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伊藤忠ユニダス 高校生に実習の場 障害者雇用に貢献

タウンニュース

3月の見学・体験会でクリーニング作業を体験する生徒=提供写真

佐江戸町の伊藤忠ユニダス株式会社(畔上明代表取締役社長)は、インクルーシブ教育実践推進校に通う知的障害のある生徒を対象に、学校の夏休み期間を利用し、会社見学・体験会を開催する。生徒たちに実習の場を提供することで、卒業後の進路選択の幅を広げてもらおうとする試みだ。

伊藤忠ユニダスは、日本を代表する総合商社の一つ、伊藤忠商事株式会社を親会社に持つ特例子会社。クリーニング業や印刷業が主な事業内容。

特例子会社とは、障害者雇用促進法で民間企業に課せられた障害者の法定雇用率確保のため、企業が障害者の就労に配慮し設けた子会社のこと。1987年設立の同社は翌88年、神奈川県初の特例子会社として認定された。2024年9月現在、社員141人のうち障害のある社員は79人。

特例子会社の役目

同社はこれまで「特例子会社の役目の一つ」として、特別支援学校に通う生徒のため、毎年実習を受け入れていたが、今年度からインクルーシブ教育実践推進校の生徒のため、実習の場として、「会社見学・体験会」を実施することにした。

特別支援学校とは、障害のある子どもたちが、自立を図る学習を目的にした学校で、障害別に学校がある。卒業後の進路は就職に特化し、校内実習も含め企業で実習を行うカリキュラムがあるが、卒業しても高校卒業の資格は得られない。

そのため、将来の進路選択の幅を広げるため、高卒資格の取得を希望する生徒にとって、中学卒業後の進学先として検討対象の一つとなるのが「インクルーシブ教育実践推進校」だ。

「インクルーシブ教育実践推進校」とは、障害のある生徒とない生徒が共に学び、学校生活を送ることを目指している学校。神奈川県では2016年度に3校の指定から始まり、24年度は18校が指定されている。20年度からは知的障害のある生徒を対象に、入学試験が面接のみの「特別募集」を実施。定員は各校の全体の募集人数によるが、昨年度は各校1学年21人程度だった。

障害のある生徒は、さまざまなサポートを得ながら、一般入試で入学した生徒たちと一緒に授業や学校生活を送る。進学や就職など将来に向けた進路指導も行われているが、特別支援学校のように就職のための実習がカリキュラムにないため、実習という面で特別支援学校の生徒たちとの差が生じている。

選択肢を提案

そんな生徒たちのために同社クリーニング本部の日向礼一さんは、県内のインクルーシブ教育実践推進校に直接電話をかけ、実態を聞き取り。「進学を希望していたが、さまざまな理由で就職を目指す生徒たちの実習先がなく、困っている学校が多かった」ことから、障害者雇用を行う特例子会社として協力出来る事を提案。知的障害のある生徒たちが進路選択を判断するきっかけづくりになれば、と実習先に名乗りを上げた。

1、2月に教員らを対象に見学・体験会を打診したところ、10校の関係者が事前に見学。3月14日の会社見学・体験会には、3校から当時の高校1、2年生10人と教職員が参加した。

体験会で生徒たちは、同社のプリント・印刷部とクリーニング部を見学。クリーニング部では軽作業も体験した。また同社で働く先輩の声を聞く座談会も行った。日向さんは「仕事に興味を持ち、作業を体験する生徒たちの姿を見て、教諭らが目を見張る姿が印象的だった。生徒たちも社会に出た先輩の話を聞き、自らの将来と重ね合わせることができたのでは」と手応えを語る。

2回目の見学・体験会は7月17日(木)。詳細は【電話】045・931・3853日向さんへ。

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