「2人は決して恋人になれない関係」日本ドラマでも大注目のチュ・ジョンヒョクが語る『ケナは韓国が嫌いで』
チュ・ジョンヒョク『ケナは韓国が嫌いで』インタビュー
「82年生まれ、キム・ジヨン」に続くベストセラー小説を映画化した『ケナは韓国が嫌いで』が、3月7日(金)より全国公開。ソウル郊外の小さな団地で家族と暮らす28歳のケナが、仕事、家族、恋人、故郷を手放し、新たな一歩を踏み出す姿を描く。
片道2時間かかる通勤に単調な仕事、労働者階級の家族や長年交際している恋人の裕福な実家との軋轢……そんな日々にうんざりし生まれ育った韓国に嫌気がさしているケナは一念発起し、“未来ではない今この瞬間の幸せ”を求め、単身ニュージーランドへと移り住む。そこでかけがえのない友人と出会い、新しい生活を手にしたケナは自分の居場所を見つけていく――。
主人公ケナを演じるのは、まもなく最新作『ミッキー17』の日本公開を控えるポン・ジュノ監督の『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)で天才子役として鮮烈な印象を残したコ・アソン。そしてケナと同じ時期に韓国へ留学し友人となるジェインを演じたのは、世界中でバイラル的ヒットを果たしたドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の新人弁護士クォン・ミヌ役で一気に知名度を上げたチュ・ジョンヒョクだ。
昨年の百想芸術大賞映画部門の新人演技賞にノミネートされたほか、2025年1月にはTBS系新春ドラマスペシャル『スロウトレイン』(脚本:野木亜希子)にも出演し、松たか子、多部未華子、松坂桃李、星野源らと共演したチュ・ジョンヒョク。日本ドラマデビューを果たし、さらなる注目が期待される旬の俳優が『ケナは韓国が嫌いで』について語るオフィシャルインタビューが到着した。
「ジェインは自分のセクシュアリティを探している段階」
――本作への出演の決め手を教えて下さい。
私自身、チャン・ゴンジェ監督のファンでしたし、小説も好きでした。また、オーストラリアではなくニュージーランドで撮影すると聞いて、ニュージーランドへの留学経験もあったので、自分が住んでいたところにもう一度行きたいという思いもありましたし、留学生役というものを誰よりも表現することができるのではないかと思い、出演を決めました。
――ニュージーランドでの撮影はいかがでしたか?
留学時代に見た風景や出会った人たち、そして当時抱いていた感情が思い出されました。
――海外で暮らすケナやジェインに共感する部分はありましたか?
留学先でアイデンティティと夢を見つけていくジェインは過去の自分と重なり、僕自身の経験をキャラクターに反映させました。ケナの物語では、家族との関係や外国で暮らすことの孤独感といったテーマも描かれますが、そこに深く共感する部分もありました。
ニュージーランド留学時代に出会ったいろんな国の友人たちを思い出し、とくに印象に残っていた友人の髪と同じ色に染め、ビーチサンダルを履くというスタイルを監督に提案したところ、それが採用されました。
「純粋な日常の中から探す幸せが一番だと思っています」
――ケナとジェインの関係は、どういったものでしょうか?
監督とは、ケナとジェインは決して恋人になれない関係だと話していました。ジェインという人物は、自分のセクシュアリティについてもよくわかっていなくて、それを探している段階なので、恋愛関係にはならない。セクシュアリティを浮き彫りにすることは、この映画のテーマではないので、映画の中では直接描くことはしませんでしたが、それは僕たちの中だけで話していました。ジュインとケナは心を通わすことができる、友人関係であってほしいと話していました。
――最後、ケナは再び旅立ちますが、彼女の選択をどう受け止めましたか?
ケナがまた別の経験をするために去るんだなと思いました。そして、もしケナがまた疲れてしまったら、ジェインのところに戻ってきて、楽しい時間を過ごすと思います。
――映画の中に「幸せは過大評価されている」という台詞がありますが、ジョンヒョクさんが考える「幸せ」について教えてください。
「幸せ」というのは、旅行を通して探す人もいれば、何か刺激的なものを通して探すという人もいると思います。僕自身は、純粋な日常の中から探す幸せというのが一番だと思っています。
――最後に、観客に向けて一言をお願いします。
この映画は、私個人にとっても、過去の大切な思い出と再会させてくれた特別な作品です。大きなテーマの中で、ささやかな感動があります。ケナのまわりには、いろんな縁がある。皆さんには、人生の方向や人生の意味について考えさせてくれる映画として記憶されると良いなと思っています。
『ケナは韓国が嫌いで』は3月7日(金)より全国公開