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涙のおにぎりステッカーと3分の1ルールとは

TBSラジオ

食品ロス対策として、賞味期限が迫った商品を割引するなどの対策が広がりを見せています。コンビニ大手のファミリーマートがある取り組みを実験的に行っています。どんな取り組みなのかお聞きしました。

おむすびが「たすけてください」

株式会社ファミリーマート 原田 公雄さん

元々ファミリーマートではですね、店舗から発生する食品ロスの防止を目指して、ファミマのエコ割という値引きの金額を書いた値引きシールを商品に貼ってですね、割り引く仕組みを導入しています。そのエコ割について今回はですね、デザインをお客様の感情に訴えかけるような情緒的なデザイン、おむすびが泣いたキャラクターが助けてくださいというメッセージを発信している。そういったシールに変えることで、お客様の感情に訴えかけて、いかに食品ロスの防止に繋がるかっていうところを検証する実験をします。ただ値下げだけだと、値下げを狙って買ってるみたいな気持ちとかも多分どっかにあって、そんな中で助けてくださいっていうふうに言われると、自分は役に立つつんだなっていう値引きとはちょっと違う感覚で手に取ることがあるのかなっていう、個人的には思ってます。

おにぎりが泣いている絵のステッカー。上には「たすけてください」の文字。

神奈川県と東京都の一部の店舗で実施されていて、今月の26日まで4週間の期間を設け、食品ロスを減らす結果が見込めるか検証します。ファミリーマートでは2018年度比で2030年までに50%食品ロスを削減するという目標を立てています。昨年までで29%削減できていますが残りまだ21%削減しなければいけません。さらに削減するために、消費者の感情に訴えかける作戦でストレートなメッセージやイラストに好意的な意見が多く寄せられているとこのことで、実際の効果も期待されています。

そんな中、期限の短い乳製品業界でもある動きが。近年農水省が「3分の1ルール」の見直しを呼びかけ、それについて対応しているとの事です。

「3分の1ルール」とは?

一般社団法人 日本乳業協会 後藤 聡幸さん

食品業界における納品期限3分の1ルールというのは、メーカーで製造して、賞味期限の3分の1の期間の中で流通業者様に納品をすると、残り3分の2で、流通業者様で、賞味期限以内にですね、商品を売り切ると言った日本独特の商習慣でございます。利点としては、あまりにも賞味期限が短いものが流通してしまうと機会損失というか、賞味期限がすぐに迫ってしまって売れなくなってしまうと、そういったリスクを軽減するという効果はございますが、一方、メーカーとしては3分の1以内に納入できないともう販売ができないのでそれはメーカー側で処分する対象になってしまう。そういったデメリットがございます。

例えば90日間の賞味期限がある場合、メーカーは3分の1の30日以内にお客さん流通業者に届けます。残り60日間の中で、流通業者はお客さんに販売をして売り切ること目標にするというルールです。賞味期限が長いものだと、賞味期限を3分の2残して納品するということはそれほど大きなハードルにはなりませんが、賞味期限が短い、チルド流通製品になってくると数週間しか賞味期限がないので、3分の1ルールという厳しい商習慣が食品ロスを生む原因のひとつにもなってしまっています。そこで乳業協会は、会員企業へ「3分の1ルール」緩和を呼びかけていますが、今後へ向け課題も感じているようでした。

一般社団法人 日本乳業協会 後藤 聡幸さん

今交渉を進めていく中でやっぱりハードルとしては、この納品期限の見直しが、流通業者さん側にとってどんなメリットがあるんだ!という問いかけが非常に多く受けております。ただ、これはメリットがあるかどうかという話ではなくて、酪農乳業界がこの産業自体の維持と、それから製品の安定供給が危機的状況にありますので、これを何とかして回避するための取り組みでございますので、メリットデメリットという話ではないというふうなことでご説明をして理解をしていただこうとしております。

エネルギーや原材料の価格高騰に加えて製造現場や配送に関わる配置人員が極めて不足している中で、現状の習慣を継続した場合、産業自体の維持はもちろん、製品の安定供給が危機的状況になりかねません。しかし、メリットデメリットではなく、業界全体の未来のためにも理解をして欲しいとのことでした。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:竹内紫麻)

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