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『べらぼう』主演・横浜流星(蔦屋重三郎役)特別インタビュー【NHK大河ドラマ・ガイド べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ 前編】

NHK出版デジタルマガジン

『べらぼう』主演・横浜流星(蔦屋重三郎役)特別インタビュー【NHK大河ドラマ・ガイド べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ 前編】

 2025年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で、 江戸のメディア王“蔦重”こと主人公・蔦屋重三郎を演じる横浜流星さん。

 今回は、2024年12月末に発売した『NHK大河ドラマ・ガイド べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ 前編』より、主演・横浜流星さんのインタビューを一部公開します。

(※NHK出版公式note「本がひらく」から抜粋)

初めてのチャレンジを楽しんでいます

「江戸のメディア王」と評される蔦屋重三郎を演じます。史実に残る彼は、今で言う出版社の社長で、本や浮世絵の企画、プロデュース、営業、時には創作などすべてをこなしたそうです。ふだんの自分は、喜多川歌麿や葛飾北斎のようにプロデュースされる側ですが、今回の役はプロデュースする側。江戸時代中期の吉原で生まれ育った“べらぼう”な男というキャラクターも含めて初めて挑戦する役柄で、チャレンジを楽しんでいます。

 役の準備としては、蔦重を題材にした作品や資料を見たり、専門家の先生にお話を伺ったり、蔦重が生まれ育った地に足を運んだりしました。また、以前共演させていただいたご縁もあり、映画「HOKUSAI」で蔦重役をされた阿部寛さんにもお話を伺いました。阿部さんは「流星らしく演じればいい」と言ってくださいました。そうやってさまざまに見聞きしたことを取り入れたうえで、やはり一番は、脚本の森下佳子先生が作り上げた世界の中でどう生きるか、だと思っています。

 いざ現場に入って監督から言われているのは、とにかく「明るく」。僕は朝が弱いので、朝から明るく、というのが目下の課題です(笑)。加えて、所作やべらんめえ調の江戸ことばの難しさも。どちらも体になじませるのに苦労していますが、指導の先生方に教えていただきながら、かつ蔦重らしくのびのびとやれたらと思っています。

 田沼意次役の渡辺謙さんからは、「自分が大河ドラマ『独眼竜政宗』で主演したのは、流星と同じ27〜28歳だった。まっすぐ全力でやればいい」という力強い言葉を頂きました。謙さんとは映画でご一緒したことがあり、謙さんの芝居やたたずまいから多くのことを学びました。ここまで蔦重と意次が会話を交わすシーンはそれほど多くないだけに、共演させていただく時間を大切にしています。

 ドラマ前半の蔦重は、メディア王から程遠い一庶民です。そんな彼が、吉原を変革しようと躍起になって動き始めます。きっかけは、子どもの頃からかわいがってくれた女郎・朝顔姉さんとの悲しい別れです。彼女の痛ましい末路に胸を痛め、女郎たちがもっとましな暮らしができるようになるにはどうしたらいいか考え、出版物を通して吉原に人を呼べないだろうか、と思いつくんです。朝顔姉さんとのシーンは、一つ一つが僕の中に刻まれ、若き蔦重を生きるうえでの核となっています。

 蔦重の幸いは、人に恵まれていること。きっとそれは、自分のためではなく「誰かのために」という思いが周囲に伝わるからでしょう。蔦重の育ての親・駿河屋市右衛門は、厳しいけれど蔦重を見込んでおり、義兄の次郎兵衛は、だらしない性格ながらも蔦重に協力的です。自分たちを「八つの徳を忘れた“忘八”」と言ってはばからない女郎屋の主人たち親父衆も、決して蔦重の敵ではありません。実は、彼らが集まる序盤のシーンのト書きに、「まるでやくざの盃事のような雰囲気」とあって、収録に入る前は、蔦重を威圧するような集団を想像していたんです。でも実際に現場で向き合ってみると、確かにこわもてではあるけれど、心の奥に愛や優しさがある人たちで、だから蔦重は親父衆に率直に意見できるんだなと肌で感じました。これこそが作品づくりの醍醐味。芝居をしてみて初めて分かることを今後も楽しんでいきたいです。

この続きは『NHK大河ドラマ・ガイドべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~前編』に掲載されています。

取材・文=髙橋和子 撮影=山田大輔
ヘア&メイク=永瀬多壱(VANITÉS)、スタイリング=伊藤省吾(sitor)
撮影協力=AWABEES

横浜流星(よこはま・りゅうせい)
1996年生まれ、神奈川県出身。2011年、俳優デビュー。主な出演作に、ドラマ「初めて恋をした日に読む話」「私たちはどうかしている」「着飾る恋には理由があって」「DCU」、映画「きみの瞳が問いかけている」「嘘喰い」「流浪の月」「アキラとあきら」「線は、僕を描く」「ヴィレッジ」「春に散る」「正体」など。大河ドラマは初出演。

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