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那月邪夢×iroca アイドル界の魔王と異形の現代着物ブランドによる、眼球と薔薇が織りなす妖艶コラボレーション

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那月邪夢×iroca アイドル界の魔王と異形の現代着物ブランドによる、眼球と薔薇が織りなす妖艶コラボレーション

那月邪夢と現代着物ブランド『iroca』による特別なコラボレーションが実現した。

今回、那月邪夢の原案のもと、『iroca』のデザイナー・石川成俊が完全オリジナル振袖「rose eye」を製作。そして、那月邪夢が成人の日である本日1月13日に自身のSNSに、妖艶かつ力強いデザインが印象的な「rose eye」を身に纏った姿を投稿したのだ。

この軌跡のコラボは、いかにして形になったのか? 本記事では、石川成俊と那月邪夢のインタビューを通じて、「rose eye」製作の背景や込められた想いを紐解く。

・那月邪夢の写真 10枚

那月邪夢と着物デザイナー・石川成俊が新しい日本の美を追求するブランド『iroca』のコラボが実現。本日1月13日(月・祝)、成人の日に合わせて、邪夢のXとInstagramアカウントに振袖写真がポストされた。

これは邪夢の原案から、石川氏がデザインを手がけたものだ。彼女のイメージカラーである赤と黒をベースに、眼球、薔薇、棘(いばら)をあしらった、完全オリジナルの振袖、那月邪夢モデルである。

irocaとは“今の時代に生きるからこそ表現できる新しい日本の美を求めて、色を身にまとい、艶やかに、美しく、強く”を謳い、ビビットな色彩とエッジィな世界観をモチーフに、独創的で強烈な個性を放つ気鋭の着物ブランド。香り立つ色味に大胆な柄付け……といった目を見張る奇抜なデザインとは相反するような繊細さを持ち、ただの派手な着物に収まらないのが特徴である。

そんな石川氏に、今回のコラボについて話を訊く。まずはデザインについてのこだわりを語ってもらった。

石川:
モチーフになっているのは眼球、薔薇、棘(いばら)。そして色としての赤と黒。色と眼球については邪夢さんからの依頼です。そこに花を付け加えようと打ち合わせから薔薇が選ばれ、デザインしている途中で棘を付け加えました。棘が表すものは、邪夢さんがこれから歩む社会、日本、そして世界。そこに視線を定め、目を見開き、咲き誇る……といったイメージです。ただ、ステレオタイプなグロやメンヘラにはならないようにしました。そこに“美”が必ず存在すること。着物のタイトルは「rose eye」です。

“魔王”の異名を持つ邪夢の、気高さ、美しさ、そして強さが見事に体現されているデザインだ。一般的な着物のイメージを覆してきたirocaだからこそ、彼女の魅力を引き出せたといっても過言ではない。

石川:
irocaがテーマとして掲げているのは“新しく、美しく、強く”。実は1番重要なのはこの“強く”の部分なのです。強く生きていってほしいし、強さ自体に惹かれるのもいい。irocaで武装するのもありだと思います。それに応えられるよう、デザインにはチカラを込めています。そのことが伝わっていたら幸いです。

このコラボレーションは“既存にはない振袖を着たい”という邪夢の想いが発端だった。彼女には絶対irocaが似合う。そう思い立ち、石川氏に相談したところ快諾してくれた。通常はこうしたコラボやフルオーダーは受けることのないirocaであるから、ダメ元ではあったものの、石川氏が那月邪夢というアーティストに惹かれたことが決定打になった。

石川:
“ああ、やってみたい。この人に着てほしいな”と思いました。邪夢さんのインタビューを読んだり、冬将軍さんに彼女のアーティスト性、人となりを聞いて興味が湧いたんです。彼女が学生時代など、あまり陽の当たる場所にいなかったことを、自分の学生時代に照らし合わせてみたりもしました。思春期に溜め込んで、表にウマく表現できなかったものの深さや量が多ければ多いほど、その爆発力は大きい。それを爆発させることができるのは限られた人たちですが、ごく普通に幸せに生きてきた人たちに比べて“濃さ”“スゴみ”といった意味で、その表現するものは魅力的に感じます。それを彼女に強く感じたのです。実際に彼女のステージを観て納得しました。ちゃんと覚醒しているんだな、爆発させているなと感じました。

実は、石川氏は<マーキュロ><ガラチア帝都物語>といった演劇で広く知られる劇団、『東京グランギニョル』の出身だ。今も若い世代を中心に多くの人から愛されている<ライチ☆光クラブ>の“ニコ”こと、石川成敏(=成俊)、その人である。

さらに石川氏はバンドで音楽活動をしていた。そうしたアーティストとしての経歴を持った氏の手がけるirocaだからこそ、那月邪夢という表現者にハマると思ったし、もっと言えば、現代における心の闇を抱えた若者の代弁者としての彼女の存在が、石川氏に通じるところもあるのではないかと考えた。

石川:
今の時代、真面目に生きようと思ったら、病まない方がおかしいとさえ思います。実際、鬱だったり心の病を抱えている子たちはホントに真面目な子が多い。年齢を重ねれば、かわすことも覚えるし、誤魔化すことも、いい意味で正しいと思えます。でも多感な思春期に、こんないい加減な世の中、こんなにもいい加減な人たちの中に居たら、内へ内へと籠っていってしまうのは仕方のないこと。だからこそ、そこから脱却してほしいし、爆発させてほしいんです。それが邪夢さんを含め、彼女のファンやフォロワーたちに望むことだし、逆にいえばそれができるという特権を持っていると思っています。このことはirocaに来るお客さまに共通する部分でもあるんです。狙ってやっていたことではなかったのですが、自然とそういう方々が集まるようになってきました。そんな人たちの想いに応えられているのなら、とても幸せなことです。

石川氏自身が表舞台に立つ表現者としての経験を持っているからこそ、表せるものがirocaにある。それが今回、那月邪夢とがっちり結びついたのだ。

王道的な正装バージョンに加えて、邪夢本人のアイディアからMAD MEDiCiNEのステージ衣装を用い、ロックテイストへ舵を切った“洋装MIXコーデ”も着付けた。

“「過去もみんな連れていく」というテーマで、ステージ衣装を使ってコーディネイトさせていただきました”と、着付けを担当した、じゅんこ氏。“正装に関しても、正統派のようで正統ではない(笑)。「irocaの振袖は半幅帯で着てほしい」という石川さんの提案もあり、実は浴衣の帯を2本使用しています。だから、王道のようで邪道でもあります。赤×黒のカッコいいに振り切ったコーデ、邪夢さんワールドのお手伝いができて嬉しいです”と語る。

そして、このコラボには、若い世代に着物をもっと気軽に着てほしいという石川氏の願いも込められている。

石川:
着物は戦前、ファッションの最先端として、時代の色を反映し、風刺やメッセージという部分でも多くの素晴らしいものを生み出してきました。しかし、戦争が起こったことにより世の中は急変します。戦後、いちばん最初に削られたのは文化や芸術だったのです。着物も、派手さを控えて売りやすくシンプルなものが増え、どこにいっても同じようなもの、もしくは過去の柄の複製焼き直しばかりになってしまいました。irocaが目指しているのは、戦前の作家たちのスピリットを継承しつつ、現代のモチーフやデザインを最先端の技術で今の人たちに着てもらうこと。現代の風景にちゃんと意味を持って存在することにあります。ある意味、ルネサンス(芸術復興)と捉えているところもあります。今の着物を、これからの時代を作っていく若い世代に着てもらいたい。そういった意味でも今回、邪夢さんに携われたことは、今まで自分のやってきたアプローチとは違う方向に広がる可能性を秘めていると考えております。

一昔前までは人間味のないキラキラとした偶像であったアイドルだが、昨今は誰もが抱える弱さや病みを強く歌ってくれる強い女の子というアイドル像も出来上がっている。その代表格が那月邪夢であるだろう。彼女のように強くなりたいと思い、アイドルを目指す女の子も多い。そしてアイドルに限らず、強くなりたい、変わりたい、という変身願望は、誰しもが1度は思ったことがあるはず。そのツールとして、着物を着て欲しいと石川氏。

石川:
僕がよく言うのは「着物は個性の増幅装置」。ギターをアンプに繋いでデカい音を出すがごとく、個性を増幅させるための道具くらいに思ってもらえばいい。若い方には怖がらず、1度袖を通してみるといいと思います。きっとこれまでとは違った自分、あるいは自分が本来持っていたものが湧き上がってくると思いますよ。

自分の個性を活かすために、irocaの世界、着物の世界へ気軽に足を踏み入れてみてはどうだろうか?

那月邪夢

さて、ここからは撮影を終えたばかりの那月邪夢を直撃したインタビューをお送りする。

着物の幅広さ、奥深さを知りました

——振袖を着た感想はいかがですか?

邪夢:
私好みのirocaさんの独特な世界で、私がデザインした着物を着る機会ができて、とてもとても嬉しいです! やっぱり他人と違うことがしたい、というのが昔からあったので。

——着物自体に対するイメージはどうでした?

邪夢:
着物自体は好きで。小さい頃にやっていたYOSAKOIもベースが和風だったので、着物みたいな衣装を着てたんです。だから昔から好きでしたね。

——irocaのオリジナル振袖、ご自身でデザインしたものが実際に出来上がった感想はいかがでしょう?

邪夢:
いやぁ、素敵でしたぁ! 今までにないデザインにしたくて、“花に目ん玉をつけてください!”ってお願いしたんです。そこから私の思う通りのイメージに作っていただいて、本当にすごいっ!

「rose eye」

——irocaさんは独自の攻めた世界観を持っているので、そこが邪夢さんにぴったりハマりましたね。

邪夢:
はい。着付けていただいた蛇の骨の帯も、“これは蛇が鼠を呑み込んでいて、鼠は骨になっちゃうんだけど、蛇もいずれ骨になっちゃうから、それを表してるんだよ”ということを教えてくれたんです。“ああ、そこまで考えてデザインされているんだな”と感動しました。石川さんは着物を作る時に意味を持たせたいとおっしゃっていて。最初の打ち合わせの時に“邪夢ちゃんの想いを教えてほしい”と言われたんです。そこで伝えた想いを汲み取っていただいて、きちんとデザインに表してくれたのが嬉しかったし、本当にすごいなと思いました。

——邪夢さんは、普段のアイドル衣装もご自身でデザインされていますが、それと着物はやはり違いますか?

邪夢:
全然違いますね。自分好みに仕上げてくれる人って、なかなか居ないんですよ。やっぱりこだわりが強いので(笑)。いつもは自分がデザインして、作ってくださる方と“こんな感じだよね”って確認しながら細かく進めていくんですけど、今回はふわっとしたイメージで伝えたら、そのまま思い通りのものをいきなりバン!って、仕上げていただけたので、とっても嬉しかったです!

——それだけ邪夢さんと石川さんの感性が合っていて、しっかり意思疎通ができたのですね。それにしても着物をデザインする機会なんて、普通はなかなかないですから。

邪夢:
ないですよね! 初めて聞きましたよ。こんなことできるんだ!って。本当にありがたいです。

——石川さんも“邪夢さんだから”ということで受けてくれたわけですし。

邪夢:
そうですよね! 嬉しいけど、プレッシャーが……(汗)。そう聞いていたので、私に着こなせるのか心配でした……。自分的にはすごく嬉しかったんですけど、果たして、この着物のよさは伝わってるのかな……。

——バッチリですよ! めちゃめちゃ綺麗でカッコいい!

邪夢:
やったぁ! よかったぁ〜!

——想像していたものと、実際着てみた感想に違いはありました?

邪夢:
思ってたより派手になったなって(笑)。こんな着物なかったよな!って、自分でも感じました。着付けも“ステキッ!!”になりましたね。洋装MIXではステージ衣装を組み合わせてみたんです。ハットがどうなるか、ロングブーツもどうなるかなと思ったんですけど、ウマくハマりましたね。着付け次第でどうにでもなるんだなって。着物の幅広さ、奥深さを知りましたね。

——これを機に普段、着物を着たりするのもいいですね。夏に向けて、浴衣だったり。邪夢さんきっかけで着物が流行るといいですね。

邪夢:おおっ! 流行らせましょう!!

那月邪夢

クレジット
■衣装
振袖、半幅帯、半衿:iroca

■使用小物
ブローチ:ファクトリーザジ

【正装】
チェーン伊達襟:CHOKO
トーション足袋:JOTARO SAITO
草履:machikosento

【洋装MIX】
しごき:ろっこや
帯飾りに使ったヘッドドレス:corgi-corgi
ギラヘコ:RumiRock

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