【5月の時候の挨拶】上旬・中旬・下旬に使える表現と例文まとめ
時候の挨拶とは、季節の移り変わりを表現し、相手への気遣いを伝えるものです。5月の時候の挨拶には、 新緑や若葉など、初夏の風景や季節の移ろいを感じさせるさまざまな表現が用いられます 。
この記事では、5月の上旬・中旬・下旬に適した時候の挨拶を、ビジネスやプライベートで使える例文とともに詳しく解説します。
時候の挨拶とは
時候の挨拶の役割、ポイントについて紹介します。
挨拶状・送付状などの冒頭に書く季節の挨拶
時候の挨拶とは、季節感を伝える言葉を用いた挨拶のことです。挨拶状や手紙、メールの冒頭に添えることで、季節の移ろいを感じさせたり、相手への配慮を伝えたりすることができます。ビジネスシーンからプライベートな場面まで、幅広く活用されています。ただし、LINEやチャットツールなどのカジュアルなコミュニケーションや、急ぎの用件を伝える際には、あまり適していないため注意が必要です。
挨拶状の書き方
挨拶状とは、企業や個人の近況や連絡事項などを伝えるための書状を指します。
挨拶状は縦書き、横書きのどちらでも問題ありませんが、ビジネスではよりフォーマルな印象を与える縦書きがよいとされています。
挨拶状の構成の基本
挨拶状の基本の構成は、「前文」「主文」「末文」「後付け」 「前文」は、「拝啓」などの頭語、時候の挨拶を書く 「主文」は、自分の近況や相手を気遣う言葉などの本文を書く 「末文」は、結びの挨拶、「敬具」などの結語を書く 「後付け」は、日付、署名、宛名を書く(横書きの場合宛名は最初に書く)
時候の挨拶を書く際のポイント
時候の挨拶には、漢語調と口語調の2種類があります。目上の人や取引先などに対し丁寧に気持ちを表現したい場合は 漢語調 、友人や知人などに対し親しみを込めたい場合は柔らかな 口語調 と、場面や送る相手にあわせて使い分けることが可能です。
漢語調
「~の候」「~の折」「~のみぎり」
口語調
「若葉が芽吹く季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか?」など
また、時候の挨拶は、相手に応じて異なる表現を選ぶことが可能です。親しい関係であれば、少しカジュアルな言葉遣いを用い、自分の近況や共通の思い出を交えることで、より親しみやすく心のこもった挨拶になります。
例文
「爽やかな5月の風が心地よい季節になりましたね。いかがお過ごしでしょうか。最近、自家製のハーブを使った料理に挑戦しており、毎日の食事がちょっとした楽しみになっています。」 「日差しが日に日に強くなってきましたね。お元気でいらっしゃいますか。昨年のこの時期に一緒にキャンプに行ったことが、今でも楽しい思い出として心に残っています。」
時候の挨拶には、季節を表す「二十四節気(にじゅうしせっき)」を用いる場合もあります。記事の最後に二十四節気の早見表を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ビジネスで使える5月の時候の挨拶と例文(漢語調)
漢語調の時候の挨拶には、 「~の候」「~の折」「~のみぎり」 があります。ここでは、上旬・中旬・下旬と時期ごとに使える表現を分けていますが、なかにはほかの月にも使えるものもあります。相手の住む地域の気候によっても適切な表現が異なるため、状況に応じて使い分けるようにしましょう。
以下に、5月全般に使える表現をいくつか紹介するので、迷った際にはこれらを活用してみてください。なお、「薫風」は、「青葉が茂った木々」を意味する「緑樹」と組み合わせて「薫風緑樹(くんぷうりょくじゅ)」としても使用できます。
時候の挨拶 意味 新緑(しんりょく) 若葉のつややかな緑 青葉(あおば) 青々とした葉 若葉(わかば) 生え出て間のない草木の葉 緑風(りょくふう) 青葉を吹く、初夏の風 薫風(くんぷう) 初夏に、草木の緑をとおして吹いてくる快い風 藤花(とうか) 藤の花
5月上旬の時候の挨拶
5月上旬は、春の終わりを思わせる表現が多く使われます。
時候の挨拶 意味 惜春(せきしゅん) 行く春を惜しむこと 晩春(ばんしゅん) 春の終わり 残春(ざんしゅん) 春のなごり 麗春(れいしゅん) ひなげし(春の花) 葉桜(はざくら) 花が散って、若葉の出はじめた桜
例文
「惜春の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。」 「晩春の折、貴社におかれましてはますますご隆盛のことと存じます。」 「残春のみぎり、貴社ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます。」 「麗春の候、貴社のご清栄を心よりお祈り申し上げます。」 「葉桜の折、貴社におかれましてはますますご盛栄のことと存じ上げます。」
5月中旬の時候の挨拶
5月中旬から下旬にかけては、夏の訪れや暑さに関連する表現が用いられるようになります。地域や品種、天候によって異なりますが、一般的に4月下旬から5月上旬に新茶が収穫されるため、「新茶」も時候の挨拶に使用されます。
時候の挨拶 意味 初夏(しょか) 夏のはじめ 立夏(りっか) 暦の上で夏が始まる日 軽暑(けいしょ) 少し暑さを感じる 薄暑(はくしょ) 初夏の頃の、わずかに感じる暑さ 新茶(しんちゃ) その年の新芽を摘んで製した茶
例文
「初夏の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。」 「立夏の折、貴社におかれましてはますますご清栄のことと存じます。」 「軽暑のみぎり、貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。」 「薄暑の候、貴社ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。」 「新茶の折、貴社におかれましてはますますご盛栄のことと存じ上げます。」
5月下旬の時候の挨拶
「向暑」は気候によっては、6月上旬まで使うことができる表現です。
時候の挨拶 意味 向暑(こうしょ) 暑い時節に向かうこと 小満(しょうまん) 草木が茂って天地に満ち始める 万緑(ばんりょく) 草木が見渡すかぎり緑であること
例文
「向暑の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。」 「小満のみぎり、皆様におかれましてはご健勝のこととお喜び申し上げます。」 「万緑の折、貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。」
日常使いができる月の時候の挨拶の例文(口語調)
5月の口語調の時候の挨拶には、「春の終わり」や「植物が芽吹く様子(新緑・青葉・若葉)」「夏の訪れ」に関連する表現がよく用いられます。ちなみに、漢語調で紹介した多くの表現は、口語調でも使うことができます。
5月の時候の挨拶に使える行事や表現
行事・イベント:端午の節句(こどもの日)、鯉のぼり、五月人形、菖蒲湯、ゴールデンウィーク、母の日、潮干狩り
花・植物関連:牡丹、菖蒲、杜若、芍薬、藤、ツツジ、カーネーション、バラ、スズラン、マーガレット、桜若葉、卯の花
食べ物・飲み物:柏餅、ちまき、初鰹、キス、イサキ、たけのこ、新じゃが、いちご、新茶
その他:皐月(5月の和風月名)、八十八夜の別れ霜、走り梅雨、茶摘み、田植え
例文
「走り梅雨の兆しが見え始めましたが、皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか?」 「桜若葉が新緑の季節を告げ、爽やかな風を感じるこの頃です。」 「菖蒲が美しく咲く季節となりました。花を愛でるひとときが、日々の疲れを癒やしてくれますように。」
5月上旬の時候の挨拶
5月上旬の口語調の時候の挨拶には、漢語調と同様に春の終わりを思わせる表現が多く使われます。
5月上旬の例文
「藤の花が美しく咲き誇る季節となりました。紫の花房が風に揺れる様子がとても素敵ですね。」 「端午の節句が近づき、鯉のぼりが空を泳ぐ姿が見られるようになりました。」 「ゴールデンウィークも終わり、日常が戻ってきましたね。充実したお休みを過ごされましたか?」 「八十八夜の別れ霜も過ぎ、春から初夏への移ろいを感じるこの頃です。」
5月中旬の時候の挨拶
5月中旬には、植物が芽吹く様子をイメージさせる表現が多く用いられます。
5月中旬の例文
「軽暑を感じる日々が続いておりますが、体調など崩されていませんか。」 「立夏を迎え、少しずつ夏の気配が近づいておりますが、いかがお過ごしですか?」 「初夏の訪れとともに新茶の季節となりました。新茶を片手に、穏やかなひとときを過ごすのもいいですね。」 「卯の花が咲き始め、初夏の訪れを感じる頃となりました。」
5月下旬の時候の挨拶
5月下旬には、夏の訪れを感じさせる表現や、梅雨の到来を予感させる表現(「梅雨の走り」や「アジサイ」など)が用いられます。
5月下旬の例文
「小満の頃、自然がさらに活気づいています。散歩に出かけると、生命の息吹を感じられる季節ですね。」 「万緑の季節、あたり一面が緑に包まれています。庭や公園で、新鮮な空気を楽しんでみてはいかがでしょうか。」 「日中は汗ばむ陽気になってきましたね。水分補給を忘れずに、健康に気をつけてお過ごしください。」 「心地よい風にのって、ほんのりと夏のにおいが漂ってきましたね。これからの季節が楽しみです。」
5月の結びの言葉
ビジネスにおける5月の結びの言葉では、季節感を感じさせる表現に加え、今後の関係を大切にしたいという意向や、相手の繁栄を願う言葉、体調を気遣う内容を含めるとよいでしょう。プライベートでは、相手の趣味や状況に合わせた内容や、体調への気遣いを表現に取り入れることが望ましいです。また、いずれの場合も、時候の挨拶と同様に、その時期の気候にふさわしい表現を用いることが大切です。
ビジネスで使える結びの挨拶の例文
「新緑が目に鮮やかな季節、貴社のますますのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。」 「日差しが強まり、初夏の気配が漂うこの頃、貴社の益々のご繁栄をお祈り申し上げます。」 「初夏の兆しが感じられるこの頃、貴社の皆様のご健康とご繁栄をお祈り申し上げます。」 「緑が一段と鮮やかに映える季節、貴社のご隆盛と皆様のご健康を心よりお祈りいたします。」 「風薫る季節、貴社の皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。」
プライベートで使える結びの挨拶の例文
「新緑が目に優しい季節ですね。お庭の手入れが楽しい時期かと思います。どうぞお体に気をつけて、素敵な時間をお過ごしください。」 「初夏の気配を感じる季節となりました。ハイキングにはぴったりの時期ですね。どうぞ健康に気をつけて、楽しいひとときをお過ごしください。」 「さわやかな初夏の訪れを感じるこの頃、散歩やピクニックを楽しむにはぴったりの季節ですね。」 「風薫る5月、キャンプにぴったりの季節ですね。ご家族と素敵な時間をお過ごしください。」 「風が心地よく、お出かけが楽しい季節になりましたね。お忙しい毎日かと思いますが、時にはほっと一息つく時間を持ってみてくださいね。穏やかなひとときを過ごされますように。」
おまけ:二十四節気早見表・挨拶状の適切な時期
二十四節気早見表
時候の挨拶で使える1年の二十四節気を紹介します。
なお、二十四節気は旧暦の太陰太陽暦が基準となっており、実際の気候とは異なる場合があるため、状況に応じて使い分けてください。
季節 時候の挨拶(節気名) 時期 春 立春(りっしゅん) 2月上旬〜2月中旬 雨水(うすい) 2月中旬〜3月上旬 啓蟄(けいちつ) 3月上旬〜3月中旬 春分(しゅんぶん) 3月中旬〜4月上旬 清明(せいめい) 4月上旬〜4月中旬 穀雨(こくう) 4月中旬〜5月上旬 夏 立夏(りっか) 5月上旬〜5月中旬 小満(しょうまん) 5月中旬〜6月上旬 芒種(ぼうしゅ) 6月上旬〜6月中旬 夏至(げし) 6月中旬〜7月上旬 小暑(しょうしょ) 7月上旬〜7月中旬 大暑(たいしょ) 7月中旬〜8月上旬 秋 立秋(りっしゅう) 8月上旬〜8月中旬 処暑(しょしょ) 8月中旬〜9月上旬 白露(はくろ) 9月上旬〜9月中旬 秋分(しゅうぶん) 9月中旬〜10月上旬 寒露(かんろ) 10月上旬〜10月中旬 霜降(そうこう) 10月中旬〜11月上旬 冬 立冬(りっとう) 11月上旬〜11月中旬 小雪(しょうせつ) 11月中旬〜12月上旬 大雪(たいせつ) 12月上旬〜12月中旬 冬至(とうじ) 12月中旬〜1月上旬 小寒(しょうかん) 1月上旬〜1月中旬 大寒(だいかん) 1月中旬〜2月上旬
挨拶状の適切な時期
年賀状や残暑見舞いなどの挨拶状には、それぞれ適切な時期があります。以下を参考にして、相手に届くタイミングを意識しながら準備を進めてください。
挨拶状
時期
年賀状
1月1日~1月7日まで
寒中見舞い
1月8日(松の内が明ける日)~2月4日まで
※一部地域は松の内が明ける日は1月16日
余寒見舞い
2月4日頃~2月末まで
※寒い地域は3月中旬まで
暑中見舞い
7月7日頃~8月7日頃
残暑見舞い
8月8日頃~8月末頃まで
喪中欠礼
11月~12月上旬
※12月後半に不幸があった場合、寒中見舞いで知らせる
まとめ
この記事では、5月に使える時候の挨拶のポイントや、漢語調・口語調の例文、ビジネスやプライベートでの使い分けについて紹介しました。
5月の挨拶状や手紙、メールに初夏の訪れを感じさせる時候の挨拶を添えることで、相手への気遣いを伝えることができます。今回紹介した内容を参考に、取引先やお世話になった人々へ心のこもった挨拶をしてみてください。
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