで考えてしまいがちな人、自分はもちろん、周りにも溢れていた気がするの。
だからこそ、モテない人であるとか、あたしのように何がしかの事情で出会いに与れない人は「自分ってダサいんかな」と思い悩んだりしていたし。
逆にラブゲーム真っ最中側の人たちは、自分が相手に飽きられて、別のアクセに手を伸ばしてしまわないかをすごく気にしていたなぁ。恋人は装飾品のようなモノではないはずなのにね。
正直言うと、あんまり健全な環境ではなかったと思うのよ(今でも似たような環境や考え方に出会い、そのノリに支配されちゃうこと、まだあったりするわ)。
だからこそぷぷさん。あなたには同じような居心地の悪さ、あたしは味わってほしくない。
だし、もしもう今すでに近しい状況にあるのなら、そこにはびこっているであろう「恋の呪い」を少しでも軽くしてあげたい。
そのために。
ぷぷさん、これからはどうか、恋について「するときはする、しないときはしないでいい」という考え方、胸のどこかにぜひとめておいてください。
そして何より、恋人の有無に関わらず、友達みんなと一緒に自分なりのキラッキラな笑顔で、日々を元気に送ってみてね。限りある10代という時間を精一杯、あなたらしく輝いて過ごしてほしいなと思います。
もちろん、素敵な人とお付き合いすることになったなら、それはそれで最高よね!
そうなった時は、またお手紙くださいな。だって、あたしも自分ごととして喜びたいんだもの。
恋については、したりしなかったり、どっちでもいい。でもそれを差し引いても、大切な人たちと彩り豊かな毎日を過ごす。……それでいいのよ。
ぷぷさん、変なプレッシャーに押しつぶされることなく、自分らしい高校生活をあなたが送れるよう、あたしこれからも応援していますね!
ま・と・め♡
というわけで、今回は恋に関する相談をピックアップしました!
実はラブについてのお手紙と向き合うのって約3ヶ月ぶりだったみたい。なんだか意外だわぁ(寄せられるお悩みの種類としては、比較的多い方なので)。
これからは雪解けの季節。
みんなの心も暖気とともに、だんだんほぐれて芽吹いてとなるのかしら。
ロマンティックなお悩みも、お気軽に応募フォームに送っていただければなんて思う今日この頃だったのでした(はぁあ、デートしてええええ!!!←)。
ではでは今日はこの辺で。
Sitakkeね〜!
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『ひとりの夜にあなたとあたしの したっけラジオ』
■番組名 「ひとりの夜にあなたとあたしのしたっけラジオ」
■放送日時 毎週日曜日 午後7時30分~8時00分 ※初回放送:2024年10月6日(日)
■出演 満島てる子、HBCアナウンサー・森結有花
■番組メールアドレス st@hbc.co.jp
■Podacast https://podcasters.spotify.com/pod/show/hbcsitakke
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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。