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戦後に誕生 70年愛される歌声喫茶

TBSラジオ

今年は戦後80年の年ですが、戦後に誕生して、70年以上続いている「歌声喫茶」があります。

70年以上続く「歌声喫茶ともしび」

新宿で誕生し、今は高田馬場駅前で営業しています。

どんなところなのか、歌声喫茶ともしび 店長 齊藤隆さんに伺いました。

歌声喫茶ともしび 店長 齊藤隆さん

歌声喫茶って、ピアノとかアコーディオンの生楽器の伴奏で、お客さんみんなで歌って楽しむバーですね。1番最初に歌声喫茶ができたのが、1954年と言われているんです。今年で71年になります。新宿の、西武新宿の駅のすぐ前に元祖のお店ができたんですね。爆発的に流行したんですね。それが50年代から60年代の中頃まで全国に広がって、都内でも20数店舗あったと言われています。60年代の後半から少しずつ減ってきたんですけれども「ともしび」は、色々な経営のスタイルとか、責任者が変わったりしつつも、僕たちのお店はずっとやってきたんです。71年の歴史の中で、当時から歌い継いできた歌がベースなんですが、最近は1960年、70年、80年代の歌謡曲とかフォークソングとか、そういう歌が今人気があります。              

                  (昔のともしびの様子)

この歌声喫茶「ともしび」は、今は高田馬場に移転し、昼の時間帯は週3日、夜は、定休日の月曜日以外、週6日営業しています。900曲ほどの中から、お客さんが好きな曲をリクエストして、その中からみんなで一緒に、飲みながら食べながら歌うという流れです。

料金は「ミュージックチャージ」が1800円、プラス飲食代となっていて時間制限はないので、開店から閉店までずっといるお客さんもいるそうです。

取材にお邪魔すると、30人ほどのお客さんが楽しんでいました。

スタッフが司会者という形でリードをするんですが、ノってきたお客さんも前に出てきて気持ち良さそうに歌っていました。

お客さんは

来ていたお客さんの声です。

「千葉から来ました。やっぱりファンがいる。そこはやっぱり存在価値があるところだと思いますけどね。」

「一人一人の素敵な声が聞けて、合唱の高まりみたいなものが、私に返ってくる。生きる勇気をもらえることだと思います。」

「八王子の方から来ました。84歳です。命とか平和とか、歌の中にたくさんありますけれども、やっぱり大事じゃないかなと思っています。どんな時代であっても、喜びも悲しみも、人間ですから同じように持っているわけですから。ましてや今、戦争を知らない人たちがいるけど、私たちなんか大変な時代だった。経験していますので、二度と繰り返してはいけない。こういう運動は大切だなという想いもあって参加させてもらっています。」   

最後の84歳の男性は、60年以上通っているそうで、終戦前に生まれたこともあって平和への想い、平和を歌い継ぐことへの想いを熱く語ってくれました。この方のお気に入りの一曲は、やなせたかしさんが作詞を手がけた童謡「手のひらを太陽に」だそうです。

お客さんは60代以上の方が多いんですが、中には3世代で来る家族もいるそうです。

中島みゆきさんの「時代」も人気で、さらに竹内まりやさんの「いのちの歌」、久保田早紀さんの「異邦人」などがリクエストのトップを争っているということでした。

続ける苦労や存在意義

経営難や社会状況の変化などで、歌声喫茶に限らず「営業を続けること」が今、とても大変な時代ですが、そんななか新宿から高田馬場に移転しながら71年続いている「ともしび」。これまでの苦労や、存在意義について再び、歌声喫茶ともしび 店長の齊藤隆さんのお話です。

歌声喫茶ともしび 店長 齊藤隆さん

2020年の最初からコロナになったでしょ。みるみるお客様が減っていって、本当に大変でした。営業できなくなって半年くらい休んだり、というのを繰り返して、このまま新宿でお店を持っていても持たないと、2020年の9月いっぱいでお店を閉めた。2年間お店が無い時期を耐えて、3年前にこの場所を見つけて再開したんです。ともしびのことを愛してくれるお客様が「ともしび頑張れ」「潰れないでくれ」って、開店するまでに、6000万円の募金が集まったんです。みなさんに支えられて耐えて、ここのお店ができた経緯ですね。昔からの歌声喫茶のファンの人たちがずっと通ってきてくれている。もう一つはみんなで歌って、歌の楽しみをみんなで共有して分かち合う空間って、ありそうで無い。時代に合わせて歌声喫茶で歌われる歌も変わってきているし、変わらないものもあるし、っていうのを貫いている場所かなと思います。   

「大変だけれど、今後も、もちろん続けたい。楽しみ方を若い人にももっと知ってほしい」と店長の齊藤さんは話していました。その取り組みの一つとして、若者のサークルを作って、そのメンバーを中心に昭和ポップス、1960年代から80年代の歌謡曲などを歌う企画も行っているそうです。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)

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